本日のお悩み
理学療法士としてずっと病院で勤務していたのですが、病院での人間関係に疲れてしまい、介護施設で働いてみたいと思っています。
そこで質問なのですが、理学療法士として採用されても、それ以外の業務も多いのでしょうか?
求められる仕事内容を教えてください。
また、介護職の方からみた良い理学療法士とはどういう人なのでしょうか?
リハビリについての専門性はもちろんですが、より良い人間関係の構築が重要です!!
ご質問ありがとうございます!
介護施設での理学療法士さんの業務内容についてですね。
施設での業務って、意外とイメージしにくかったりしますよね。
付随する業務も、どの程度あるのかなど不安に感じるところもあるかと思います。
疑問やご不安が解消できるよう
①理学療法士の求めらる業務内容と、それ以外の補助業務
②介護職員から見た良い理学療法士
の2つに分けて回答いたします。
■①理学療法士に求めらる業務内容と、それ以外の補助業務は
介護施設で働く理学療法士は、介護業務はほとんど担わない
理学療法士に求められる業務は、質問者さんもお分かりの通り「基本動作能力の回復・維持を目的としたリハビリ」です。
しかし、ご質問者さんが心配していることは、オムツ交換や食事介助、入浴介助といった”介護業務”がどの程度含まれているのか?ということでしょう。
現在、特別養護老人ホームや介護老人保健施設において、作業療法士や理学療法士に求められているリハビリ効果への期待や役割は高く、主としての業務はリハビリ業務となります。
よって「介護業務や、それに付随する補助業務などについては、ほとんど担わない」とご理解いただいて差支えないかと思います。
専門職としての助言や提案を求められることも
2つの施設形態を例に出してみます。
老人保健施設のご利用者に対しては、在宅復帰に向けたリハビリメニューの計画作成と実施、評価
特別養護老人ホームのご入居者に対しては、個別リハビリマネジメント計画の作成と実施、評価が主な業務です。(施設での生活において自立した生活が可能な限り営める能力を維持・向上できるようにすることが目的です)
これらの業務はご利用者やご入居者に対して個別に行われるもののため、その他の業務である介護業務等を担うことは、業務量として難しいと考えられます。
リハビリの専門職として、サービス担当者会議やカンファレンスにおいて専門的な立場からの助言や提案を求められたり、計画立案や実施、効果検証などに関しての書類作成業務もありますので、リハビリに付随する業務量もある程度多いでしょう。
介護施設でのご利用者やご入居者への支援も多職種とのチームで提供されることになりますから、お仕事を進めていく中で看護職員、介護職員、相談員、介護支援専門員等からもリハビリの観点で助言を求められることも多く、専門的な知識があればあるほど、頼られる存在になると思いますよ。
■②介護職員から見た良い理学療法士とは
他の専門職とのコミュニケーションを常に行える人
介護職員から見た「良い理学療法士」とは、ズバリ「チームの一員として、他の専門職とのコミュニケーションを常に行える人」です。
なぜなら、コミュニケーションは、専門知識を100%発揮していただくために必要不可欠だからです。
理学療法士が持っている専門性は、介護職員にとっては”目から鱗”!宝の山だったりします。
移乗動作やボディメカニクスについても、介護職員が知っているようで知らない知識はたくさんあります。
介助の際のポイントやコツ等についても専門的な助言ができると思いますし、介護職員自身の身体を守る動作の助言等もできるのではないでしょうか?
そのような機会があると、介護職員からはとても喜ばれ、頼られる存在になると思います。
専門家・後藤さんの施設では?
例えば、私の施設で理学療法士に担ってもらっている業務としては
・腰痛予防の体操研修
・シーティングやポジショニングの説明や実践
・日常生活動作訓練の助言 などがあります。
一人のご利用者に理学療法士が関われる時間は限られているため、日々の日常生活動作訓練としてのリハビリは介護職員が担います。
常に介護職員と連携をとりながら、専門職としての知識を介護職員に伝えていく事で、より良い人間関係を構築することができると思います。
■最後に
このような関係構築を前提として、介護職員にとっての頼りになる存在=理学療法士になっていくのだと思います。
お互いの業務を理解しながら、より良い人間関係を構築してみてください!
これらのことが実践できると、頼りにされるとても良い理学療法士さんになれるでしょう。
新たな挑戦を、私も応援しています!
・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士