本日のお悩み
介護職 新卒 有資格者2年目です。
私は、つい先日夜勤帯にコールが重なったことで焦り、壁に右顔面をぶつけ、ご利用者に怪我をさせてしまいました。皮下血腫もすごく、目の周りも真っ青です。
それ以降、この怪我が原因でケアに入るのも怖いですし、仕事を行くのも億劫になり施設に入る前は吐き気と動悸もしてくるようになりました。
何より自分の行いのせいで人を簡単に怪我をさせてしまう、酷い場合は死に至ってしまう可能性もあるのだと深く考え込んでしまい、今の自分は責任が持てるのか、この責任の重さに耐えられるかと家にいてもずっと考えてしまいます。
周りの職員はベテランの優しい方ばかりで、「焦ることは誰にでもある。次に活かそう」「みんな経験してるから大丈夫。割り切っていこう」と声をかけてくれる方もいます。
まだ社会に出て2年目の介護の知識も経験も少ないのは重々承知していますし、介護事故が付き物であることも分かってます。
ですが実際に他人に怪我をさせてしまうことの責任の重さに正直耐えられないのです。
また、求人では年間休日120日以上だと書いてあったのに休日出勤が強制され96日しかありません。
人が少ないため、通し勤務という7時から19時半までの勤務もあったりします。
正直プライベートもままならず、家に帰ってきて寝てまた仕事みたいな生活が続き疲れが取れず、家事もろくに出来ません。
働きながら「自分は何をしているんだろう。」と考えてしまい、泣きそうになってしまいます。
まだ2年目という働き出して少ないですが、この際いちど介護職を辞めて違う職種を探そうかなと思っています。
今の状態のまま、我慢して経験を積んで働くべきでしょうか?
質問者:みくるふる さん
介護の仕事とご利用者様を、大切に思うからこそ
ご質問、ありがとうございます。
相手の痛みを相手以上に感じることのできる、感受性が豊かで責任感の強い方なのでは・・・と拝見しております。
今の体調は如何ですか? 夜は眠れているでしょうか?
夜勤帯のそのようなご経験、お辛かったですよね。
ご利用者様の怪我の状態も、目にする度思い出してしまいますよね。
そんな中、頑張って頑張って仕事に向かわれてる。それだけで本当はとても凄いことなのですが、今はそう思えないかもしれませんね。
このメッセージが届く頃には、心が少しでも緩んでいることを願いながら
私の経験から少し、お話しさせて頂きますね。
■自分を責めすぎないで
実は私も、特別養護老人ホームで働いていたとき、同じような経験があります。
今でもはっきりと思い出すことができる出来事です。
夜勤中に転倒され骨折、そこから入院となり、その方は施設に戻ってくることなく、ご逝去されてしまったんです。
あの時は「あぁ、転倒するような状況を改善していたら、まだ施設で笑って暮らせていたかもしれない」と落ち込み、自分を責めに責めていました。
なんとか、仕事は出来ていましたが、ご質問者様も話されているような「この仕事の重責」を思うと、そのストレスは見ないふりをしていても溜まっていったのでしょう。
後々、いろんなことが重なった時に爆発し、強制停止になり(パニック発作からうつ病へと拗らせました)20代の良い時期を数年間、暗黒期にしてしまいました。
もちろん、今となってはどれもあの時は必要な経験で、過去があったから今があると思えていますが、当時は「どうしてこんな風になってしまうんだろう」と、自分の状態にも辟易していました。
・・・と「自分を責め始めるとどこまでもダークサイドに寄ってしまう」ということを、私はここから学びました。
■その悩みは、介護の仕事を大切に思っている証明です
今ならわかるのですが、心身ともに影響があるくらい私は“介護の仕事を大切に思っていた”ということです。
自分の中で本当に真剣に、大事に、大切にしたいからこそ、ここまで真剣に(体を壊すくらい)心を痛めるほど真摯に受け止めて考えてしまう。
これって本当はとってもすごいことなんじゃないかなと思います。
同じように、ご利用者様に怪我をさせてしまったことがあっても、そこまで自分の毎日には影響を及ぼさない方もいますよね。
もちろん、物の捉え方や環境もありますが、想いの差でも起こってくるのは、ご質問者様も感じるのではないでしょうか?
大切に思うからこそ、そのギャップが生まれた時に苦しくなるのです。
でもこれは、裏返すと介護の仕事をとても「大切に思っている」証明ではないでしょうか?
まず、この部分を受け止めて、ここからは少し自分に優しく考えていきませんか?
■辛いときは思い切って休んでみて
というのも、他人の声は耳を塞げば聞こえなくなりますが、自分の意識の中の声は自分が意識してストップをかけないと
延々と自分に対してのジャッジ(批判や否定)を繰り返してくるのです。
たとえば、毎日何度も「こんな風になってしまうお前はなんてダメなやつなんだ」・・・なんて言われ続けたとしたら、自分に自信なんて持てなくなるのは当たり前です。
ご質問者様の意識の中の声が、もしも否定的なことばかりだとしたら
その声が聞こえてきた時には「好きな匂いを嗅いだり、炭酸飲料やタブレットを飲んだり、立ち上がったりと、体に何か刺激を与えて思考を止めてください。
これを意識してするうちに、自分の頭の中のネガティブな声は、少しずつ止んできます。
ただ、そんな気持ちも沸かない時は、思い切って休みをとって眠って下さい。
(無責任に、と思われるかもしれませんが、何よりも大事なのはあなたの身体です。どうにもならないと感じていたら、自分からのSOSと思って、今の自分のことを大事にして下さい。仕事をして価値を提供するのは、その先の話です。まずあなたが大切です。)
眠れないし食べることも難しい時には、信頼できるお医者さんに相談するのも良いと思います。
まずは自分の身体や心が出しているサインを受け取って、少し落ち着いてこれからのことを考えられるようにしましょう。
その後、今度は自分を責めることに頭を使うのは止めて「どうすれば事故が起きないような工夫ができるだろう」と、チームの皆さんで話し合うことが出来たら、きっと少しずつ行動ができる方向に向かうのではないでしょうか?
■労働時間と休日については、確認と相談を
ただし、12時間半労働は当たり前じゃありません。
求人の際の休日日数が明らかに違うことと、12時間半の通し勤務については、全く別な問題となります。
まず、求人票での記載と、実際の年間休日日数の違いについては
求人票ではなく、労働条件を書面で表した「雇用契約書」や「労働条件通知書」にはどのように記載があるかを確認して下さい。
ここと実際の労働条件が違う場合、労働者は明示された条件通りにするよう会社に要求する権利があります。(労働基準法第15条)
また、勤務時間ですが(休憩時間がどのくらいあるかも加味されますが)1日12時間労働×週5日勤務は違法の可能性が高いと言えます。
残業代は8時間を超えた分はきちんとついているでしょうか?
毎日4時間以上残業して月間80時間以上の残業、これは過労死ラインオーバーです。
これは、精神的・肉体的にも負担はかなり強くなり、それは介護職を辞めて違う職種を探そうという気持ちになるのは当たり前です。
変則勤務で計算が難しいかもしれませんが、タイムカードも時間内に切らされるなどの場合には最悪手書きでも出勤時間のメモをとっておき、給与明細などと保管し、いざとなったら労働基準監督署などへの相談も検討できる事柄かと思います。
ですが、チームの先輩方は共感と励ましを下さっていることを見ると、少なくとも相談ができる方はいらっしゃるようにお見受けします。
まずは信頼できる職場の方に、相談することから初めてみて下さい。
■最後に
たまに12時間労働の日がある位なら問題ないかもしれませんが、もし頻繁に長時間労働が繰り返されている場合、心身ともに疲れ切ってしまうのは当たり前です。
我慢するのではなく、ご質問者様のこれからの自分自身の一度しかない人生、どうか自分の人生の操縦席を誰かに明け渡さず、ハンドルをしっかり握って下さい。
自分自身との戦いの末に身に付いた微笑みには、他人を癒す力があります。
社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士