第35回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(介護の基本)

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第35回 介護福祉士国家試験の試験科目【介護の基本】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第35回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(介護の基本)

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問題1

利用者主体の考えに基づいた訪問介護員(ホームヘルパー)の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.トイレの窓は換気が必要であると判断し、開けたままにしておいた。
2.認知症(dementia)の人が包丁を持つのは危険だと判断し、訪問介護員が調理した。
3.煮物を調理するとき、利用者に好みの切り方を確認してもらった。
4.糖尿病(diabetes mellitus)のある利用者には、買い物代行で菓子の購入はしないことにした。
5.次回の掃除のために、訪問介護員が使いやすい場所に掃除機を置いた。

解答

3.煮物を調理するとき、利用者に好みの切り方を確認してもらった。

解説

1.(×)換気が必要だと提案することは適切ですが、利用者と相談もせず窓を開けたままにすることは防犯上の観点からも不適切です。
2.(×)自ら調理することは、認知症の予防やケアにつながる可能性があると考えられています。認知症の程度や心身状況などを考慮して、総合的に安全性を判断する必要があります。
3.(○)好みを尊重して調理するなど、本来のライフスタイルを継続する姿勢は、利用者主体の考えに基づいた適切な対応です。
4.(×)医学的に正しい内容であっても、独断で利用者の購入希望品を変更することは不適切です。利用者本人や医師などと話し合い、本人が納得して自分の意思で決定するよう導きます。
5.(×)訪問介護員のみの判断で掃除機の配置を変更してしまうと、利用者の混乱を招くおそれがあります。

問題2

「求められる介護福祉士像」で示された内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

(注)「求められる介護福祉士像」とは、社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」(2017年(平成29年)10月4日)の中で示されたものを指す。

1.地域や社会のニーズにかかわらず、利用者を導く。
2.利用者の身体的な支援よりも、心理的・社会的支援を重視する。
3.施設か在宅かに関係なく、家族が望む生活を支える。
4.専門職として他律的に介護過程を展開する。
5.介護職の中で中核的な役割を担う。

解答

5.介護職の中で中核的な役割を担う。

解説

1.(×)制度を理解しつつ、地域や社会のニーズに対応できる能力が求められます。
2.(×)身体的な支援に加え、心理的・社会的支援も展開していく必要があります。
3.(×)施設か在宅かにかかわらず、本人が望む生活を支えることが大切です。
4.(×)専門職として自律的に介護過程を展開する姿勢が求められます。
5.(○)「求められる介護福祉士像」では「介護職の中で中核的な役割を担う」を含む10項目をめざすべきとされており、それに加えて「高い倫理性の保持」が求められています。

問題3

利用者の危険を回避するための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.スプーンを拾おうとして前傾姿勢になった車いすの利用者を、目視で確認した。
2.廊下をふらつきながら歩いていた利用者の横を、黙って通り過ぎた。
3.食事介助をしていた利用者の姿勢が傾いてきたので、姿勢を直した。
4.下肢筋力が低下している利用者が、靴下で歩いていたので、スリッパを履いてもらった。
5.車いすの利用者が、フットサポートを下げたまま立ち上がろうとしたので、またいでもらった。

解答

3.食事介助をしていた利用者の姿勢が傾いてきたので、姿勢を直した。

解説

1.(×)車いすの利用者が前傾姿勢になると転落のおそれがあるため、直ちに声かけをして近寄り、介護福祉職がスプーンを拾います。
2.(×)ふらつきながら歩いている利用者は転倒のリスクが高いと判断し、手すりに誘導する、杖を用意する、手引き歩行するなどの支援を行います。
3.(○)姿勢が傾いたまま食事を続けると誤嚥のリスクが高まるため、姿勢を直します。同時に、椅子の高さを調節する、クッションを活用するなどの支援も必要です。
4.(×)スリッパは歩行が不安定になりやすいため、踵が安定するリハビリシューズなどを履くよう勧めます。
5.(×)フットサポートをまたぐのは、転倒につながりやすい危険行為です。車いすから立ち上がる際は、必ずフットサポートを上げるようにします。

問題4

介護保険施設における専門職の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.利用者の栄養ケア・マネジメントは、薬剤師が行う。
2.認知症(dementia)の診断と治療は、作業療法士が行う。
3.利用者の療養上の世話又は診療の補助は、社会福祉士が行う。
4.日常生活を営むのに必要な身体機能改善や機能訓練は、歯科衛生士が行う。
5.施設サービス計画の作成は、介護支援専門員が行う。

解答

5.施設サービス計画の作成は、介護支援専門員が行う。

解説

1.(×)利用者の栄養ケア・マネジメントは、管理栄養士の役割です。
2.(×)認知症の診断と治療は、医師の役割です。
3.(×)利用者の療養上の世話や診療の補助は、看護師の役割です。
4.(×)日常生活を営むのに必要な身体機能改善や機能訓練は、医師や看護師、理学療法士、作業療法士などを中心としたチームで実践します。
5.(○)介護支援専門員(ケアマネジャー)は、施設サービス計画を作成します。

問題5

Bさん(82歳、女性、要介護2)は、若いときに夫を亡くし、家で仕事をしながら子どもを一人で育てた。夫や子どもと過ごした家の手入れは毎日欠かさず行っていた。数年前に、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)と診断され、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。夕方になると、「私、家に帰らないといけない」と介護福祉職に何度も訴えている。
Bさんに対する介護福祉職の声かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「仕事はないですよ」
2.「ここが家ですよ」
3.「外に散歩に行きますか」
4.「家のことが気になるんですね」
5.「子どもさんが『ここにいてください』と言っていますよ」

解答

4.「家のことが気になるんですね」

解説

1.(×)Bさんは帰宅願望を訴えているため、唐突に仕事の話をしても混乱が深まるばかりです。
2.(×)グループホームを家だとは認識していない可能性が高いため、反発を招くおそれがあります。
3.(×)散歩に行くことで気分転換が図れる可能性はありますが、最初の声かけとして適切とはいえません。
4.(○)夕方になると帰宅願望を繰り返し訴えるのは、認知症の行動・心理症状(BPSD)の一つで、夕暮れ症候群とも呼ばれます。まずは受容と共感の姿勢でコミュニケーションを図り、Bさんの思いを受け止めることが適切です。
5.(×)家に帰りたいというBさんの気持ちを否定しており、Bさんの思いに寄り添った声かけではありません。

問題6

すべての人が暮らしやすい社会の実現に向けて、どこでも、だれでも、自由に、使いやすくという考え方を表す用語として、適切なものを1つ選びなさい。

1.ユニバーサルデザイン(universal design)
2.インフォームドコンセント(informed consent)
3.アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning)
4.リビングウィル(living will)
5.エンパワメント(empowerment)

解答

1.ユニバーサルデザイン(universal design)

解説

1.(○)ユニバーサルデザインは、年齢、性別、文化、言語、障害の有無などにかかわらず、すべての人に公平で使いやすいよう配慮されたデザインのことです。
2.(×)インフォームドコンセントは、医療行為を受ける前に十分な分かりやすい説明を受け、納得した上で意思決定することです。
3.(×)アドバンス・ケア・プランニングは、人生の最終段階における医療やケアについて、本人が家族やケアチームと日頃から繰り返し話し合い、その内容を共有する取り組みです。
4.(×)リビングウィルは、意思決定能力を失ったときに備え、延命治療や緩和ケアについての本人の希望を記しておく事前指示書です。
5.(×)エンパワメントは、その人が本来持っている力を引き出すことです。

問題7

社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている介護福祉士の責務として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.地域生活支援事業その他の支援を総合的に行う。
2.介護等に関する知識及び技能の向上に努める。
3.肢体の不自由な利用者に対して必要な訓練を行う。
4.介護保険事業に要する費用を公平に負担する。
5.常に心身の健康を保持して、社会的活動に参加するように努める。

解答

2.介護等に関する知識及び技能の向上に努める。

解説

1.(×)障害者総合支援法第1条に規定された内容です。
2.(○)社会福祉士及び介護福祉士法第47条の2に規定された資質向上の責務です。
3.(×)障害者総合支援法に基づく訓練等給付のサービス内容です。
4.(×)介護保険法第4条第2項に規定された国民の義務です。
5.(×)老人福祉法第3条第1項に規定された基本的理念です。

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