第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(人間の尊厳と自立)
■問題1
自宅で生活しているAさん(87歳、男性、要介護3)は、7年前に脳梗塞(cerebral infarction)で左片麻痺(ひだりかたまひ)となり、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用していた。
Aさんは食べることを楽しみにしていたが、最近、食事中にむせることが多くなり、誤嚥(ごえん)を繰り返していた。
誤嚥による緊急搬送の後、医師は妻に、「今後も自宅で生活を続けるならば、胃ろうを勧める」と話した。
妻は仕方がないと諦めていたが、別に暮らしている長男は胃ろうの造設について納得していなかった。
長男が実家を訪れるたびに、Aさんの今後の生活をめぐって口論が繰り返されていた。
妻は訪問介護員(ホームヘルパー)にどうしたらよいか相談した。
介護福祉職の職業倫理に基づく対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.「医療的なことについては発言できません」
2.「医師の判断なら、それに従うのが良いと思います」
3.「Aさん自身は、どのようにお考えなのでしょうか」
4.「息子さんの気持ちより、一緒に暮らす奥さんの気持ちが優先されますよ」
5.「息子さんと一緒に、医師の話を聞きに行ってみてください」
■解答
3.「Aさん自身は、どのようにお考えなのでしょうか」
■解説
1.(×)伝えている内容は介護福祉職として正しいのですが、Aさんの妻が聞きたいのは医療的なことだけとは限りません。相談内容を一方的に限定して返答したために、相談者が拒絶されたと誤解しかねない不適切な対応となっています。
2.(×)Aさんの妻も同意見ですが、見解の異なる長男の意見も尊重する必要があります。
3.(○)介護福祉職として最も尊重すべきなのは、利用者本人です。本人の思いに寄り添うことが何よりも重要であり、それが不明であれば最優先で確認するよう促すことが適切な対応です。
4.(×)あくまでも介護福祉職は中立な立場で支援すべきであり、どちらか一方を優先する発言は適切とはいえません。
5.(×)結果的にそうなる可能性はありますが、その前にAさん本人や家族が話し合い、考えをまとめられるような声かけが望まれます。
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