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ヘルパーが仕事をきついと感じるのはどんなとき?理想の職場の選び方は?専門家が解説します!

ヘルパーが仕事をきついと感じるのはどんなとき?理想の職場の選び方は?専門家が解説します!

[2024年7月更新]ヘルパーが「きつい…」と思ってしまうのはどんなとき?きついと感じる要因になりやすい5つの場面と、理由や原因・対処法を解説します。また、職場選びに迷った際の選定ポイントも解説!【回答者/専門家:脇 健仁・大庭 欣二】


目次

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本日のお悩み

未経験でヘルパーの仕事をするのはきついでしょうか?
先日資格を取ったばかりなのですが、周りから「訪問ヘルパーはきついからやめたほうがいい」
「最初は施設がいい」と言われます。
訪問ヘルパーの大変な点や、働く場所を選ぶうえでのポイントを教えてください。

訪問ヘルパーがきついと感じる5つの場面について、その原因と対処法を解説します!

人間関係

訪問介護は介護業界の中でも特に「きつい」と言われがちな職種です。一方で訪問介護は夜勤がないことや、午前のみ・午後のみといった働き方もしやすいためライフスタイルに合わせて働きたい方におすすめの職種でもあります。

この記事では、訪問介護が「きつい」と感じる状況や、その原因・改善策などを解説し、職場選びに困った際の選定ポイントなども解説します!

執筆者/専門家

脇 健仁

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/22

ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役 株式会社ゆりかご 代表取締役 茨城県訪問介護協議会 副会長 茨城県難病連絡協議会 委員 水戸在宅ケアネットワーク 世話人 介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員

訪問介護がきついと感じてしまう場面として、主に以下の5つが挙げられます。
1.利用者さんから過剰なサービスの要求をされるとき
2.事業所から自分の能力以上の業務を要求されるとき
3.自分の努力が認められないとき
4.人間関係において悩みを抱えたとき
5.利用者さんにやっていないことで疑われたとき

1.利用者さんから過剰なサービスの要求をされるとき

*原因*
・利用者さんの要求が介護保険法の範囲を超えている
・自分自身がヘルパーとして経験不足であり対応することが難しい

対処法1:契約時にきちんと説明する

私たち介護サービスは介護保険法によりサービス内容や範囲が定められています。しかし実際の現場では、利用者さんやそのご家族から、それ以上のサービスを求められる場合もあります。

この場合、一番の対処法は契約時にきちんと説明をすることです。私たちはどのようなサービスを、どのような範囲・条件で提供できるのか、ケアプランに位置付けられているものかどうかなど、自分たちの職域について、利用者さんがしっかりと理解できるよう説明を行う必要があります。

対処法2:管理者や責任者、ケアマネジャーから説明する

とはいえ、すべての事柄に対し、事前に備えることができるとは限りません。
サービス提供後に、このような問題が起こった場合は、管理者やサービス提供責任者なども同席をし、事業所としてできることを説明し、利用者さんに理解を求めます。

それでも解決が難しい場合は、ケアマネジャーに協力を依頼し、サービス担当者会議を開催し、サービス利用時の再確認を行います。 このように、利用する側にヘルパーができることを、理解してもらうように努めることが大切です。

対処法3:経験不足の場合は自己研鑽を

もう一つはヘルパー側の経験不足についてです。介護サービスは、科学的根拠に基づき、ケアを行わなければなりません。また介護技術も日々進歩しています。きちんと利用者さまの状態をアセスメントし、適切なサービスを、正しい技術で提供するためには、自己研鑽が必要です。

資格を取得するだけでなく、取得後も研修や講習に積極的に参加し、自己成長を目指していきましょう。

2.事業所から自分の能力以上の業務を要求されるとき

*原因*
・雇用契約や労働条件のずれ
・事業所側の評価と自己評価のずれ

対処法1:我慢せず、周囲へ相談する

自分の限界を超えたり、許容範囲を逸脱する仕事量では、仕事は続きません。働く際に事業所と締結した雇用契約や労働条件は自分に適しているでしょうか。

働いてみて、思っていた労働環境と違うと感じることもあると思います。このような場合は、我慢をせず、きちんと上司に相談することをおすすめします。

事業所としては、人材不足であるかつせっかく採用した職員に、我慢して離職されるより、相談を受けてその方のできる範囲で仕事を続けてもらえる方が良いのです。自分の心身の許容範囲より負担が大きいと感じたら、すぐに相談しましょう。

対処法2:事業所側も、気軽に相談できる風土の醸成を

また、事業所側では、気軽に相談できる企業風土の醸成も課題の一つです。いかに上司と部下がコミュニケーションを密にとっているかが、離職率低下の鍵となります。

忙しい介護現場におけるコミュニケーションをとる手法として、私は1on1面談の導入をお勧めします。上司が部下のために時間を作り、定期的に部下の想いや考えを聞く機会を作ります。上司としては部下の悩みをいち早く把握でき、対処できますし、部下としては、我慢することなく働きやすい環境で、自分らしく働くことができるようになります。

3.自分の努力が認められないとき

*原因*
・コミュニケーション不足
・人事制度の不十分さ

対処法1:上司が自身の行動を把握してくれているか確認する

給与や処遇などが、自己評価の努力量とアンバランスな状態だと仕事は続きません。

給与については事業所によって差はありますが、私たちは介護報酬という国が決めた基準でサービスの対価をいただくので、給与を上げるとしても限界があり、誰にでも昇給させるというわけにはいきません。 よって、自身のやっていることなどを正しく上司に把握してもらい、適切な評価をしてもらう必要があるのです。

対処法2:事業所側は、人事評価や制度が正しく評価できるものになっているか確認する

事業所や会社には理念があります。理念とは、その事業所や会社が一番大切にしている価値観は何かということです。それぞれの事業所で大切にしていることは違うので、人事評価も違って当たり前なのです。

しかし、ヘルパーが会社の理念に則り、良いサービスを提供しても、そのことが評価に反映されない評価制度であれば、当然ヘルパーは報われません。現在は介護職員等処遇改善加算を、適切なキャリアパス制度や人事評価制度などの導入で加算を取得できる形になっています。ただ導入するのではなく、自分たちの事業所の理念に合い、従業員を適切に評価できる制度になっているか、ぜひ確認をいただければと思います。

4.人間関係において悩みを抱えたとき

*原因*
・ヘルパー側が多様性を受け止める姿勢で利用者さんと関わることができていない

対処法1:自分の価値観だけで物事を判断しない

訪問介護ではヘルパーと利用者さまは1対1となります。そのため、関係性が悪化すると、訪問継続が困難になるケースが多いと思います。
関係性の悪化については、利用者さまとヘルパーとの相互関係によるものですので、一概に解決方法はお伝えしづらいですが、その原因が性格の不一致にあるときは多くの場合、サービス提供中にヘルパー自身の価値観で一方的に物事を判断していることが要因になっていると思われます。

例えば「目玉焼きにかけるもの」は、何でしょうか?塩コショウ、マヨネーズ、ケチャップ、しょうゆなど人それぞれだと思います。何もかけないという方もいるでしょう。しかし、自分で「しょうゆ」が普通と思っている人が、ケチャップをかけられると怒ります。

これはなぜ怒るのかというと、自分の期待している未来と違うからです。自分の価値観のままサービスを提供すると、ときに相手から見ると自分のイメージしていた未来と違うという感情になり不快感を示します。
これに対してサービス提供側は、自分にとっては「普通」の行為をしたにもかかわらず、相手は不快感を示していることから、自分の価値観が否定されたような感情を抱くのです。これにより関係性が悪化します。

物事を判断する際は相手の気持ちも受容しつつ、利用者さんにとって最善となる判断をするようにしましょう。

対処法2:自己判断が難しいときは、利用者さんに直接聞く勇気を持つ

自分の価値観で行動をする前に、価値観は人それぞれであるということを念頭に置き、利用者さまの価値観はどうだろうと考えましょう。わからなければ直接利用者さんに聞けばよいのです。

例えば、「目玉焼きに何をかけますか?」と聞けば、利用者さんは自分の期待した未来になりますし、相手が不快な感情を抱かないので、結果としてヘルパー自身も否定されている感情を抱くことなく関係性は良好に保てるのではないでしょうか。
必ず相手の立場に立って、相手の価値観を確認するという過程を積み重ねていくことで関係性は良好に保ちやすいと考えます。

5.利用者さんにやっていないことで疑われたとき

*原因*
・利用者さんへの確認不足
・利用者さんが疾病による妄想などの症状を抱えている

対処法1:利用者さんへの確認を徹底する

利用者さんから疑われるということを経験したことがあるという方は少なくないのではないでしょうか。多くの場合、利用者さんへの確認不足が原因となっています。

例えば、お買い物を頼まれた際に、お釣りを渡したのにもらっていないと言われたり、部屋にあったものがなくなったと言われたりすることがあります。
このような事態を避けるためには、金銭授受の際、受け取った金額や金種を確認し、レシートとおつり(こちらも金種を記録)を渡し、それを記録に残しておくことが大切です。
部屋のものがなくなったという場合は、例えば掃除をする際に、本人がいないところを掃除しないようにするなども工夫の一つです。

対処法2:症状の背景にあるものを考え、周囲の理解も得ておく

疾病による妄想の症状として、認知症の「行動・心理症状(BPSD)」が多くの原因となっています。BPSDは認知症だから必然的に起こっているというわけではないのです。BPSDの背景には、身体的要因(水分不足・体調不良など)、心理的要因(不安・孤独・ストレスなど)、環境的要因(騒音・慣れない環境など)がかかわってきます。
これらの要因に働きかけることができれば、症状が治まることもあります。 そのため、一概に「認知症だから仕方ない」などと諦めることがないようにしてください。

また、そもそも生活援助は家事代行ではなく、自立支援です。
本人がいない自宅内で家事を実施することは、実は単なる代行作業となっているケースが多いと感じます。掃除の支援をしながら、最終的には本人に掃除ができるようになってもらうという支援をする場合、本人と一緒に家事を行うことが通常の形だと考えます。

とはいえ、もちろん代行として行うことも認められています。具体的な対策としては、必要最小限の私物以外は持ち込まないようにする、自分のポケット等の確認を、その都度利用者さんに確認してもらうなどがあります。

また、色々対策を講じたとしても、記憶に残らない、妄想を抱いてしまうという方もいらっしゃいます。この場合は利用者さんに関係する方たち(利用者さんのご家族や他の職員)に、そのような状況であると正確に共有し、把握してもらうことが大切です。仮に疑われても、周囲に理解を得られていれば、ご家族がフォローしてくださったり、モチベーションを保ち続けることができたりすることが多いと考えます。

大切なのは、自分ひとりで抱え込まないこと

その他にも、ヘルパーに転職後「きつい」と感じるケースは色々あると思います。大切なことは、「自分一人で抱え込まない」ということです。周囲に相談し、よき理解者を見つけてしっかりと自分の気持ちを伝えてほしいと思います。そして転職されたときの「ヘルパーをやりたい」と思ったときの情熱をときどき思い出してほしいです。また、お住まいの地域職能団体に相談しても良いかもしれません。

人を支える仕事は、楽しいことばかりではありません。 しかし、訪問介護は利用者さんの生活に深く寄り添い、誰よりもよき理解者となって、その方の生活を支えることができる職業だと思います。大変ですが、やりがいも大きい職業だと思いますので、ぜひこれからも頑張ってほしいと思います。

理想の職場を見つけるための3つの視点

ここまで、ヘルパーの仕事が特に「きつい」と考えられている原因について考えてきました。
ここからは、事業所のサービス形態等で迷っている際に、何を基準に最初の事業所を選べばよいかお伝えしていきます。

執筆者/専門家

大庭 欣二

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/11

福岡福祉向上委員会 代表 外資系コンピューター会社の営業、父親が営む会社の経営見習いを経て、2002年に35歳で福祉の世界に入り、14年間で2つの社会福祉法人の経営に携わる。 新規事業立ち上げ・組織づくり・職員育成・労働環境改善を行い、職員の労働満足度を向上させ、離職率の劇的低下を実現する。

*事業所選びで重要な3つの視点*
1.何を目指して介護職に就きたいのか
2.職場の実情と育成体制はどうなっているか
3.自分自身の特性は何か、またそれを生かせそうな職場か

1.何を目指して介護職に就きたいのか

まず大切にしたいのは、質問者様が「目指すもの」だと思います。
資格を取られたのにも、何か目標があってのことだと思いますし、将来的に介護分野とどう関わりあいたいのかも考えられていることと思います。
現場を続けたいのか、ケアマネや相談員を目指すのか、介護事業所の経営者になりたいのか。

そのプロセスとして、最初の仕事が、ヘルパーであるのか、施設の介護職なのか、デイサービスの介護職なのか。
はたまた、事業主体は、社会福祉法人なのか、株式会社なのか、医療法人なのかなど選択肢は様々あります。ご自身の目標にあった施設形態、サービス形態、職種を選ばれるといいと思います。

2.職場の実情と育成体制はどうなっているか

そのうえで、次に着目してほしいのは、「職場の実情と育成体制」です。
ここを見極めたうえで、仕事をスタートしないと、介護そのものを嫌いになりかねません。

見学や自主実習などを通じ、しっかりと職場を選び、ここなら、経験がなくても教育体制が整っていそうだ、理想の介護が実践できそうだというところを選んでみてください。
事業所見学時のポイントは多々ありますが、「利用者さんと職員の関係性・育成体制の確認・利用者さんの要介護度」などは必ず確認しておきましょう。

人の声や評判に耳を傾けるのも良いですが、自分の五感をフルに働かせ、自己決定をすることが大事です。

3.自分自身の特性は何か、またそれを生かせそうな職場か

最後に、「自分自身の特性」も考慮に入れると、さらにいいかもしれませんね。

1人で仕事をすることを得意とするのか、チームでの仕事が得意なのか。
あらゆるシフトに柔軟に対応できるのか、決まった時間の労働があっているのか。
など、今までの自分の経験と照らし合わせることで、自身が生き生きと働けるのはどのような環境かを考えることができると思います。

最後に:様々なことに挑戦し経験値を高めていきましょう!

ここまで訪問介護のヘルパーについて解説をしてきました。しかし、これらはあくまで一例であり、事業所によってはこのような悩みは一切は生じなかったり、逆にもっと悩んだりすることもあると思います。

悩んだときに「介護を嫌いにならないこと」これだけは忘れないようにしてください。ヘルパーをやりたくて始めた介護、ヘルパーをやりたくて取得した資格、どれも介護に対する熱い想いがあったからです。

これから働く職場で、もし悩むようなことがあったときは周囲に相談をしたり、転職を検討したりするなど様々な選択肢があります。
経験を積み、さらに自分自身が成長できる職場を見つけ出しましょう。

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この記事のライター

福岡福祉向上委員会 代表

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