本日のお悩み:介護職は誰でも受かるわけではないのでしょうか?
介護業界は人手不足と言われていますが、誰でも受かるわけではないのでしょうか?
介護事業所はなぜ人手不足でも採用しないのか?
■執筆者/専門家

茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)
「人手不足なのに不採用なんて信じられない!」
現場は猫の手も借りたい状況のはずなのに不採用にされた。求職者からすれば「なぜ?」となるのは至極真っ当の論理です。 しかし、求人側から考えるとどうでしょう?人手不足なのに採用しなかった。何か理由がありそうですよね。
■【具体例あり】採用に慎重な理由は、採用後の負担にある!
では、ここから介護事業所の採用担当者Aさんに登場してもらい、ストーリー仕立てで採用決定から入職までのプロセスを見ていきましょう。
●《step1:事務手続き》

そして、給料などの雇用条件を明確にし、経理(事業所によって部署名はさまざま)に伝え、給与支給、社会保険の手続き等を含めた雇用体制を整えます。
●《step2:現場との擦り合わせとオリエンテーション》

また、基本的なことですが就業規則の確認も必ず行いましょう。
このように、現場だけでなくさまざまな部署と協力しながら受入体制を整える必要があります。
●《step3:入職後のフォロー》

つまり、万が一「採用したけどすぐ辞めてしまった」となれば、このstepが全て無駄になってしまいます。また、働き始めたら入居者、職員から評判が悪く、本人や現場の意見を聞く等の対応を迫られるようなことになれば、逆に仕事が増えてしまいます。そのため、人材不足であるとはいえ、採用に対して介護事業者は慎重にならざるを得ないのです。
採用されやすい人、採用されづらい人の特徴とは?
採用面接とは、これから一緒に働く人材となりうるかの確認です。実際に、私が面接でしている質問とあわせて、それぞれの特徴を確認していきましょう。
■採用されやすい人の特徴
2.なぜこの事業所を選んだかの根拠が明確(真摯な姿勢)
3.人間関係構築に工夫をしている(メンバーシップ)
4.学ぶ姿勢がうかがえる(向上心)
5.ライフワークバランスを意識して生活している(ストレスコントロール)
●1. 介護の仕事を選んだ動機が明確(責任性)
志望動機を明確に持っていることで、面接する側としては、責任ある仕事をしてくれそうだなという好印象を得ることができます。
●2.なぜこの事業所を選んだかの根拠が明確(真摯な姿勢)
情報収集したうえで、「この事業所の、こういうところに魅力を感じた」と理由を明確に伝えられた方が真剣さが伝わり、好印象となるでしょう。
●3.人間関係構築に工夫をしている(メンバーシップ)
また、例年、介護職の退職理由上位が「人間関係」であることは皆さんもご存知の通り。
例えば、「人間関係の構築で大切にしていることはなんですか?」という質問に対して、「挨拶は大切にしている」や「目上の方には必ず敬語を活用する」など、自分で気をつけていることを明確に伝えられると好印象でしょう。
●4.学ぶ姿勢がうかがえる(向上心)
そのため、「最近、学んだことはなんですか?」などのような質問で学習意欲の確認をしています。これは、新聞や本でも良いですし、経験でも良いとしたうえで質問をしています。
●5.ライフワークバランスを意識して生活している(ストレスコントロール)
そのため、「休日はどのように過ごされますか?」といった質問で、ライフワークバランスがとれそうか、自分なりのストレス発散方法が分かっているかなどを確認します。もちろんプライベートを深掘りするつもりはありません。
■採用されづらい人の特徴
2.勤務先に対する関心がない
3.TPOをわきまえていない
4.ライフワークバランスについて無頓着
5.チームで働くこと、人と関わることへの意識が感じられない
●1.介護の仕事をする動機が不明確
しかし、動機が不明確だとフワフワした業務態度が予想されます。そのため多くの場合、採用を見送るでしょう。
●2.勤務先に対する関心がない
介護事業所が地域に様々ある中で、求職先として選んでいただいたことは嬉しいですが、なんとなく来ましたという状態だと、今後勤務していくうえで不安もあります。
面接に行く際は、その勤務先の理念や魅力を確認してから臨めると良いでしょう。
●3.TPOをわきまえていない
具体的には、面接において、ジャージで来た方がいらっしゃったと聞いたことがあります。もちろん何かしらの事情があったのかもしれませんが、利用者さんやそのご家族と接することを考えると、採用は見送ることになるでしょう。
●4.ライフワークバランスについて無頓着
たとえば、先述した「休日はどのように過ごされますか?」に対して、回答が明確でない場合、ライフワークバランスに無頓着で、ストレスを感じた際の対処方法などに不安を感じます。もちろん、これだけで不採用にはなりませんが、懸念点としては捉えられる場合もあるでしょう。
●5.チームで働くこと、人と関わることへの意識が感じられない
柔らかい表情がつくれるのか?これは、利用者さんに接するうえでも、チームで仕事をするうえでも大事なポイントですよね。そのため、緊張による表情の堅さは仕方ないのですが、無愛想と感じてしまうと面接においてよい印象にはなりません。チームで働くこと、人と関わることへの意識を持って面接に臨むことが大切です。
まとめ:ポイントをおさえて面接に臨みましょう!
人材不足であるとはいえ、入職前後におけるミスマッチがあっては、むしろ採用した側の仕事が増えるという視点があります。一緒に働きたい、長く働いてくれそうと思ってもらえるように採用されやすい人、されづらい人の特徴をおさえて面接に臨みましょう。
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いばらき中央福祉専門学校学校長代行
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介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)