マイナビ福祉・介護のシゴト
入浴介助をスピードアップするには?麻痺がある場合の介助についても解説します!

入浴介助をスピードアップするには?麻痺がある場合の介助についても解説します!

【回答者:後藤 晴紀】業務の動きを効率的にし、時間を生み出していきましょう!


本日のお悩み

はじめまして。介護職未経験の50代です。
グループホームに入職し5か月になろうとしていて、今、入浴介助で悩んでいます。

入浴時間は2時間半あり、「6人は入れてね」と言われてます。
単純計算では1人の入浴に20分で、遅くなっても30分以内で終わらせるようにしなくていけません。
2時間で5人は行けるようになりましたが、6人終わるのに2時間半では終わらないです。
試行錯誤していますが…アドバイスよろしくお願いいたします。

相談者:かずこ さん

業務の動きを効率的にし、時間を生み出していきましょう!

後藤 晴紀

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/9

けあぷろかれっじ代表 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士

ご質問ありがとうございます!

無資格未経験から新たな介護職としてのキャリアをスタートし、5か月が経過したのですね!
覚えることの多さに戸惑い、ようやく落ち着いてきた状況かと思います。
すでに独り立ちされ、それぞれの身体介護にも従事しているのですね。

さて、「2時間半で6人の入浴介助を求められている」というお悩み。

既に2時間で5人の方を介助できるようになっているとのことですね!
素晴らしい事です!
私としては十分だと思っているのですが、先輩たちから求められている課題に応えられるまであと一息、プレッシャーが大きいですね…。

少しでも決められた時間に入浴介助が終えられるようにお伝えできればと思っています。

既に十分よくできています!

2時間で5名の方の介助ができているとのことで、1人にかかる時間は24分前後です。
先に伝えておきますが、このままでも決して時間がかかりすぎているわけではありません。

スピードを優先してしまうことでケア自体が雑になってしまったり、時間にとらわれすぎてしまい、安全配慮が不足してしまうという事には十分に気を付けてください。

介護職側の時間軸で業務を行おうとすると、どうしても利用者さんには負担となってしまったり、ご満足いただけないケアとなってしまいがちですからね。

まずは介助の精度と、業務の導線を見直しましょう

これ以上時間を短縮するためには、一つひとつの介助の精度や、業務の導線を見直してみましょう。

おそらく浴槽に入っている時間は、個人差はあるものの、皆さん大きな時間の違いはないかと思います。
一番楽しく、リラックスできスタッフさんとも会話を楽しめる時間です。
こちらの時間は短縮しないでくださいね。

また、更衣介助や洗身介助についても、ご自身で出来る能力があるにもかかわらず介助をしてしまうことで、結果としてご利用者の能力を奪うことに繋がってしまいます。
たとえ時間を短縮できるとしても、その行為は大切なご利用者の未来を奪ってしまうことになりますので、控えてくださいね。

時間短縮方法は?

ではどこで時間を短縮するのか?
・本当に介助が必要な方についての介助方法
・使用する物品の事前準備や手順
を振り返り、一つひとつの業務の動きを効率的にできないか、また非効率な動きになっていないか確認しましょう。
もしかすると、より効率的にできる方法が見つけられるかもしれません。

タオル類や衣類を事前に用意しておくだけでも、数秒から数十秒の時間が削減できます。
その数十秒の積み上げで、数分間の時間が確保できるかもしれません。

また、入浴業務を時間通りに開始できるような事前の段取りも重要になってくるので、準備や手順にフォーカスして効率化を図ってみてくださいね。

新人さんが悩みがちな、麻痺がある場合の更衣介助のコツ

私の経験として、新人スタッフさんは麻痺の方の更衣介助に戸惑ってしまったり、衣類の着脱がなかなか上手く介助できないといった事もあるかもしれません。
介助の技術的な精度を高めるということも視野に入れていきましょう。

例えば、麻痺や片麻痺の方の上肢着衣介助をする際、反対側の袖口になかなか腕が通せないといった場合。
改善方法としては、麻痺側の袖を通した後に、きちんと袖を肩のラインまで上げて差し上げてから頭部、非麻痺の順に介助をされるとやりやすいかもしれませんよ。

失敗例としては、麻痺側の手首周辺やひじの辺りに袖が溜まってしまっているのに、頭部や非麻痺側に通そうとしてしまうこと。
利用者さんも必死に袖を通そうとしたり、介助者も思い切り衣類を伸ばしたり…。
きちんとした手順や方法を用いれば、スムーズに着衣介助ができるかと思いますので、参考にしてみて下さい。

介助中の笑顔も忘れずに!

また、ケアの提供中は集中しすぎてしまい、表情が硬くなりがちです!
笑顔を意識しながら対応しましょう!

ご質問者さんが笑顔でお仕事ができるように、応援しています!
頑張りましょう!

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この記事のライター

・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士

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