第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(発達と老化の理解)

第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(発達と老化の理解)

第33回 介護福祉士国家試験の試験科目【発達と老化の理解】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


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第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(発達と老化の理解)

問題1

医療や福祉の法律での年齢に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.35歳の人は、老人福祉施設に入所できる。
2.50歳の人は、介護保険の第一号被保険者である。
3.60歳の人は、医療保険の前期高齢者である。
4.70歳の人は、介護保険の第二号被保険者である。
5.75歳の人は、後期高齢者医療の被保険者である。

解答

5.75歳の人は、後期高齢者医療の被保険者である。

解説

1.(×)老人福祉施設に入所できるのは、原則として65歳以上の高齢者です。60歳以上で入所できる軽費老人ホームも存在しますが、いずれにしても35歳では入所対象者とはなりません。
2.(×)介護保険の第一号被保険者は、65歳以上の人です。
3.(×)医療保険の前期高齢者には、65歳以上75歳未満の人が該当します。
4.(×)介護保険の第二号被保険者は、40歳以上65歳未満の人です。
5.(○)後期高齢者医療制度の被保険者は、原則として75歳以上の人です。

問題2

高齢期の喪失体験と悲嘆に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.喪失体験とは、加齢に伴う身体機能の低下のことである。
2.悲嘆過程とは、病的な心のプロセスのことである。
3.死別後の悲嘆からの回復には、喪失に対する心理的対処だけでなく生活の立て直しへの対処も必要である。
4.ボウルビィ(Bowlby,J.)によれば、悲嘆過程には順序性はない。
5.身近な人との死別後に生じる病的悲嘆への支援では、亡くなった人への愛着をほかに向けることを目標にする。

解答

3.死別後の悲嘆からの回復には、喪失に対する心理的対処だけでなく生活の立て直しへの対処も必要である。

解説

1.(×)高齢期の喪失体験は大きく4つに分類されており、「加齢に伴う身体機能の低下」はその中の一つです。
2.(×)悲嘆過程とは、喪失による悲しみや絶望感などの情動的苦しみを乗り越える心のプロセスです。
3.(○)その人を全人的な視点でとらえる必要があり、喪失に対する心理的対処とともに、生活の立て直しという現実的な対応も大切です。
4.(×)ボウルビィは、悲嘆過程には4段階の心理過程が存在すると考えました。多くの場合、この4段階の心理過程は同じ順序で経過し、すべてクリアすることで悲嘆からの最終的な回復に至ることができるとされています。
5.(×)一連の4段階の心理過程が何らかの好ましくない経過をたどると、悲嘆は病的なものとなることがあります。病的悲嘆に対しては、対象喪失の悲しみとしっかり向き合えるよう、悲嘆に焦点を合わせた支援が必要です。

問題3

高齢者の糖尿病(diabetes mellitus)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.アミラーゼ(amylase)の作用不足が原因である。
2.ヘモグロビンA1c(HbA1c)の目標値は、若年者に比べて低めが推奨される。
3.若年者に比べて高血糖の持続による口渇感が強い。
4.運動療法は避けたほうがよい。
5.若年者に比べて低血糖の自覚症状に乏しい。

解答

5.若年者に比べて低血糖の自覚症状に乏しい。

解説

1.(×)アミラーゼは、デンプンやグリコーゲンを分解する消化酵素です。糖尿病は、血糖値を一定に保つホルモンであるインスリンの作用低下が原因となります。
2.(×)高齢者のHbA1cの目標値は、若年者に比べて高めに設定されています。
3.(×)高血糖の持続による口渇感が強いのは若年者であり、高齢者では起こりにくくなります。
4.(×)高齢者の糖尿病治療においても、薬物療法の実施有無にかかわらず、食事療法と運動療法が基本となります。
5.(○)低血糖症状には冷汗、動悸、手足の震え、けいれん、意識障害などがありますが、若年者に比べて高齢者は症状を自覚しにくいため注意が必要です。

問題4

加齢による味覚の変化に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.味蕾(みらい)の数に年齢による違いはない。
2.服用する薬剤で味覚が変化することはない。
3.唾液が増加して味覚が敏感になる。
4.濃い味を好むようになる。
5.口腔(こうくう)ケアは関係ない。

解答

4.濃い味を好むようになる。

解説

1.(×)味蕾の数は、加齢に伴って減少します。
2.(×)利尿薬、血圧降下薬、消化性潰瘍治療薬などは、副作用として味覚障害を招くことがあります。
3.(×)加齢により唾液分泌量が減少するため、それに伴って味覚も鈍感になります。
4.(○)味を感じる器官である味蕾が減少するため、味覚が鈍麻し、濃い味を好む傾向がみられま
す。
5.(×)加齢により唾液分泌量が減少するため、自浄作用が低下して舌苔が付きやすくなり、味覚障害につながる可能性が高まります。味覚を維持するためにも、口腔ケアにより清潔を保つことが重要です。

問題5

意欲が低下した高齢者の動機づけに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.高い目標を他者が掲げると、動機づけが強まる。
2.本人が具体的に何をすべきかがわかると、動機づけが強まる。
3.本人にとって興味がある目標を掲げると、動機づけが弱まる。
4.小さな目標の達成を積み重ねていくと、動機づけが弱まる。
5.本人が自分にもできそうだと思う目標を掲げると、動機づけが弱まる。

解答

2.本人が具体的に何をすべきかがわかると、動機づけが強まる。

解説

動機付けには、行動要因が自身の内面から生じる興味や関心に起因する「内発的動機付け」と、行動要因が評価や賞罰などの外部的な刺激に起因する「外発的動機付け」があります。本人の内面からわき上がる「内発的動機付け」のほうが、より意欲を高めるとされています。

1.(×)高い目標を他者が掲げると、圧迫や強制を感じて意欲が低下する可能性があります。
2.(○)行動目標を本人が理解し、具体的なイメージを持つことで、動機付けが強まります。
3.(×)本人にとって興味がある目標を掲げると、動機付けが強まります。
4.(×)小さな目標の達成を積み重ねていくと、自己肯定感が高まり、動機づけが強まります。
5.(×)達成可能な目標を掲げることで、動機づけが強まります。

問題6

高齢者の便秘に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.大腸がん(colorectal cancer)は、器質性便秘の原因になる。
2.弛緩性便秘(しかんせいべんぴ)はまれである。
3.けいれん性便秘では、大きく柔らかい便がでる。
4.直腸性便秘は、便が直腸に送られてこないために起こる。
5.薬剤で、便秘になることはまれである。

解答

1.大腸がん(colorectal cancer)は、器質性便秘の原因になる。

解説

1.(○)がんにより腸管が狭窄すると、便の通過が物理的に障害されるため、器質性便秘の原因となることがあります。
2.(×)高齢者では大腸の蠕動運動が減弱するため、弛緩性便秘が多くみられます。
3.(×)けいれん性便秘では、自律神経の緊張により大腸がけいれんを生じ、便の通過が遅滞する
ため、初めに硬い便が出て、その後に軟便となります。
4.(×)直腸性便秘は、便が直腸に送られているにもかかわらず便意を感じない状態であり、便意を過剰に我慢する習慣から生じます。
5.(×)腸管の蠕動運動を抑制する作用を有し、便秘の誘因となる薬剤も多いため、薬の副作用で便秘になることはまれではありません。

問題7

高齢者の転倒に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。

1.介護が必要になる原因は、転倒による骨折(fracture)が最も多い。
2.服用する薬剤と転倒は、関連がある。
3.転倒による骨折の部位は、足首が最も多い。
4.転倒の場所は、屋内では浴室が最も多い。
5.過去に転倒したことがあると、再度の転倒の危険性は低くなる。

解答

2.服用する薬剤と転倒は、関連がある。

解説

1.(×)介護が必要となった原因として最も多いのは認知症であり、次いで脳血管疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒の順となっています。
2.(○)高齢者が処方される多くの薬にふらつきやめまい、眠気などの副作用が認められており、転倒を誘発する可能性は高いといえます。
3.(×)転倒による骨折部位は大腿部近位部が最も多く、要介護状態に至る大きな原因となっています。
4.(×)屋内において転倒した場所で多いのは、寝室や居間です。
5.(×)過去に転倒したことがある場合は、その原因となった筋力低下や環境などリスクが解消されない限り、再転倒する危険性は高いといえます。

問題8

Aさん(小学4年生、男性)は、思いやりがあり友人も多い。
図画工作や音楽が得意で落ち着いて熱心に取り組むが、苦手な科目がある。
特に国語の授業のノートを見ると、黒板を書き写そうとしているが、文字の大きさもふぞろいで、一部の漢字で左右が入れ替わっているなどの誤りが多く見られ、途中で諦めた様子である。
親子関係や家庭生活、身体機能、就学時健康診断などには問題がない。

Aさんに当てはまる状態として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)
2.愛着障害
3.注意欠陥多動性障害
4.学習障害
5.知的障害

解答

4.学習障害

解説

1.(×)自閉症スペクトラム障害には、対人関係が苦手で強いこだわりがみられるという特徴があります。思いやりがあり友人も多いAさんには該当しません。
2.(×)愛着障害とは、何らかの理由により親や養育者との間で愛情に基づく関係性が形成されず、情緒や対人関係に問題が生じる対人関係障害です。Aさんの場合、親子関係や家庭生活に問題はみられません。
3.(×)図画工作や音楽が得意で落ち着いて熱心に取り組むことができるため、注意欠陥多動性障害(ADHD)には該当しません。
4.(○)学習障害では、知的発達の遅れや視聴覚障害がないにもかかわらず、特定の領域で学習の遅れがみられます。Aさんは文字を書く能力に関して遅れがみられるため、学習障害の一つである書字表出障害(ディスグラフィア)であると考えられます。
5.(×)得意な科目があり、就学時健康診断でも問題がなかったAさんには、知的発達の遅れはないといえます。

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