本日のお悩み
私の周りは職安(ハローワーク)で転職活動をする人が多く、私もそれで転職しました。いちいち職安に行かなくても今はインターネットで求人を探すこともできますよね?職安と、インターネットの転職サイトとはどう違いますか?
メリット・デメリットを把握し、自分にあった媒体を選択しよう
ご質問ありがとうございます。
このコロナ禍。売り手市場だった求人は、一気に買い手市場となりました。つまり、景気の悪化により、一部企業(航空、自動車、飲食業等)は、新規採用を見送るなど、人件費を抑制して事業存続に転換せざるをえない状況となりました。
一方、介護業界はというと一部求職者の増加も見えてきていますが、依然として売り手市場が継続していると言っていいと思います。人材不足の切り札として期待していた外国人技能実習生の来日ストップも影響が大きいですね。
さて、そういった中、どのようにして転職活動をするか?
転職活動の入り口として考えられるハローワーク、人材紹介、求人広告サイトの特徴から考えてみましょう。
■ハローワークの特徴
ハローワークとは、正式には公共職業安定所と呼ばれ、主に職業紹介事業を行っています。国によって運営される点で民間の職業紹介事業者とは区別されます。
そのため、単に希望の職業や職場の紹介だけでなく、その職業の資格取得サポート事業や就労支援事業の活用なども教えてくれます。例えば、介護職であれば、初任者研修、実務者研修(条件を満たせば返済免除)が受講できる事業や離職した介護人材の再就職準備金として40万円を貸付(2年の就労で免除)する事業が該当するでしょう。
介護の人材不足は、国も優先課題として取り組んでいますので、国が運営するハローワークは、介護職にとって有益な情報を得られる機関として活用できます。また、地元の介護施設の説明会をハローワーク主催で実施してくださるなど、求職者と求人者である事業所のパイプ役も熱心に取り組んで下さっています。
デメリットとしては、相談窓口時間が限られていることがあげられます。平日は、8時半から17時程度、土日は隔週がお休みなどが多いようです(詳しくはお近くのハローワークでご確認ください)。仕事をしながらの転職活動では、お休みの日などを活用すると良いのではないでしょうか。
■人材紹介会社の特徴
人材紹介会社(人材バンク)とは、厚生労働大臣の許可を受けて職業を紹介する「民間の職業紹介業」のことを指します。事業所から求人の依頼を受け、転職を希望する求職者から登録を受けた上で、求人希望の事業所へ紹介を行います。
人材派遣会社は、ハローワークと違い、紹介料が発生します。つまり、事業所からの依頼のあった人材と事業所をマッチングすることが、人材紹介会社の収入になるわけです。
この構造は、「求職者にとって、スキル・キャリア・適性などを総合的に考慮し、最適な事業所を紹介してもらえる」、「応募者に代わり、求人事業者へ人材紹介会社がPRしてくれるので、書類通過率が高い」などのメリットがある一方、悪質な人材紹介会社を選定してしまった場合、紹介料目的で、なかば強引にマッチングされる等のデメリットも考えられるため、人材紹介会社の見極めに注意が必要です。
■求人広告サイトの特徴
求人広告サイトは、今もっとも気軽で簡単に求人情報を得られる手段ではないでしょうか。ハローワークや人材紹介会社と違い、対面で人と接する機会が少なく多くの情報を得ることができます。
そのため、ある程度自分の希望条件を絞り込んだ上で目星をつけ、直接事業所に求職活動を行えることがメリットです。熱心な事業所さんでは、多くの方が求人サイトで情報を得ていることを捉え、ホームページ、SNS等での情報発信に力をそそいでいらっしゃり、私も参考にさせていただいています。
デメリットしては、生の声が伝わりにくいことがあげられます。ハローワーク、人材派遣会社は、求職者から問い合わせ事項があった際、担当者の方が間に入って聞いてくれたりしますが、求人サイトは難しいでしょう。最近では、チャットやメールなどで求職者が問い合わせできるフォームが準備されていますが、これは、直接、事業所の採用担当者とやりとりすることとなります。
というわけで、三者三様のメリット・デメリットを述べさせていただきました。
よろしければ、今のご自分の状況に照らし合わせて考えていただければと思います。
また、必ず、これらの求人媒体からの情報だけでなく、自分の目で実際の職場を確認されることをお勧めします。自分の肌に合うかどうか?きっと感じるものもあるはずです。介護はまだ売り手市場です。自分に自信をもって見学にいきましょう。
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)