本日のお悩み
家族の姿が見えないと不安になって立ち上がってしまったり、スタッフが横にいないと腰を掛けていることが難しかったり…
もちろんずっと横にいてあげられれば理想なのですが、人員不足で難しい状況です。また、家族写真を眺めてもらったり、利用者さんの趣味である作業を提案してみたりと工夫はしているのですが、それらも長続きしません。
ご家族の負担をケアする意味でも利用は継続していただきたいのですが、今後利用を拒否されないか心配です。
このような場合の対応方法を教えてください。
2.デイサービスに来る意味づけや、そこでの役割をつくりましょう
3利用者にとって安心できる環境とは何か考え続けましょう.
利用者さんになりきって考えてみてはいかがでしょうか
一方で、それだけが原因なのでしょうか。専門家の古畑先生に説明していただきましょう!
社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員 特別養護ホーム生活相談員、訪問介護事業を経験し、介護業界に9年携わる。 地域でのネットワーク活動では事務局として「死について語る会」や「3大宗教シンポジウム」など幅広いテーマの勉強会やイベントを企画・運営。 現在は介護職やマネジメント経験を活かし、介護系ライターとして研鑽中。
ご質問を読んで、デイサービスの情景が目に浮かびました。
質問者さんは、ご利用者さんに「職員が声をかけなくても穏やかに、1人で座ったまま時間を過ごしてほしい」と考えていらっしゃると読み取りました。
転んだら怪我をしてしまうから…
他の利用者の方も不安になってしまうから…
職員に話しかけることで業務が止まってしまうから…
他にも理由があるかもしれません。
ここで、「ご利用者さんの立場が自分だったら」という視点で考えてみましょう。
■職員としてではなく、利用者の目で考えてみましょう!
優しそうな人だなと思ってついていった。
すると全然知らない場所へ来てしまった。
興味のないイベントに参加しなければいけなくなった。
家族の姿が見えない。知り合いも、友だちもいない……。
そんなことが起きたら、私たちも「早く家に帰りたい」「安心できる人が近くにいてほしい」「なんでここにいるのかわからない」と考えそうです。
それから、どんな人でも同じ姿勢で長時間居続けることは辛いことなのではないかと思います。
私の場合、映画館で映画を観る2時間はとてもじっと座っていられず、いつももぞもぞ動いてしまいます。
加えてその方は、ご家族の姿が見えなくて不安な気持ちでいっぱい。となると、いてもたってもいられず、立ち上がるということは当然の行動かもしれませんね。
同じ出来事でも、「職員の目」でとらえるのか「その利用者の方の目」でとらえるのかによって、見えてくるものが変わってくるのではないでしょうか。
■デイサービスにくる意味づけや、そこでの役割をつくりましょう!
その方の好きなことを活かしてお願いごとを作ったり、ご家族とも相談してそこにいる理由を作ってもらい、一筆お手紙をいただいたり。
方法は無限にあり、それを考えるのが介護の面白いところだと思います。
ポイントは、その利用者の目線に立って考えることです。ぜひチームで考えて、いろいろな案を試してみてください。
また、環境を整備し、立ち上がりたいときに室内を自由に動いていただくのも1つの手ではないかと思います。
最後に:利用者さんが安心できる環境について考え続けましょう
毎日、毎時間、毎分毎秒、そこに自分がいていいのか、不安を感じながら過ごしているかもしれない方に対して「そこにいるだけで大丈夫」と思っていただけるような環境を作り続けること、これが私たち介護職の仕事です。
質問者さんの思いが、利用者の方々の安心につながるよう、少しでもヒントになれば幸いです。
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社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員