第34回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(コミュニケーション技術)

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第34回 介護福祉士国家試験の試験科目【コミュニケーション技術】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


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第34回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(コミュニケーション技術)

問題1

介護福祉職が利用者とコミュニケーションをとるときの基本的な態度として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.上半身を少し利用者のほうへ傾けた姿勢で話を聞く。
2.利用者の正面に立って話し続ける。
3.腕を組んで話を聞く。
4.利用者の目を見つめ続ける。
5.緊張感が伝わるように、背筋を伸ばす。

解答

1.上半身を少し利用者のほうへ傾けた姿勢で話を聞く。

解説

1.(○)上半身を少し利用者のほうへ傾けた姿勢を取ることで、集中して話をしっかり聞いているという印象を与えることができます。相手との物理的な距離は心理的距離と関連するため、近づくことで親密な雰囲気を醸成できる場合もありますが、近距離でのコミュニケーションを苦手とする利用者もいることから、適切な距離を保つよう注意します。
2.(×)利用者の正面に立って話し続けると、利用者は視線を外しにくく、圧迫感を覚えてしまいます。
3.(×)腕を組んで話を聞くと、利用者に威圧感や嫌悪感を与える可能性が高まります。
4.(×)利用者の目を見つめ続けると、利用者は緊張感を覚え、話しにくくなってしまいます。
5.(×)落ち着いて話せるよう配慮すべきであり、自らもリラックスして話を聞く姿勢が大切です。

問題2

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(75歳、男性)は先天性の全盲である。これまで自宅で自立した生活をしてきたが、最近、心身機能の衰えを感じて、有料老人ホームに入居した。
施設での生活にまだ慣れていないので、移動は介護福祉職に誘導してもらっている。
ある日、介護福祉職がJさんを自室まで誘導したときに、「いつも手伝ってもらってすみません。なかなか場所を覚えられなくて。私はここでやっていけるでしょうか」と話してきた。

Jさんの発言への介護福祉職の共感的理解を示す対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。


1.Jさんの発言にうなずく。
2.Jさんの発言のあと沈黙する。
3.Jさんの話の内容を短くまとめて伝える。
4.Jさんの立場に立って感情を推し測り、言葉で表現して伝える。
5.Jさんの気持ちが前向きになるように、励ましの言葉を伝える。

解答

4.Jさんの立場に立って感情を推し測り、言葉で表現して伝える。

解説

1.(×)Jさんは全盲であり、発言にうなずくだけで共感的理解を示すことはできません。
2.(×)自分の発言の後に相手が沈黙した場合は、自分に対する否定や反発などの意思を感じたり、話を聞き流されたと感じて不安になったりします。いずれにしても共感的理解からは遠い状態となってしまいます。
3.(×)内容を短くまとめて伝えること(要約)は、コミュニケーション技法の一つです。「あなたの話を傾聴していますよ」というサインにはなりますが、共感的理解を示すには不十分だといえます。
4.(○)共感的理解を示すには、相手の立場になって心を寄せ、感情を理解しようとする姿勢が大切になります。全盲であるJさんに対しては、言葉で表現することも重要なポイントです。
5.(×)根拠を伴わない安易な励ましの言葉では、Jさんの不安を払拭することができず、共感的理解を示すことにもなりません。

問題3

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Jさん(75歳、男性)は先天性の全盲である。これまで自宅で自立した生活をしてきたが、最近、心身機能の衰えを感じて、有料老人ホームに入居した。
施設での生活にまだ慣れていないので、移動は介護福祉職に誘導してもらっている。
ある日、介護福祉職がJさんを自室まで誘導したときに、「いつも手伝ってもらってすみません。なかなか場所を覚えられなくて。私はここでやっていけるでしょうか」と話してきた。

Jさんの不安な気持ちを軽くするための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.いきなり声をかけると驚くので、肩にふれてから挨拶をする。
2.誘導時の声かけは歩行の妨げになるので、最小限にする。
3.角を曲がるときには、「こちらに」と方向を伝える。
4.トイレや食堂などを、一緒に歩きながら確認する。
5.食堂の座席は、Jさんの好きなところに座るように伝える。

解答

4.トイレや食堂などを、一緒に歩きながら確認する。

解説

1.(×)全盲のJさんにいきなり触れると驚かせてしまうため、声をかけてから肩に触れるようにします。
2.(×)Jさんにとって安全に移動するための重要な情報となることから、誘導時には適切な情報量の声かけが必要です。
3.(×)「こちらに」「あちらに」などのあいまいな表現は不適切であり、「右」「左」「何時何分の方向」などの具体的な指示を行います。
4.(○)Jさんはこれまで自宅で自立した生活を送っていたことから、周囲の新しい環境を把握できれば不安は大きく軽減されると考えられます。トイレや食堂など施設の間取りを一緒に歩きながら確認し、位置関係を分かりやすく伝えることが適切です。
5.(×)周囲の状況が把握できていない状態では、好きなところを選ぶこともできません。また、一般的に、視覚障害者の場合は、いつも同じ座席を使用するほうが安心できると考えられます。

問題4

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Kさん(83歳、女性、要介護3)は、10年前の脳出血(cerebral hemorrhage)による後遺症で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)がある。感情のコントロールが難しく、興奮すると大声をあげて怒りだす。現在は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら、自宅で長男(60歳)と二人暮らしをしている。
長男は、会社を3年前に早期退職し、Kさんの介護に専念してきた。顔色が悪く、介護による疲労を訴えているが、「介護を続けて、母を自宅で看取りたい」と強く希望している。別居している長女は、長男の様子を心配して、「母親の施設入所の手続きを進めたい」という意向を示している。

訪問介護員(ホームヘルパー)が、興奮しているときのKさんとコミュニケーションをとるための方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。


1.興奮している理由を詳しく聞く。
2.興奮することはよくないと説明する。
3.冷静になるように説得する。
4.事前に作成しておいた日課表に沿って活動してもらう。
5.場所を移動して話題を変える。

解答

5.場所を移動して話題を変える。

解説

1.(×)興奮した状態のときに興奮している理由を問われても、感情をコントロールすることは困難であり、さらに興奮してしまう可能性が高いと考えられます。
2.(×)感情が高ぶっているときに諭されると、自分を否定されたように感じてさらに興奮してしまう可能性があります。
3.(×)冷静になることは大切ですが、説得されて落ち着ける状態ではないと考えられます。
4.(×)興奮している状態で、日課表に沿った規則正しい行動を取ることは難しいと考えられます。感情のコントロールが難しい場合は、その場に適した臨機応変な対応が必要です。
5.(○)静かな場所に移動するなどして環境や話題を変え、Kさんが落ち着ける状況をつくることが適切です。

問題5

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Kさん(83歳、女性、要介護3)は、10年前の脳出血(cerebral hemorrhage)による後遺症で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)がある。感情のコントロールが難しく、興奮すると大声をあげて怒りだす。現在は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら、自宅で長男(60歳)と二人暮らしをしている。
長男は、会社を3年前に早期退職し、Kさんの介護に専念してきた。顔色が悪く、介護による疲労を訴えているが、「介護を続けて、母を自宅で看取りたい」と強く希望している。別居している長女は、長男の様子を心配して、「母親の施設入所の手続きを進めたい」という意向を示している。

長男に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。


1.長男自身の意向を変える必要はないと励ます。
2.Kさん本人の意向が不明なため、長男の希望は通らないと伝える。
3.これまでの介護をねぎらい、自宅での看取りを希望する理由を尋ねる。
4.自宅での生活を継続するのは限界だと説明する。
5.長女の言うように、施設入所の手続きを進めることが正しいと伝える。

解答

3.これまでの介護をねぎらい、自宅での看取りを希望する理由を尋ねる。

解説

1.(×)長男は母親の介護に長期間専念した結果、疲弊している様子が見受けられます。現段階では冷静な判断ができない可能性も高いことから、安易に励ましたり意向を後押したりするのは適切な対応とはいえません。
2.(×)本人の意向が確かめられない状況であれば、家族であり主介護者である長男が意向の確認に関与する必要があります。「長男の希望は通らない」という根拠のない発言は不適切です。
3.(○)まずはこれまでの介護の負担をねぎらい、その上で自宅での看取りを希望する理由を傾聴することは、長男の気持ちに寄り添い、今後の方針を一緒に考えていくために適切な対応です。
4.(×)訪問介護員の主観的な意見だけを伝えており、不適切な対応です。自宅で看取るために生活を継続することは不可能ではなく、方策や工夫を提案することも可能であると考えられます。
5.(×)一方的に長女の意見を正しいと伝えており、長男の意見は全否定してしまっています。

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