本日のお悩み:訪問介護における介護職の暑さ対策を教えてください!
しかし夏になり、移動中はもちろんのこと、仕事中も暑くて熱中症のようになってしまっています。
水分補給も自分で気を付けていたつもりでしたが、他に介護職ができる暑さ対策があれば教えてください。
訪問介護における熱中症対策
■執筆者/専門家

ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役 株式会社ゆりかご 代表取締役 茨城県訪問介護協議会 副会長 茨城県難病連絡協議会 委員 水戸在宅ケアネットワーク 世話人 介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員
夏の訪問介護は、移動中の強い日差し、冷房のない利用者さん宅、そして汗だくになりながらの介助など、体力的にも精神的にも過酷な状況が続きます。特に熱中症のリスクは高く、知らず知らずのうちに体調を崩してしまうことも…。
この記事では、訪問介護の現場で働く介護職の皆さんが、少しでも安全かつ快適に猛暑を乗り切れるよう、現場で実践できる工夫やおすすめグッズ、体調管理のポイントなど熱中症対策に関する情報をお伝えします。
訪問介護における介護職の熱中症リスクと初期症状
■訪問介護において介護職が抱える熱中症のリスク
・移動中に直射日光を浴びる(徒歩・自転車)
・着替えや水分補給のタイミングが取りづらい
・業務中に自分の体調変化に気づきにくい
リスクをしっかり把握しておくことで、少しでも意識を高められ予防に繋げられます。
■熱中症の初期症状チェック
・立ちくらみ、めまい
・吐き気
・汗のかき方がおかしい(止まらない・出ないなど)
・なんとなく体調が悪い
・いつもより疲れやすい
・イライラしやすい
・呼びかけに反応できない
これらの症状がある場合は、すぐに周囲の人や管理者に相談の連絡をし、涼しい場所で休んだり、水分・塩分の補給を行いましょう。初期症状があるにも関わらず、無理に業務を続けてしまうと、重症化の恐れがあります。
・参照:厚生労働省 働く人の今すぐ使える熱中症ガイド
介護職ができる訪問前の体調管理
介護職が訪問前に行う体調管理は以下の通りです。
2.バランスの良い食事をとる
3.水分、塩分補給
■1.睡眠、生活リズムの見直し
そのため、忙しいときでも早寝早起きを心がけてしっかり睡眠時間を確保したり、エアコンは効かせすぎず適度に使用したりするなどの工夫が必要です。
また、エアコンの使い過ぎによる体の冷えを防ぐため、自宅での服装や寝具は通気性の良いものを選べるとよいでしょう。
■2.バランスの良い食事をとる
汗をかくと、体内からミネラルが失われます。そのため、カリウム・ビタミン・クエン酸などが含まれる食べ物を食事に取り入れられるとよいでしょう。
具体的には、梅干しやスイカ、バナナ、豚肉、冷たいお味噌汁などがおすすめです。
■3.水分、塩分補給
出勤前には必ずコップ1~2杯の水を飲む習慣をつけておいたり、経口補水液やスポーツドリンクを飲むことも重要です。
さらに、家を出る前に塩分タブレットや塩飴を荷物に入れておけると、勤務中の熱中症予防に繋がります。
介護職ができる移動中の暑さ対策
特に、徒歩や自転車での移動は直射日光やアスファルトの照り返しによって体温が上がりやすく、熱中症のリスクが高まります。
移動中にできる暑さ対策は以下の通りです。
2.移動ルートの工夫
3.こまめな水分、塩分補給
4.着替えの準備
■1.暑さ対策アイテムの活用
ここでは暑さ対策アイテムについて紹介します。
たとえば、徒歩や自転車での移動中は帽子や日傘を用いて直射日光を防ぐ、車での移動時はUVカットフィルムなどを装着して車内温度の上昇を防ぐなどの工夫を行いましょう。また、冷感タオルや持ち運び式の扇風機も有効的です。
■2.移動ルートの工夫
アスファルトを避けることは難しいと思いますが、できる限り日陰を選択して移動することは可能であると思います。
ビルの日陰やアーケード商店街がある場合は、このような道を利用して移動できると、暑さ対策に繋がるでしょう。
■3.こまめな水分、塩分補給
保冷ボトルにいれて冷たい飲み物をこまめに摂ることや、塩分タブレットや塩飴で塩分補給を行いましょう。
■4.着替えの準備
汗をかいた服をそのまま着ていると、汗が冷え、夏風邪などの原因となります。汗をかいた後は、タオルで汗をしっかりと拭いたり、着替えができるよう、替えのシャツを持っていったりと対策ができるとよいでしょう。
介護職が訪問中にできる熱中症対策
訪問中は、自分自身の安全を守ることも重要ですが、介護職として利用者さんの体調に気を配る必要もあります。
訪問中の介護職ができる熱中症対策は以下の通りです。
2.水分補給の声かけ、自身の水分補給
3.着替えの場所などの確保
■1.利用者さんのご自宅の環境確認
具体的には、エアコンを使わない方に対する声かけや、換気・扇風機の活用などです。声かけの際は、利用者さんに寄り添い無理強いとならないよう、優しく声をかけるようにしましょう。
また、厚生労働省が熱中症予防のための「普及啓発用資材」を作成しています。これらを用いながら利用者さんと熱中症の危険性について、今一度目線合わせができるとよいでしょう。
※厚生労働省 熱中症を防ぐために知っておきたいこと 熱中症予防のための情報・資料サイト
■2.水分補給の声かけ、自身の水分補給
利用者さんに水分補給を促すことはもちろん、介護職も水分補給を行うため、事前に利用者さんやそのご家族に「水分補給のため少し休憩をいただくことがあります。」という旨を伝えておけるとよいでしょう。
■3.着替えの場所などの確保
着替えが必要な場合は、利用者さんのご自宅で場所をお借りすることになるかと思いますので、こちらも事前に確認しておけるとよいでしょう。
介護職のための熱中症対策・持ち物リスト
訪問中については、ご利用者様の熱中症対策としても、必要に応じてエアコンなどの活用を声かけしましょう。
熱中症で死亡した高齢者のケースでの共通事項で多いものが「エアコンの不使用」です。
エアコンがなかったり、利用をしないご家庭の場合は、換気をしっかり行いながら行うことも大切ですね。
高齢者の熱中症注意喚起のチラシなどもありますので、ご活用ください。
また、業務中に家事支援や入浴介助などで汗をかくときもあると思いますので、サービス中でも水分摂取をさせてもらったり、着替えをさせてもらう場所をお借りするなどを事前に確認を取っておきましょう。
最後に:様々な工夫をして、一緒に夏を乗り越えましょう!
水分補給や、生活リズムの調整、体調管理は1年を通して重要ですが、夏は特に意識をしていきましょう。
介護職の方のセルフケアが、利用者さんにより質の高いケアを届けることに繋がります。一緒に熱い夏を乗り越えましょう!
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ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役
株式会社ゆりかご 代表取締役
茨城県訪問介護協議会 副会長
茨城県難病連絡協議会 委員
水戸在宅ケアネットワーク 世話人
茨城県介護支援専門員協会 水戸地区会幹事
茨城県訪問看護事業協議会 監事
水戸市地域包括支援センター運営協議会 委員
水戸市地域自立支援協議会全体会 委員
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
日本社会事業大学大学院 福祉マネジメント研究科修了(福祉マネジメント修士)
聖路加国際大学看護リカレント課程 認知症看護認定看護師課程 在籍中
介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員・FP2級