本日のお悩み
4月から新しい職場に異動になり2ヶ月たったのですが、ある時から1人のご利用者様に強く介護拒否を受けています。
今や部屋に入ることすら強く拒否があり、その方の介護に関われない状態にまでなってきていて
どう接したらいいのかわからず悩んでいます。
汚染があった時など何度も声掛けするのですが、拒否される一方です。
夜勤をしているのですが朝の汚染時にも更衣することも出来ず、ここ最近は日勤帯の職員に任せっきりでとても申し訳ない気分です。
これからどうやって接していけばいいのか分からずとても悩んでいます。
何か参考になるアドバイスよろしくお願いします。
相談者:かりん さん
人間関係の再構築を模索していきましょう!!
ご質問ありがとうございます。
まだ異動間もないこともあり、相談できるスタッフも少ないのではないでしょうか?
自分だけその方の介助に入れない状況はとてもつらく、ご本人、先輩スタッフに対しても、申し訳ない気持ちでいっぱいかと思います。
精神的にも、疲弊してしまっていませんか?
今の辛いお気持ちを、同僚のスタッフにこぼしても良いんですからね!
きっと質問者さんの味方となって、解決できるように、協力してくれますから!
実は私も介助を受けることを拒否されてしまった経験がございます。
やはり異動間もないころ、利用者さんとの信頼関係もない中で、利用者さんに不安を抱かせてしまっていたのだと思います。
そんな経験からも、少しでも解決策が見つかるようにお答えしますね。
■利用者さんと信頼関係を築くための3つのポイント
これまでの2か月間で、信頼関係を崩してしまう出来事はありませんでしたか?
これは私が経験したことでもあるのですが、異動2か月ということは、ようやく業務の流れや全体の把握ができてきたころではないでしょうか?
異動したばかりで、緊張の2か月だったと思います。
その中で、例えば手順を間違えてしまったことや緊張からお声掛けをせずに介助に入ってしまったこと等、振り返ってみて失敗をしてしまった事はありませんか?
ご利用者との関わりの中で、質問者さんから介護を受けることを嫌がるきっかけになるような事が無かったか、少し振り返ってみましょう。
私の場合、当時はまだ無資格未経験で、先輩から言われたことを行うだけだったのですが、自分の介助をご利用者に押し付けてしまったことから、その後、私からの介助を嫌がってしまうようになったんです。
当然ですよね。
私が誰なのかも名乗らずに、次々と介助を作業のように進めていたのですから、相手にとっては嫌な人でしかありません。
今でも申し訳ないという気持ちから、鮮明にその方の事を覚えています。
幸いにも、解決策を先輩が教えてくださり、その内容を実践することで、徐々にご本人と打ち解けることが出来ました。
打ち解けてくることで、私からの介助を拒むこともなくなり、最終的には笑顔で談笑できるようになりました。
利用者さんと信頼関係を築くためのコミュニケーションをとっていきましょう!
先輩から伝えられたのは、その方と介助以外でもたくさん関わる事でした。
当時は無意識に関わっていましたが、現在の知識と共にお伝えいたします。
まずは、認知症の状態で名前が覚えられなかったり、直前の記憶が曖昧な方であっても、ご利用者はしっかりと職員の顔を認識しています。
簡単に説明すると、海馬の機能低下があり、記憶が曖昧になっても、偏桃体がそれを補い、感情を伴った記憶は強化され、エピソード記憶として記憶される場合があるという事です。
そのため、この人は好き、この人は嫌いというように、ご利用者も職員の顔を見て判断することが出来るんです。
当時の私は、そのような知識はありませんでしたが、とにかく時間を見つけながらご本人の居室へ何度も伺い
『こんにちは○○さん、後藤です!お話ししたくて来ました!』と、私の事やご本人の事をたくさんお話ししたんです。
その方の趣味や、好きなこと、これまでのご経験や、私の好きなことや趣味などですね。
その方の出身地の事を伺うと、次に行く時にはその地域の事を調べ、有名なお寺や人物を調べて話題にしていました。
はじめの頃は『何の話?』とけげんそうな表情を浮かべていましたが、数か月後には『あんたまた来たの』『また待ってるよ』と、確実に私の事を覚えて下さっていることを感じました。
もちろんそのころには介助の拒否や抵抗などはなく、入浴の際も排泄の際も、隣の方(特養の多床室でした)から『うるさい!!』と怒られるくらい、よくお話しできるようになったんです。
専門的な解釈をすると、アセスメントや信頼関係を構築していくプロセスそのものを行っていたことになりますね。
もちろん当時の私はそのような専門的な知識は皆無でしたが、結果としてこの行動こそがご本人との心の距離を縮めることになりました。
ただその人を知る事、知っていただく事。
ここが、本来は介助を提供する前に必要なプロセスだと感じています。
信頼関係なくして、申し訳なさや恥ずかしさを感じられているご利用者の介助はできません。
他のスタッフさんを頼っていますか?
どうしても難しい場合には、冒頭でも申し上げましたが、『つらい』事を同僚の皆さんにも伝えてくださいね!
私も似ている状況を経験しましたから、質問者さんの辛さや、申し訳ないというお気持ちは理解しているつもりです。
一人で抱え込まずに、スタッフの皆さんを頼って頂ければと思います。
スタッフさんも質問者さんをカバーしてくれているとのことで、今の状況については一定の理解があるのだと思います。
しかし、例えば質問者さんから『つらいんです、どう対応していけばよいのでしょうか?』と表出しなかった場合、先輩たちも質問者さんがどう思っているのか理解できないかもしれません。
もしかしたら、他の先輩たちも同様の経験があるかもしれませんし、その解決策を知っているかもしれません。
質問者さんが声に出すことで、関係が構築できるように協力してくれたり、ご本人にその原因や理由について聞いてもらえるかもしれませんからね。
私も困難な状況に陥った際には、『無理だー!助けてー!』と、周囲に助けを求める事ってよくあるんですよ!
■最後に
今後行動できる選択肢をいくつかお示ししましたので、一人で抱え込まずに、皆さんを頼ってくださいね!!
状況が好転することを強く願っています。
無理をしすぎず、この高いひと壁、乗り越えてやりましょう!
応援していますよ!
・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士