本日のお悩み
ヘルパーとして働いています。
私が担当している利用者さんの中で、家族からつらく当たられてしまっている方がいます。
パッドが犬猫などのペット用だったので、あれ?と思ったのですが、以前たまたまご家族がいる時に訪問したところ、小学生くらいのお孫さんが利用者さんに「死ね」と言っているところを
見てしまいました。
子供がこのようなことを言うということは、ご家族も普段から言っているのではと思ってしまいます。
責任者に相談したところ、その程度で虐待というには難しいということでした。
虐待とまではいかないけど…というとき、どうしたらいいでしょうか?
早急に事実を確認し、チームで対応を検討しましょう
ご質問ありがとうございます。
質問者さんが異変に気が付き、そのままにせずこのように質問をしてくださったことが、
利用者の方の人権を守るためにとても大切な行為です。
■高齢者虐待防止法を知っていますか?
厚生労働省は、高齢者虐待防止法による定義として次の行為を虐待としています。
ⅰ 身体的虐待:高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴力を加えること。
ⅱ 介護・世話の放棄・放任:高齢者を衰弱させるような著しい減食、長時間の放置、
養護者以外の同居人による虐待行為の放置など、養護を著しく怠ること。
ⅲ 心理的虐待:高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に
著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ⅳ 性的虐待 :高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
ⅴ 経済的虐待:養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分すること
その他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
「死ね」などという暴言は、心理的虐待に当たります。
■不適切なケアは虐待に繋がる
質問を拝見すると、直接そのような言葉をかけていたのは小学生のお孫さんだったのですね。
そのご家庭の状況、お孫さんの言葉に対して養護者の方がどのように対応されているのかなど、
質問文だけでは分かりかねますが、パッドがペット用だったところから推測すると、
不適切なケアが行われている可能性が高いのではないかと感じました。
不適切なケアは、放置してしまうと虐待に繋がりえます。
■チームにも共有し、早急に事実確認を
1度責任者の方に相談されたとのことですが、私は早急に事実の確認をするべきだと考えます。
その利用者さんのお宅へ、他にケアに入っているヘルパーさんはいますか?いる場合は、
気になるところがないか聞いてみましょう。
そして事実を集めてもう1度責任者の方に相談し、「虐待というには難しいといっても、この状況をそのままにしたままでいいのか不安に思う」とお伝えし、ケアマネジャーさんは状況を
認識しているのか、認識している場合はどのように判断しているのかを確認してみてください。
もし、ケアマネジャーさんが状況を認識していないのであれば、まずは情報共有をするべきです。
日頃から言えることですが、チームで、ケアの方向性を合わせることが重要になってきます。
その方に限ったことではありませんが、普段のケアに入る際も、変わったことがあれば記録に残し、その都度、責任者の方に相談してみてください。
■利用者さんを守るため、行動を
利用者の方は、困っていたとしても、ご自身で声を上げられない方がたくさんいらっしゃいます。
そして私たち現場の職員には、利用者の方々の権利を代弁する役割があります。
繰り返しになりますが、質問者さんが感じた違和感を共有することは、利用者の方の権利を
守るために非常に重要です。
どうか、利用者のみなさんが安心して日々が過ごせるよう、これからも行動し続けていただければと思います。
社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員