本日のお悩み
4月に法人内で異動があり、新しい管理者が来ました。
その人は普段は職員の仕事に対してあまり干渉してこず、忙しいのか事務所にこもっています。
ただ、たまにフロアに来ると、職員のミスや気になったことだけを指摘してきます。
普段の仕事ぶりを見もしないのに、指摘だけする管理者に納得できません。
「ボス・マネジメント」という考え方もある。
ご質問ありがとうございます。
いやー耳が痛いお話です。
なぜなら、自分はどうか?と自問した際、「絶対大丈夫」とは恥ずかしくて言えません。
なので、自戒を込めてお答えさせていただきますことお許しください。
■課題はコミュニケーション不足かも
そもそも質問者さんが求める良い管理者像とはどのような管理者でしょうか?
質問から察するに、「現場を理解し、職員のミスや気になったことだけでなく良いところや頑張っているところを伝えてくれる管理者」ですかね。
ごもっともだと思います。
さらに、質問者さんはよく観察されていて、新任の管理者さんが普段事務所にこもっているのも確認しています。
しかし、新任管理者さんの仕事に関しては、「忙しいのか?」と疑問符を持たれているところを見ると管理者さんが何の仕事をしているのかはあまり理解されていないようですね。
つまり、このご質問、もちろん管理者さんの行動にも改めなくてはいけない点が存在しますが、シンプルにコミュニケーション不足が課題かもしれません。
■「メラビアンの法則」を知っていますか?
メラビアンの法則という考え方があります。
人の印象は55%が視覚情報、38%が聴覚情報、7%が話の内容という考え方です。
質問者さんは、新任管理者さんの現場に姿を見せない、事務所にばかりいるという行動を目にし、不信感を覚え、否定的な指摘ばかりする聴覚情報を不快に思い、指摘事項(話の内容)なんてどうでもいい状態に陥ってないでしょうか?
■管理者さんの立場になってみると
では逆に管理者さんの立場になってみましょう。
管理者なので経営や労務も任されていることが想像できます。
慣れない職場でまず、お金の動きや求人、採用、配置や異動、人材育成、人事評価、賃金および労働時間の管理の把握はもちろん、そんな中、現場にも行かないといけないと思い、職員の行動を見ると、つい気になるところが目に付き、指摘をする。
すると「なんでそんなこと言われなければならないのか?現場もわからないのに」という言葉は出ないまでも、否定的な表情やトーンの聴覚情報が入り、忙しさの感情にまた負の感情が上乗せされていく・・・。
こんな感じですれ違いの溝は深まっていきます。
組織崩壊へのカウントダウン。恐ろしい話です。
■できることは「ボス・マネジメント」
では、どうしましょう?質問者さんの立場からできること。
「ボス・マネジメント」という考え方があります。
部下は上司の言うことを聞く存在という一方的なものではなく、部下が上司を目的達成の為に動かすという考え方で、MBA(経営学修士)のカリキュラムにもあります。
このボスマネジメントで求められるのは上司の理解です。
どうして新任管理者はこのような行動をとっているのだろう。
理解を深め、全てでないにしてもその役割を認めるところからスタートしてはいかがでしょうか?
例えば「新任で組織状況を把握されることはたいへんですよね。」の一言があるだけで新任管理者さんは変わっていくかもしれません。
■お互いを認め合うチーム作りに参加してみましょう
質問者さんの求める管理者像はごもっともです。
しかし、その理想の管理者を待ち続ければいつか必ず現れるのか?一生現れないかもしれませんよね。
では、どうするか?お互い認め合うチームをづくりに質問者さんも参加してみましょう。
コミュニケーションの語源はラテン語で「communis=分かち合う」です。
自戒を込めた回答でした。
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)