入居者さんと「個人」として向き合う。『全力応援!介護の現場チャンネル』公開記念 中浜崇之さんインタビュー【前編】
ささえるラボの新コンテンツである、介助技術を楽しく学べる動画「全力応援!介護の現場チャンネル」が12月21日に公開されます!これを記念して、動画の監修者である中浜崇之さんにインタビューをしてきました。
企画から作成までご協力いただいた中浜さんが、介護の仕事に対して抱える思いとは?なぜ動画を作ろうと思ったのか?前編・後編の2回に分けてご紹介します!
――まずは中浜さんが介護の仕事を始めた経緯を教えていただけますか?
中浜さん:高校卒業後、理学療法士の専門学校に通っていました。その授業の一環でデイサービスへ実習に行ったんですが、正直それまで高齢者の分野には興味がなかったし、気乗りしなかったんです。ですが、行ってみると楽しくて、その経験が印象に残っていました。
学校を辞めて2年間、好きなことをしていたのですが、その後進路を決める際に将来続けるとしたらどんな仕事に就こうかと考えたときに、実習の経験が浮かんで、介護を仕事にしてみようかなと思ったのがきっかけです。
はじめはフリーペーパーで訪問介護事業所を探して面接を受けに行ったんですが、資格が必要だと気付いて学校に改めて通いました。しかし男性だということもあり、訪問だと事務職になると言われ、イメージと違うなと思って…。
同じ頃、学校の実習で特養に行ったんですが、ロン毛の職員やピアスがたくさんついた指導担当の人がいたりして、個性的な人が多いことにびっくり(笑)
介護の仕事をしている人=マジメというイメージが覆され、そのままそこでアルバイトから正社員になって、8年間働きました。
――そこでの経験が「介護ラボしゅう」に生きてきたのですよね。
中浜さん:自分自身と介護の仕事を辞めていく人では、そこにどんな違いがあるのだろうと考えたとき、相談できる人がいるか、いないかだなと思いました。その特養はキツイ人もいたし、怒られもしたのですが、話を聞いてくれる人がいて恵まれた環境だったんです。そういう環境を職場の外につくろうと思い、はじめたのが「介護ラボしゅう」でした。
実は人前で話すのが苦手で…はじめは苦労しましたが、周りの皆さんからヒントをもらったり、いいところをマネさせてもらったりして、今の私があります。
――今、介護の仕事をしている人の中にはあまり面白くないな、辛いなと思っている人もいらっしゃると思います。中浜さんはどんな視点を持って介護の仕事をされていますか?
中浜さん:極端な言い方ですが、介護の仕事をつまらなさそうにしている人と自分の一番の違いは入居者さんを「ひとりの人」として見て関わっているかどうかかなと思います。高齢者はこうでなきゃならないとか、認知症だからこうだとか、そういう固定概念はいい意味でも悪い意味でもないと思っています。接するときに意識しているのは「相手が本当に考えていることはわからない、アセスメント表が全てではない、こうだろうと決めつけない」ということです。アセスメント表を見ればその人のことはだいたい分かったような気になりますが、もしかしたら本当に好きなことは違うかもしれない、もっと違うことをやってみたいかもしれない。
自分も死ぬまで個人として見てほしいからこそ、入居者さんと「個人」として向き合うようにしています。
――その視点が養われたのはいつごろだったのでしょうか?
中浜さん:最初の特養での経験がやっぱり大きいですね。利用者さんのためにこういうことをやってみたいという意見を受け入れて、実行させてもらえる環境があったからだと思います。
逆に環境が合わず、介護の仕事が楽しくないと思ってしまった人たちはすごくもったいないと思ったので、職場で言われていることが絶対正しいわけじゃない、自分だけ辛いわけじゃない、明日もう一日がんばってみようかなと思ってもらえる場として「介護ラボしゅう」をつくりました。そこでの取り組みを通じて僕もたくさん勉強させてもらっています。
――介護職を代表してメディアに出演されることも多い中で、中浜さん自身が勉強させてもらっていると言いきれる謙虚な姿勢に頭が下がるばかりです。
中浜さん:僕は、自分が思っていることを言葉にするのが、比較的上手い方かなと思っています。情報を発信していく役割を担うことで業界や自分にとっていい作用になればいいなと思っています。実は講演をしても、うまくできたかな?僕でいいのかな?と不安になることの方が多いんですよ(笑)
12/21公開予定【後編】に続きます。
中浜崇之(なかはま たかゆき)
プロフィール:社会福祉法人慈雲福祉会 グランアークみづほ施設長/NPO法人Ubdobe理事/介護ラボしゅう代表
取材・文・撮影=ささえるラボ編集部
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