本日のお悩み
質問させて下さい。
認知症対応のグループホームで初日勤務を終えたのですが、
そこでは排泄介助時にディスポを着用しません。
便の量が多ければ使用していました。
今まで働いてきた施設や訪問では排尿・排便関わらずディスポ着用しており
それが当たり前だと思っていたので衝撃を受けました。
パット交換時にも素手で使用済みパットを取り、拭かずに新しいパットを入れていました。
それは、自分たちがトイレに入り用を足した後にトイレットペーパーで拭かないのと同じでは?
と思いますが
施設側は、よほど尿臭や便がすごければ拭くけど・・とのことで、
最近の介護は(掛け持ちしている訪問ではそんなことありませんが)
そういうやり方になってしまったのかと疑問です。
ネット上では素手での排泄介助が推奨されているものもちらほらあり余計に混乱しています。
相談者:さと さん
自分と利用者さんを守るため、正しい感染対策を!
ご質問、ありがとうございます。
初日の勤務から、すぐに質問を投げかけてくださったあなたは、
しっかり目の前のことを見つめて、やり過ごさずに考えてくださる方なのだろうと想像しています。
ですがそんな質問者さんでも驚いた顔を隠しきれないほどの衝撃と戸惑いだったのではないでしょうか。
■戸惑い、お察しします
通常、排泄介助に関わる場合には使い捨て手袋(ディスポ)を使用することは、標準予防策(※)にも決められているように、最低限必要なものです。
高齢者介護施設における感染対策マニュアルの中にもしっかり明記されていますし
「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」では、高齢者介護施設における感染管理体制として感染対策委員会を設置する必要があります。
そのため、これまで経験してきた施設では当たり前のことだったのかもしれないですね。
また、新しいパッドへ交換する際に陰部の清拭がないというのも、色々な側面から考えて、なかなか受け止めきれない事実です。
ネット上での素手の排泄介助が推奨されている記事というのも、どうか昔の記事であって欲しいと願います。
もしも「手袋をつけて介助するなんて、利用者の方が嫌がられる」「嫌な気持ちにさせてしまう」といった一見思いやりに溢れることが理由になっているなら、それは危険です。
本当に利用者さんのことを思うならば、「手袋をつけない」と言う選択肢はなくなりますよね。
■誰のための手袋か?
利用者さんの尿や便には,一見感染症がない方でも薬剤耐性菌が含まれています。
ノロウイルスなどの消化器症状を起こす病原体も便に排出されて施設内で伝播します。
急性の下痢症状があった場合、衣類を脱ぐまでは気づかない場合もありますよね?
私たち自身も含め、誰が何を保有しているか判別できないのが現実なので、排泄介助に入る前に手袋をつけることが、習慣となるように願います。
■コロナ禍での感染防止策は?
一般社団法人共同通信社から発表された介護施設での新型コロナ感染者数は、昨年5月と比較すると約20倍となっています。
非公表とする自治体もあるため、実際の数はさらに多いとみられています。
介護施設内での感染防止策はこれからも一層、必要とされているのを感じます。
いざとなった時には、標準予防策以上の対策が必要です。
このような状況の中で、感染に気づかずスタッフが媒介し取り返しがつかないことにならないように、出来れば早く施設の中で対応について声を上げて頂きたいところです。
■最後に
ご質問者さんの考えと体感は正しいです。
どうか現場の中で自信を持って、「標準予防策」と共に感染対策についてのベーシックをご助言下さい。
そうすることで、そこにいる職員さんだけではなく、ご利用者さんは救われることになると思います。
応援しています!
また何かありましたら、質問にきてくださいね!
社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士