本日のお悩み:生前整理や終活に関するアドバイス、介護職から伝えられることとは?
生前整理や終活などに関して、ご家族にポイントをお伝えしたいと思っているのですが、どのようなアドバイスがよいでしょうか。教えてください。
介護職としての専門領域の中でのアドバイスを意識しましょう
■執筆者/専門家

・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表 ・アモールファティスクール⻑ 介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員 介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤ 理論と経験に基づく「優しく丁寧に美しい介護」を理念に実践的な介護技術研修/コミュニケーション研修及び介護離職防止の為一般企業様向けに「介護セミナー」を実施しています。
■高齢者の3人に1人が認知機能に関する症状を抱えている
また、これらを合わせると、高齢者の3人に1人が何らかの認知機能の低下を抱えているということがわかります。つまり、認知症は誰にとっても他人事ではなく、事前の準備が重要な時代になったといえるでしょう。
※出典:政府広報オンライン 知っておきたい認知症の基本
■生前整理や終活はデリケートな問題!対応する際は慎重に!
しかし、これらの話題はデリケートであり、対応には慎重さが求められます。特に、認知症の診断を受けたばかりの方は、症状が進行する前に整理を進めることが大きな安心につながります。
1.生前整理で介護職ができるアドバイス
■そもそも生前整理とは?
生前整理とは、自分が元気なうちに持ち物を整理し、必要なものと不要なものを選別することを指します。近年、高齢化の進行とともに、生前整理を専門とする事業者も増えてきました。
不要なものを減らすことで暮らしが快適になるだけでなく、死後の家族の負担を軽減する意味もあります。ただし、ご家族が本人の意向を確認せずに進めると、関係が悪化する可能性もあります。そのため、専門事業者が介入し、ご本人の意思を尊重しながら進めることでスムーズに進行するケースも少なくありません。
また、生前整理は物の整理だけではなく、財産や契約に関する整理も含まれます。特に、銀行口座、保険、年金、クレジットカードなどの情報をリスト化しておくことは、将来的にご家族が手続きを行う際に大きな助けとなります。
■【具体例あり】生前整理に対して介護職ができるアドバイス
そのため、介護職がご家族にアドバイスする際は、以下のような一般的な声かけがおすすめです。
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2.終活で介護職ができるアドバイス
■そもそも終活とは?
最近では「エンディングノート」の活用が一般的になり、財産管理に関しては司法書士や信託銀行などの専門サービスが広がりを見せています。終活は単なる準備ではなく、自分の人生を振り返り、残された時間をより充実させるための手段ともいえます。
■【具体例あり】終活に対して介護職ができるアドバイス
といったことを整理しておくことが重要です。
これには、ご家族との話し合いの機会を作ることが欠かせないため、介護職がご家族にアドバイスをする場合は、以下のような声かけをしましょう。

人生会議を活用し、利用者さん・ご家族の双方に寄り添いましょう
■人生会議(ACP)とは?
ACPとは、利用者さん本人を中心に、ご家族や医療・介護の専門職が将来の医療やケアについて話し合い、意思決定を支援するプロセスを指します。かつては「最期について話すのは縁起でもない」と避けられがちでしたが、ACPの普及により、高齢期においても自分の意思を反映した生活が重視されるようになりました。
■人生会議(ACP)の実践方法
認知症の進行により意思を伝えにくくなったとしても、日常的に寄り添う介護職員が利用者さんの思いを汲み取ることは可能です。「何を大切にしているのか」「どのように生きたいのか」など、利用者さんの価値観を尊重しながら、最期に向けた医療や介護について話し合いを続けることが重要となります。
■ご家族の気持ちに寄り添うことも忘れずに!
こうした場合、介護職員が中立的な立場から、利用者さんの過去の言動や生活習慣をふまえた助言をすることで、家族間の調整をサポートできることもあります。時には、家族が抱える精神的負担を軽減するためのケアも重要となります。
最後に:柔軟な姿勢で質の高いケアやサポートを行いましょう
介護職員の最大の強みは、利用者さんの「今」に寄り添えることです。利用者さんが本音を言葉にできるよう支えながら、その意思を尊重した支援を行うことが、介護職としての重要な役割ではないでしょうか。さらに、コミュニケーションを大切にしながら、継続的なケアを提供することで、信頼関係を築くことができます。
生前整理や終活に関する相談は増え続けています。すべての相談に対応するのは難しいかもしれませんが、介護職としてできることは、専門家につなぐ役割を果たしながら、利用者さんやご家族がスムーズに準備を進められるよう支援することです。介護職が専門性を活かし、柔軟な姿勢で対応することで、より質の高いケアを提供できるのではないでしょうか。
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・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表
・アモールファティスクール⻑
介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員
介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤
理論と経験に基づく「優しく丁寧に美しい介護」を理念に実践的な介護技術研修/コミュニケーション研修及び介護離職防止の為一般企業様向けに「介護セミナー」を実施しています。