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認知症でひとり歩きのある利用者さんが、コロナに感染!高齢者施設でできそうな対応策3つ【執筆者/専門家:古畑 佑奈】

認知症でひとり歩きのある利用者さんが、コロナに感染!高齢者施設でできそうな対応策3つ【執筆者/専門家:古畑 佑奈】

[2024年5月更新]認知症によるひとり歩きがある利用者さん。そのような利用者さんがコロナウイルスなどの感染症に罹った場合、感染拡大を最小限におさえるために施設ではどのような対応ができるでしょうか?専門家の先生に解説していただきます!


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本日のお悩み

認知症の利用者さんで、コロナウイルスに感染しているにも関わらず徘徊してしまう人がいます。
拘束はできないと分かっていますが、この利用者さんに、自分の部屋にいてもらうにはどうしたらいいでしょうか?

可能な範囲で、居室対応以外の対応も検討を

古畑 佑奈

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員 特別養護ホーム生活相談員、訪問介護事業を経験し、介護業界に9年携わる。 地域でのネットワーク活動では事務局として「死について語る会」や「3大宗教シンポジウム」など幅広いテーマの勉強会やイベントを企画・運営。

新型コロナウイルス陽性者の方の対応、本当にお疲れさまです。
普段に増して緊張感を持たねばならない利用者さんへのケア、頭が下がります。

現場でできそうな3つの対応策

さて、ご質問いただいた件について、とても悩ましいですし、どの入居施設の方も同様に悩まれていることではないかと思います。
正直なところ、認知症の利用者さんに居室に留まっていただくというのは至難の業だと思います。

認知症の方にとって、体調が悪いことに加え普段と異なる雰囲気に余計に気持ちが不安定になり落ち着かなくなることは当然のことです。また、かかわる職員の方々も周囲への感染を危惧し、より神経を使いますよね……。
この記事では、現場での対応が難しいことを理解しつつ、3つの対応策を提案します。
現場でできる3つの対応策

1.居室の環境を整える
2.スペースを分けて対応する
3.ほかの利用者さんに居室利用を促す

1. 居室の環境を整える

日頃居室で過ごしていない方の場合、居室が落ち着く環境ではなかったり、居室よりも他の場所のほうが落ち着いて過ごせたりする可能性があります。

施設のTVを居室に一時的に置く、ご本人の座りやすい椅子やテーブルなどを置き興味のあるものを用意する、こまめに訪室して声をかけるなど、その場しのぎの対応にはなってしまいますが何もない居室でぽつんと過ごすことの苦痛を少しでも和らげる方法を考える必要があるかと思います。

2. スペースを分けて対応する

すでに対応されていると思いますが、居住スペースをゾーンで分け、そのエリアは自由に出ても構わない(職員もつねに防護服を着て対応)ようにする方法もあります。

この場合のゾーン対応については、陽性者の数や施設の構造、職員の数等にもよりますので保健所や医療機関等の専門職とも相談しながら現場に即した方法で対応されるのがよいと思います。

3. 他の方に居室対応をお願いする

個室の場合でしたら、他の方に極力居室で過ごしていただくようご説明し、接触を防ぐという方法もあります。
あくまでも応急処置的な対応となりますが、共用部での接触を防ぐために必要な場面もあるかと思います。

最後に:職員の感染対策も同時並行で行いましょう

大切なのは、ご本人の体調悪化を防ぐことはもちろん、感染を他の利用者さんに広げないことです。

入居の方が居室から出なかったとしても、職員が伝播してしまう可能性もあります。
釈迦に説法だと思いますが、ウイルスは粘膜から感染しますので、日頃の基本的な感染症対策に加え、目や鼻、口などを汚染した手で触らない、といった日頃の些細な心掛けや、マスクや防護服の正しい取り扱いについても改めて確認していきましょう。

繰り返しになりますが、日々のお仕事本当にお疲れさまです。
身体的にも精神的にも疲れが溜まります。くれぐれもご自身のケアも大切にされてくださいね。

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この記事のライター

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

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