本日のお悩み
来月、初任者研修を修了する者です。
せっかくなので介護士として働いてみたいのですが、障がいの分野にするか高齢者の介護にするか迷っています。
未経験者におすすめなのはどういう分野がいいでしょうか?
未経験かどうかよりも何がしたいか?が大事
ご質問ありがとうございます。
このご質問、よくいただくことがあります。
おそらく、初任者研修にて「介護職=専門職」と先生から耳にタコができる程お聞きになったことと想像できます。
実は、自分も教壇に立った時は、良く言っていますから笑
■なんでも最初は未経験
もちろん、「介護職=専門職」なのは間違いありません。
その意識を持っていただきたいという教える側の想いもありますが、「自分にできるのだろうか?」とちょっと不安になってしまうのも事実。
しかし、未経験とは経験したことがないという意味ですよね。
世の中には未経験なことがたくさんあります。
その一つひとつを経験したことがないと避けていたのでは、生きていけませんし、成長もないでしょう。
■就職先の現場としては、未経験な方がありがたい場合もある
そもそも、就職先側としては、最初からできると思っていません。
できなくて当たり前で結構。
ちょっとした経験があって、それが偏った足かせとなるならば、むしろ、全く無の状態で入職して、素直に、スポンジのようにまずは吸収して欲しいと思っています。
歌舞伎用語で「型破り」という言葉があります。
革新的な人というイメージがありますが、型ができている人が型を破るからこそ評価されるわけで、型がない人が破ってもなんでもない話だそうですよ。
つまり、未経験だというのは個人的な不安要素であるだけで、働く先(現場)としては、未経験な方が良い場合があるということです。
■「キャリア・アンカー」という考え方を知っていますか?
さて、ではどうやって障害の分野か高齢者の分野かを選択すれば良いのか?
そもそも何で質問者さんは「初任者研修」を受講されたのですか?
仕事を選ぶ上で大切なことは、自分が仕事に求めているもの、自分の価値観について客観的に把握することです。
例えば「キャリア・アンカー」という考え方があります。
アンカーとは船の錨(いかり)、つまり、自分は何で働いているのかを不動のものとするということです。
たとえば、高齢者分野であれば、「幼少期におじいさん、おばあさんに良くしてもらったから恩返しをしたい」
または、「自分の両親が高齢化した時支えるための知識、経験として働く」なんていう考えもあると思います。
障がい者分野においても、「ボランティア経験を通じて障がい者の方を支えたいと感じた」とか「障がいがあってもその可能性をサポートしたい」という想いなどが考えられますね。
■自己分析で、自分のことを知ることから
もし、質問者さんがその想いや考えがまだボヤッとしているのであれば、是非、自己分析をして自分の過去や内心を振り返ってみてください。
書店などにいくと様々な自己分析本が出ているので、何か手にとってみることもおすすめです。
(私はFFS理論やストレングス・ファインダーをやってみました)
更に、他人に自分のことをインタビューしてもらうこともおすすめです。
自分自身がどういうタイプの人間か?自分だけで考えていても偏った捉え方になってしまいます。
単純に仕事内容から選ぶのではなく、自分の内面にこそ選択のヒントがあるという考え方です。
■「できそう」ではなく「やりたい」という視点で仕事探しを
世間では、「自分が何をしたいか?」ではなく、「自分ができそうな分野」から仕事を探す方が多いと感じます。
しかし、仕事ですから苦手な仕事を頼まれることもあるかもません。
そんな時、「思っていた仕事と違う」と思うか?
「自分がやりたいと決めて選んだ仕事の一つだから苦手だけどやってみよう」と思えるか?
実は、これが、仕事を継続するための重要な要素なのです。
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)