本日のお悩み
利用者さんの名前が覚えられなくて困っています。人の名前を覚える裏ワザを教えてください。


マンガ監修:望月太敦(公益社団法人東京都介護福祉士会 副会長)
顔と名前を覚えるコツは、コツコツ・メモ・リハーサルです!!

ワ☆ノベーション代表 グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA) MBA(経営学修士)、公認心理師、社会保険労務士有資格者、社会福祉士。 総合心理教育研究所学術客員研究員。
ご相談ありがとうございます。
利用者さんのお名前が覚えられなくて困っていらっしゃるのですね。そもそも名前を覚えるのは難しいことです。
まず、お伝えしたいことは、名前を覚えられないことを自覚していて、それを解決しようとしていることが素晴らしいです。
名前を覚えることで重要なことは、意図的に覚えようとすることです。相談者さんは覚えようとしているのでこれからお伝えすることを実践すれば大丈夫ですよ。
■人の名前を覚えられない理由・原因とは?
① 相手に興味・関心がない
そもそも名前を覚えようとする相手に興味や関心がなければスルーしてしまい、記憶に残りません。人の名前に限らず、これは興味や関心のないものについても同様です。
② 覚える必要性に迫られていない
名前を覚えなくても困らないからです。名前を覚えなくてもなんとかなってしまっている、切り抜けられているからです。覚える必要性があり、重要であれば真剣に覚える努力をするでしょう。
③ さまざまな外部要因が影響している
ストレスフルな環境、体調不良や睡眠不足が認知機能に影響をしているかもしれません。情報のインプットが多く、慌ただしく仕事に追われていると疲労で覚えることが難しいかもしれません。
■そもそも「記憶」とは何なのか?
記憶とは経験したことや覚えたことを保存し、それを後で思い出すことです。記憶は大きく3つに分類されます。
①感覚記憶
感覚器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)から入ってきた情報は感覚記憶で保存されます。
感覚記憶の保持期間は1秒ほどで、1秒以内でほとんど消えてなくなります。そこから自分に重要な情報だけが短期記憶として保持されます。
②短期記憶
短期記憶は、保持時間が数十秒程度の記憶です。例えば、電話番号やパスワードなどがあげられます。
これは時間の経過とともに忘れられます。保持時間だけではなく、保持できる容量にも限度があり、短期記憶の情報の多くは忘れられていきますが、その一部が長期記憶として保持されます。
※短期記憶に保持できる容量は情報の数は「7±2」だとハーバード大学の心理学者、ジョージ・ミラー教授は提唱し、これをマジカルナンバー7±2(ミラーの法則)と呼びました。近年の研究では4±1とする説が有力です。
③長期記憶
長期記憶は保持時間が長く、大容量の情報を記憶できます。
長期記憶は、手続き記憶(自転車の乗り方など身体が覚えている記憶)と宣言的記憶(エピソード記憶:具体的な経験についての記憶、意味記憶:知識や言葉の意味についての記憶)に分けられます。
■仕組みを利用して、記憶を定着させよう(エビングハウスの忘却線)
記憶に定着させたいことは繰り返し、繰り返す
短期記憶は時間の経過とともに忘れられます。短期記憶の忘却を防いだり、長期記憶に転送したりするために、記憶するべき項目を反復することを心理学ではリハーサルと呼びます。
覚えたいことは、スキマ時間を活用してこまめに復習しましょう。
エビングハウスの忘却線を意識する
ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが時間と記憶に関する研究を行い、忘却を表す曲線をグラフにしました。
早く復習した方が、早く記憶が復活します。試験勉強で覚えたことをすぐに復習すると早く記憶をとりもどし、記憶が定着しますよね。
1ヶ月後に復習してもほとんど忘れていて、覚えるのに時間がかかりますよね。早く復習した方が、コストパフォーマンスが良いのです。
エビングハウスの忘却線(詳細)
1時間後には、56%を忘れて、44%を記憶。節約率44%。
1日後には、 66%を忘れて、34%を記憶。節約率34%。
1週間後には、77%を忘れて、23%を記憶。節約率23%。
1ヶ月後、 79%を忘れて、21%を記憶。節約率21%。
※節約率=節約された時間または回数÷1回目に必要だった時間または回数
節約率が高いほど、コストパフォーマンスが良く記憶が定着します。
■記憶に定着させる方法5つをご紹介します
① 語呂で覚える
「1192(いいくに)つくろう鎌倉幕府」など、みなさんも学生時代にこの覚え方をかつようしたのではないでしょうか?
※ただ、現在では1185年が有力説も…
② イメージで覚える
自分なりのキャッチフレーズをつくるなど、イメージで覚えるのも効果的です。
③ こまめにアウトプットする
覚えた!と思ったことは、メモする、誰かに話す、説明する、文字にしてSNSで発信するなど、細かくアウトプットしていくと記憶に定着しやすくなります。
ワ☆ノベーション代表
グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)
MBA(経営学修士)、公認心理師、社会保険労務士有資格者、社会福祉士。
総合心理教育研究所学術客員研究員。