働き始める前に介護現場の人間関係の良し悪しを見極める3つの手段
介護の現場のみならず、効率的に質の高い仕事をするうえで人間関係を良好に築き、保つことは重要です。そのため、転職をする際も職場での人間関係を上手く構築できるかどうがは気になるポイントでしょう。そこで今回は転職活動において、職場の雰囲気や職員同士の関係性など、人間関係に関係する見極め方を紹介します。
たとえ高待遇でも人間関係の悪さで退職につながることも
介護の仕事の中で一人だけでできることは決して多くありません。具体的には入浴介助やトイレ介助、また夜勤は2人体制のところが多いため、長時間一緒の空間で働かなくてはいけません。そのためともに働く職員同士がアドバイスをしあい、協力しあえる体制が整った職場環境であることが重要です。そうした環境が看護の質を保持し、さらには職員の充実感にもつながります。つまり、職場の人間関係は待遇の良し悪し以上に働く意欲を左右するといえます。
こうした傾向は離職理由を調査したデータからも伺えます。それによると、収入の悪さで転職をした人は16.4%、これに対し、人間関係が原因で転職を決めた人は22.7%でした。
(出典:介護労働安定センター「介護労働の現状について」)
転職活動においては、給与面のチェックのみならず、職場の雰囲気を確認することも大切であることを意識しておきましょう。
人間関係の良し悪しを見極めるポイント
実際に働き始める前に人間関係を確実に見抜くことは簡単ではありません。しかし、おおよその人間関係や人間関係が悪くなりやすい環境の有無を知ることは可能です。具体的には次にあげるような方法があります。
■施設の情報を知っているスタッフに尋ねる
介護業界は他の業界と比べても転職者が多い業界です。そのためあなたが気になっている施設の情報を同僚が持っている場合もあります。気になる求人を見つけたら、施設のことを同僚にさりげなく聞いてみましょう。施設に知り合いがいる、以前勤めていたという場合、人間関係に関する情報も手に入れることができる可能性があります。
もし身の回りに情報を持っている人がいないようであれば、口コミサイトの「スタッフボイス」を参考にするのもいいでしょう。実際にその施設で働いたことがある人の生の声を聞くことが可能です。
なお、注意しなければいけないことが一つあります。それは人づてに聞いた情報は、その人の偏見が入り込んでいる可能性があるということです。「人間関係が悪い」と言われていても、働いている人が変わって改善されていることもあるでしょう。またその人には合わなかったけど、あなたとは性格が合う人が多いかもしれません。あくまでも参考程度にとどめておくようにしましょう。
■見学させてもらう
また、施設見学も人間関係を知るためには効果的な方法です。しかし、ただ見て回るだけでは人間関係を知ることはできません。そこで、見学する時には次のようなことを注意して見てみましょう。
◆叱責の声が聞こえるようなら注意
見学をしているとき、スタッフ間で強く注意したり、叱ったりしている様子を見た場合は、その施設で働くことは少し考えた方が良いかもしれません。
来訪者の前でも遠慮なく注意するということは、見えないところではそれ以上に叱責を行っていることも考えられるためです。仮にあなた自身が働き始めた時にも同様の対応をされることが考えられます。そのような環境では、和気あいあいと仕事をすることは難しいでしょう。
◆上司の接し方
見学の時、所属予定の部署の上司にも顔を合わせることがあるでしょう。顔を合わせたとき、上司の方が高圧的、もしくは対応の仕方がいいかげんである場合、この職場で働くことはよく考える必要があります。上司も日常的に関わる相手。たとえ現場の人間関係が良くても、上司と合わなければ大きなストレスになり、働きづらさの原因になります。
◆採用人数を質問する
見学の時には質問をする機会にも恵まれるでしょう。この時、人間関係に関する質問も行いたいところですが、ストレートに人間関係の良し悪しを聞いても、大抵は「人間関係は良い」と、はぐらかされて終わりです。これでは本当の人間関係の良し悪しがどうなのかわかりません。
そこで、人間関係の良し悪しを見極めるためにおすすめの質問があります。それは、今年度の新職員採用人数を確認するというものです。今年度の採用人数を確認したとき、規模拡大でもないのに異常に多い場合、あなたの面接を行う前に何人も辞めていることが考えられます。介護業界において最も多い退職理由は人間関係です。採用人数が異常に多いと言うことは、それだけ退職者も多いことが考えられ、人間関係も悪い可能性があります。
このように、見学を行うことでたくさんの情報を得ることができます。「マイナビ福祉・介護のシゴト」では、求人検索結果から見学会の予約が可能なので、人間関係を始めとしたミスマッチを防ぐためにも利用してみましょう。
■体験させてもらう
介護施設の中には、契約を結ぶ前に1〜2日程度、体験的に働くことができるところもあります。1〜2日程度であるため、人間関係の深い部分まで知ることは難しいかもしれません。しかし実際に働いてみることで、人間関係が悪化しやすい環境かどうかを知ることはできます。例えば、コミュニケーションが活発ではない、態度がきつい人がいる、という環境は人間関係も悪化しやすくなります。
また、右も左も分からない状態で来ているのに、職場体験中ずっと放置されてしまうような場合も要注意。新人教育体制が整っていない可能性があり、いざ働き始めたとき何も教えてもらえず孤立する可能性があります。逆に積極的に声をかけてくれるスタッフがいる場合、孤立する可能性も低いため働きやすい職場であると考えられるでしょう。
まとめ
決して多いわけではありませんが、たとえどんなに待遇面が良くても、人間関係が悪く、すぐに退職を考えたくなるような施設もあります。そのため事前に人間関係を調べることは、転職を成功させるためには重要なことです。
求人情報の確認や口コミを参考にするなど、人間関係の良し悪しを確かめる方法はたくさんあります。多少ハードルは上がるものの、見学や体験を行うと、人間関係の良し悪しがさらにハッキリわかるためお勧めです。もし、見学や体験を申し込む勇気がなかなか出ないという人は、求人情報の定期的な確認などを行い、気持ちが高まってきてから申し込んでもいいかもしれませんね。
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