第32回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(コミュニケーション技術)

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第32回 介護福祉士国家試験の試験科目【コミュニケーション技術】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


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第32回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(コミュニケーション技術)

問題1

直面化の技法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の感情と行動の矛盾点を指摘する。
  2. うなずきやあいづちを用いて、利用者の話を促す。
  3. 利用者が話した内容を、整理して伝える。
  4. 利用者が話した内容を、別の言葉を使って簡潔に返す。
  5. 「はい」や「いいえ」だけで答えられる質問をする。

解答

1.利用者の感情と行動の矛盾点を指摘する。

解説

1.(○)直面化(対決)の技法は、相手が内部に抱えている矛盾や葛藤を発見して明確に示すことで、利用者が納得できる解決へと導くものです。
2.(×)ジェスチャーや言葉により共感を表現するのは、支持(励まし)の技法です。
3.(×)発言内容をタイミング良く的確に整理して返すのは、要約の技法です。
4.(×)別の言葉を使って簡潔に返すことで気付きを促すのは、言い換えの技法です。
5.(×)選択肢の内容は、閉じられた質問(クローズド・クエスチョン)の技法です。

問題2

意欲が低下した人とのコミュニケーションの基本として、最も優先すべきものを1つ選びなさい。

1.考え方を変えるように促す。
2.早く元気を出すように励ます。
3.意欲が自然に回復するまで待つ。
4.意欲低下の背景を考える。
5.自己決定してもらうのは避ける。

解答

4.意欲低下の背景を考える。

解説

1.(×)考え方を変えるように促すことは、否定的な対応であり適切とはいえません。本人に寄り添って、その感情を理解する姿勢が大切です。
2.(×)励ますだけでは根本的な問題解決につながりません。安易な励ましの言葉が、その人にとって負担になってしまうこともあります。
3.(×)無責任ともいえる対応です。意欲の低下が改善するよう、一歩踏み込んだ支援が望まれます。
4.(○)適切な支援を行うために、まずは共感しながら本人の話を傾聴し、情報収集した上で課題を分析していくプロセスが大切です。
5.(×)自己決定は尊重すべきであり、不適切な対応です。

問題3

視覚障害者とのコミュニケーションに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.挨拶するときは後ろから声をかける。
2.話しかけることは最小限にとどめる。
3.聴覚、触覚、嗅覚を活用する。
4.声の強弱などの準言語の活用は控える。
5.方向を示すときは「あちら」「そちら」と表現する。

解答

3.聴覚、触覚、嗅覚を活用する。

解説

1.(×)後ろや遠くから声をかけても気づきにくいため、近寄って前方から声をかけることが適切です。
2.(×)話しかけることを最小限にとどめる必要はありませんが、情報を分かりやすく伝えるために適切な言葉を選択する必要があります。
3.(○)視覚障害者の持つ聴覚、触覚、嗅覚を最大限に活用することは、本人のQOLの向上につながります。
4.(×)声のトーンや強弱、速度などの準言語が発するメッセージは、コミュニケーションに大きな影響を及ぼします。準言語的コミュニケーションを活用して、表現力豊かに情報提供することが適切です。
5.(×)「あちら」「そちら」などの抽象的な言葉は避け、左右や前後、時計の針が示す位置など具体的に方向をイメージできる言葉を使用します。

問題4

客観的事実を表す介護記録として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.16時頃、「仕事は終わりました。家に帰ります」という発言があった。
2.自宅のことが心配になって「家に帰る」という発言があった。
3.不安時に無断外出が心配されるため、様子の観察が必要と考える。
4.認知症(dementia)が悪化し、ここがどこなのかを理解していないようだ。
5.帰宅願望があったが、特に問題はなかった。

解答

1.16時頃、「仕事は終わりました。家に帰ります」という発言があった。

解説

客観的事実とは、実際に起こったことで、誰が見ても変わらないありのままの事実を意味します。
1.(○)時刻と利用者のそのままの発言が記載されており、客観的事実を示す介護記録として適切です。
2.(×)発言自体は客観的事実ですが、「自宅のことが心配になって」の部分が記録者の主観となっています。
3.(×)「不安時に無断外出が心配される」と「様子の観察が必要と考える」は、どちらも記録者の主観です。
4.(×)「認知症が悪化」「ここがどこなのかを理解していないようだ」は、どちらも記録者の主観です。
5.(×)「帰宅願望があった」という推測や、「特に問題はなかった」という判断は、どちらも記録者の主観です。

問題5

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(20歳、男性)は、中度の知的障害を伴う自閉症(autism)があり、2か月前から就労継続支援B型事業所を利用している。Jさんは、日常生活に関することは自分の感情を伝えることができるが、他者の感情を読み取ることや抽象的な言葉の理解は苦手である。
また、社会的な善悪に照らして自分の言動を判断することが難しい。

ある日、事業所で作業中にJさんが興奮して他の利用者を叩(たた)いた。
介護福祉職は二人を引き離し、Jさんを個室に連れて行って対応した。
作業終了後、同居している家族にJさんの出来事を伝えた。
家族はJさんに、「どうしてそんなことをするの。いつもだめなことばかりして」とイライラした口調で叱った。

Jさんを個室に連れて行ったときの、介護福祉職のJさんに対する最初の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「人を叩くのは許されません」
2.「相手の気持ちを想像しましょう」
3.「自分のしたことを反省しましょう」
4.「ここで話をしましょう」
5.「なぜ叩いてしまったのですか」

解答

4.「ここで話をしましょう」

解説

1.(×)人を叩くことが許されない理由を具体的に伝える必要があります。
2.(×)他者の感情を読み取ることが難しいJさんには不適切な言葉です。
3.(×)抽象的な言葉の理解は苦手であるため、分かりやすい言葉で伝える必要があります。
4.(○)個室に連れてこられても、Jさんはここで何をするつもりなのか推し量ることができずに不安な状態であると推察されます。気持ちを落ち着かせるためにも、最初の言葉かけとして適切な内容です。
5.(×)社会的な善悪に照らして自身の言動を判断することが難しいため、叩いた理由を聞くことでJさんの混乱を招く可能性があります。

問題6

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(20歳、男性)は、中度の知的障害を伴う自閉症(autism)があり、2か月前から就労継続支援B型事業所を利用している。
Jさんは、日常生活に関することは自分の感情を伝えることができるが、他者の感情を読み取ることや抽象的な言葉の理解は苦手である。
また、社会的な善悪に照らして自分の言動を判断することが難しい。

ある日、事業所で作業中にJさんが興奮して他の利用者を叩(たた)いた。
介護福祉職は二人を引き離し、Jさんを個室に連れて行って対応した。
作業終了後、同居している家族にJさんの出来事を伝えた。
家族はJさんに、「どうしてそんなことをするの。いつもだめなことばかりして」とイライラした口調で叱った。

Jさんを叱った家族への介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.叱ることは正しいと支持する。
2.家族の対応は間違っていると否定する。
3.Jさんへのこれまでの対応や思いを聴く。
4.家族の対応には介入せずに黙認する。
5.介護福祉職の指示どおりに対応するように伝える。

解答

3.Jさんへのこれまでの対応や思いを聴く。

解説

1.(×)介護福祉職が善悪の評価を行い、家族を一方的に支持する対応は不適切です。
2.(×)叱ってしまった家族の思いも受容する必要があり、間違っていると断言することは不適切です。
3.(○)家族に対しても傾聴の姿勢が基本であり、介護福祉職として最も適切な対応だといえます。
4.(×)「いつもだめなことばかりして」と家族がイライラしていることからも、Jさんや家族が抱える課題の解決に向けた支援が必要な場面であり、黙認するのは無責任です。
5.(×)家族の言動に対して、介護福祉職が何らかの指示を行うことは不適切です。
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