第32回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(生活支援技術)

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第32回 介護福祉士国家試験の試験科目【生活支援技術】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


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第32回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(生活支援技術)

問題1

一戸建ての住宅に暮らす利用者の地震対策に関する訪問介護員(ホームヘルパー)の助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.家具には、キャスターをつける。
2.書棚の上部には、重い物を収納する。
3.食器棚は、ガラス扉を外す。
4.外への避難経路は、玄関の1方向とする。
5.非常時に持ち出す物は、リュックサックにまとめておく。

解答

5.非常時に持ち出す物は、リュックサックにまとめておく。

解説

1.(×)キャスターを付けた家具は、地震の際に動いて不安定になります。L字金具や家具転倒防止用品などを用いて、家具を固定することが適切です。
2.(×)上部に重い物を収納すると、書棚が倒れやすくなってしまいます。重心を低くするため、重い物を下部に、軽い物を上部に収納するよう指導します。
3.(×)ガラス扉を外すと、揺れにより食器が飛散してしまいます。ガラスには飛散防止フィルムの貼付、扉には開放防止器具の設置などを指導することが適切です。
4.(×)外への避難経路は、複数確保しておくよう指導します。
5.(○)非常時の混乱を軽減するためにも、平常時から持ち出し品を準備しておくことが大切です。両手が自由に使えるリュックサックは、安全な避難行動に有用です。

問題2

介護保険の給付対象となる住宅改修を利用してトイレを改修するとき、介護福祉職が助言する内容として、正しいものを1つ選びなさい。

1.開き戸は、自動ドアに変更できる。
2.和式便器の上に、腰掛け便座を設置できる。
3.滑りにくい床材に変更できる。
4.取り外しが可能な手すりを設置できる。
5.現在使用している洋式便器に、洗浄機能を付加できる。

解答

3.滑りにくい床材に変更できる。

解説

1.(×)開き戸を引き戸に変更することはできますが、自動ドアへの変更は対象外です。
2.(×)和式便器を洋式便器に取り換える場合は住宅改修の対象となりますが、腰掛け便座の設置は特定福祉用具販売の対象となっています。
3.(○)滑りにくい床材への変更は、住宅改修の対象となります。
4.(×)手すりを工事によって取り付ける場合は住宅改修の対象となりますが、取り外しが可能な手すりは福祉用具貸与の対象となっています。
5.(×)洗浄機能の付加は、住宅改修の対象外です。

問題3

ユニバーサルデザイン(universal design)の7原則に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.高齢者が優先的に使用できる。
2.使い方を統一する。
3.情報伝達の手段は一つにする。
4.使用するためには訓練が必要である。
5.誰にでも使える大きさと広さが確保されている。

解答

5.誰にでも使える大きさと広さが確保されている。

解説

ユニバーサルデザインとは、年齢、性別、人種、障害の有無などにかかわらず、すべての人が利用しやすい製品、サービス、環境をデザインする考え方です。
(1)公平な実用性、
(2)柔軟性、
(3)単純性と直感性、
(4)認知性、
(5)許容性(安全性)、
(6)効率性、
(7)スペースと利用しやすいサイズ――が7原則とされています。

1.(×)特定の人に優先的であることは、公平な実用性の原則に反しています。
2.(×)使い方を統一することは、柔軟性の原則に反しています。
3.(×)情報伝達の手段を一つにすることは、認知性の原則に反しています。
4.(×)使用するために訓練が必要であるならば、効率性に欠けてしまいます。
5.(○)スペースと利用しやすいサイズの原則を満たしており、適切だといえます。

問題4

右片麻痺の利用者が、手すりを利用して階段を昇降するときの介護に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.手すりが利用者の右側になるように声をかける。
2.階段を昇るとき、利用者の左後方に立つ。
3.階段を昇るとき、右足から出すように声をかける。
4.階段を降りるとき、利用者の右前方に立つ。
5.階段を降りるとき、左足から出すように声をかける。

解答

4.階段を降りるとき、利用者の右前方に立つ。

解説

1.(×)右片麻痺の場合は、健側の手でしっかりと握るために、手すりが利用者の左側になるように声をかけることが適切です。

2.(×)患側である右足の力が弱いために、バランスを崩して転倒・転落する可能性があります。階段を昇るときは、原則として利用者の右後方に立ち、転落を予防します。

3.(×)患側の足は屈伸が困難なため、1段目を昇ることが難しい状態です。右片麻痺の場合は、健側である左足から出すように声をかけます。

4.(○)患側である右足の力が弱いために、バランスを崩して転倒・転落する可能性があります。階段を降りるときは、1段下で利用者の右前方に立って介助し、転倒・転落予防に努めます。

5.(×)階段を降りるときは、患側の足を軸にすると支え切れずにバランスを崩す可能性があるため、左足を軸として残し、患側である右足から出すように声をかけることが適切です。

問題5

清拭の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.目のまわりは目尻から目頭に向かって拭く。
2.背部は患側を下にして拭く。
3.腹部は臍部(さいぶ)から恥骨部に向かって拭く。
4.両下肢は末梢(まっしょう)から中枢に向かって拭く。
5.皮膚についた水分は最後にまとめて拭く。

解答

4.両下肢は末梢(まっしょう)から中枢に向かって拭く。

解説

1.(×)顔や首は、中央から外側に向かって拭くことが基本となります。目の周囲は、目頭から目尻に向かって拭きます。

2.(×)患側を下にすると重力により負担がかかり、循環障害をきたす可能性があります。背部は、患側が上になるよう側臥位にして拭くことが適切です。

3.(×)腹部は、大腸の走行に沿って「の」の字を描くように拭くと、腸の蠕動運動を促進する効果が期待できます。

4.(○)両下肢は、末梢から中枢に向かって拭くと、血液循環を促進する効果が期待できます。

5.(×)濡れた状態の皮膚を放置すると、気化熱により寒さを感じるため、逐次水分を拭き取ることが適切です。

問題6

利用者の状態に応じた入浴の介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.血液透析を受けている人は、透析直後に入浴する。
2.胃ろうを造設している人は、入浴を控える。
3.心臓機能障害がある人は、半身浴にする。
4.酸素療法を行っている人は、鼻カニューレを外して入浴する。
5.回腸ストーマを造設している人は、食後1時間以内に入浴する。

解答

3.心臓機能障害がある人は、半身浴にする。

解説

1.(×)血液透析後は血圧が低下しているため、透析を受けた日は原則的に入浴禁止となります。

2.(×)胃ろう造設による入浴制限は必要ありません。入浴後は、負荷をかけずに優しく水分を拭き取り、自然乾燥させます。

3.(○)入浴の作用には、温熱作用、浮力作用、静水圧作用の3つがあります。静水圧作用では水圧によるマッサージ効果が期待できますが、循環血液量増加により心肺に負担もかかるため、心臓機能障害がある場合は半身浴にすることが適切です。

4.(×)入浴時は酸素消費量が増加するため、鼻カニューレは装着したままで入浴します。

5.(×)食後は排泄が促される時間帯であり、入浴には適していません。食前や、食後2時間以上空けた時間帯が適切です。

問題7

睡眠薬を服用している高齢者への介護福祉職の対応として、適切なものを1つ選びなさい。

1.アルコールと一緒に服用してもらった。
2.服用後、1時間は起きているように伝えた。
3.日中、ふらつきがみられたので医師に伝えた。
4.通常の量では眠れないと言われたので、追加して飲むように伝えた。
5.体調に合わせて服薬時間を変更した。

解答

3.日中、ふらつきがみられたので医師に伝えた。

解説

1.(×)アルコールと一緒に服用した場合、薬物の吸収が促進されて血中濃度が高まり、副作用(有害作用)が出現する可能性があります。
2.(×)服用後10~30分で効果が現れるため、1時間も起きているように伝えることは不適切です。
3.(○)高齢者は代謝機能が低下していることから、薬物の作用が必要以上に残存する可能性があります。日中にふらつきなどの気になる症状がみられたときは、医師に伝えることが適切です。
4.(×)服用量の調整は、医師が行うべき医行為です。利用者の訴えを医療職に伝えることが適切な対応です。
5.(×)服薬時間の変更を判断するのは医師の役割です。体調変化などの情報を医療職に伝えることが適切です。

問題8

高齢者施設において介護福祉職が行う死亡後の介護について、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.ペースメーカーを取り除く。
2.口が閉じない場合は紐(ひも)で顎を固定する。
3.衣服は着衣がしやすい服を選ぶ。
4.全身清拭には水を使用する。
5.家族に、死亡後の介護を一緒に行うかどうかを確認する。

解答

5.家族に、死亡後の介護を一緒に行うかどうかを確認する。

解説

1.(×)人工呼吸器やドレーンなどの医療機器は取り除きますが、ペースメーカーを取り除く必要はありません。
2.(×)顎を引いた状態にすると口は閉じます。枕を高くして、顎の下に丸めたタオルなどを入れて固定することが適切です。
3.(×)その人らしく美しい外観に整えることで、家族は悲しみの中でも納得して満足感を得ることができます。着衣のしやすさよりも、好みであった衣類を家族と相談して選ぶことが適切です。
4.(×)一般に、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどを用いて消毒した後、ぬるま湯などで清拭します。
5.(○)遺族ケアの観点から、家族と医療職・介護福祉職が一緒になってエンゼルケアを施すケースもあります。家族の意向を確認するとよいでしょう。

問題9

左半側空間無視のある利用者の食事介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.利用者の左側にトレー(tray)を置く。
2.トレー(tray)の右側に印をつける。
3.クロックポジションに従って配膳する。
4.食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える
5.利用者の右側にあるテレビをつけておく。

解答

4.食べる様子を観察して適宜食器の位置を変える。

解説

半側空間無視は高次機能障害の症状の一つで、視力や聴力などの器質的な問題がないにもかかわらず、患側の空間が認識できない状態になります。

1.(×)左側の空間は認識できないため、右側にトレーを置くことが適切です。
2.(×)トレーの右側は認識できているため、印をつける意味はありません。
3.(×)クロックポジションは、「○時の方向に××があります」と、アナログ時計の短針になぞらえて位置を伝える方法です。視覚障害者に目の前の状況を知らせる際に有効な手段となります。
4.(○)実際にどの範囲が認識できているのかを観察し、適宜食器の位置を入れ替えることで自力での摂取が容易になります。
5.(×)患側である左方向のテレビをつけておくと、左側へ注意を向ける効果が期待できます。

問題10

眠れないと訴える高齢者に介護福祉職が行う助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.起床時に日光を浴びるように勧める。
2.日中、長い昼寝をするように勧める。
3.夕食後2時間以内に就寝するように勧める。
4.寝る前に緑茶を飲むように勧める。
5.決まった就床時刻を守るように勧める。

解答

1.起床時に日光を浴びるように勧める。

解説

1.(○)まずは概日リズム(サーカディアンリズム)を整えることが重要です。起床時に日光を浴びることで、脳内神経伝達物質であるセロトニンや、夜間の睡眠を促すホルモンであるメラトニンの増加を促すことができます。
2.(×)日中の長い昼寝は、夜間の質の高い睡眠を妨げる原因となります。
3.(×)夕食後2時間以内では、消化管が活動しているため寝付きが悪くなる可能性があります。夕食は就寝時間の3時間前までに摂取することが推奨されます。
4.(×)緑茶やコーヒーは、覚醒作用や利尿作用を有するカフェインを多く含むため不適切です。
5.(×)就寝時刻を守るように伝えると、プレッシャーのためにかえって眠れなくなる可能性があります。
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