介護助手・介護補助とは?職種ができた背景や仕事内容を解説
介護職の補助的な業務を行う介護助手・介護補助は、介護人材確保の観点でも注目されている職種です。
この記事では、介護助手・介護補助の仕事内容や介護職との違いなどについて、分かりやすく解説していきます。
介護助手・介護補助は、介護サービスの高い質を保つために必要な職種
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■介護助手・介護補助の仕事内容や、介護職との違いとは?
皆さんは介護助手・介護補助(以下、介護助手等と略します。)という言葉を聞いたことはありますか?
実は介護助手等の仕事に関して、定められた明確な定義はありません。一般的には、まさに文字通り介護職員の助手や補助員として働く人のことを指します。
介護職員は専門的な知識を活かし、身体介護など直接的な介護業務を行います。国家資格である介護福祉士を取得する方も多く、ほかにも介護職員初任者研修や介護職員実務者研修を経た方々で構成されています。ただし、多くのサービス種別においてそれらの資格は必須であるわけではなく、無資格で介護業務に就いている方もいます。
それに対し、介護助手等は身体に直接触れる身体介護(食事介助、入浴介助、排せつ介助など)以外の仕事を任され、食事の配膳、ベッドメイキング、清掃、備品の整理整頓など周辺業務を担う職場が多いようです。
働き方に関しても、フルタイムではなく、週に数回とか1日3時間とか、ライフスタイルに合わせたパートタイムでの働き方をしている方が多くいらっしゃいます。
これらを担う介護助手等がいるからこそ、介護職員は専門的な業務に集中でき、介護サービスの高い質を保つことができます。介護助手は、高齢者が安心して暮らすために必要な職種であるといえます。
■介護助手・介護補助ができた背景とは
では、どのような背景・目的で介護助手等の仕事が生まれてきたのでしょうか。
大きくは、以下の3つの目的があると考えています。
①不足する介護人材の確保
②介護サービスの質の担保
③多様な人材の活用
上記を1つずつ解説いたします。
①不足する介護人材の確保
厚生労働省は、2040年度には約280万人の介護職員が必要であり、令和元年を起点に考えると、約69万人の介護職員を確保する必要があると推計を出しています。
また、現実の介護現場に目を向けてみても、事業所全体の63.0%が人材不足と感じています。(介護労働安定センター・令和3年度「介護労働実態調査」)
そこで、介護福祉士など専門資格を持つ職員がより専門的な介護業務に専念し、周辺業務を比較的人材確保しやすい介護助手等に担ってもらうことにより、介護人材の不足を補うことを狙っています。
②介護サービスの質の担保
①により、業務の切り分け、棲み分けを行うことにより、利用者へのよりきめ細やかなサービスの提供、ニーズに沿った介護を行うことができ、しっかりと介護サービスの質の担保ができると考えます。当事者である高齢者はもちろん、その家族にとっても、安心して質の高い介護サービスを受ける事ができることはとても大切なことですよね。
③多様な人材の活用
日本には、まだまだ仕事を続けたいと願う高齢者、仕事に就きたいけれど自分に合った仕事を見つけられないでいる障がい者、職を求め日本を目指す外国人労働者など、多様な人材が仕事を探しています。
介護助手等の仕事は補助的な業務が多く、心身の負担は比較的少ないといえます。また多様な人材の様々な経験や知識は、介護にも活かせます。このような多様な人材を活かすには、介護助手等の仕事は合っているとも言えます。
上記のような背景・目的で導入されている介護助手等ですが、ここを入り口として、介護という仕事の魅力を知り、より専門的な業務に就きたいと思う方も出てきています。
■介護の仕事をスタートするきっかけに
厚生労働省でも、令和4年度から都道府県福祉人材センターに「介護助手等普及推進委員」を配置し、介護助手等の掘り起こしや介護現場への就労に向けた働きかけを行っています。
いきなり介護の仕事に就くことに不安がある方や、まずは介護の世界を少し覗いてみたいなと考える方には、介護助手等の仕事は最適であるといえるでしょう。
ここからスタートされた方が、数多く介護の仕事に就かれていくことを心から願うばかりです。
福岡福祉向上委員会 代表