本日のお悩み
最近では、介護をしている父ともよく言い合いになってしまいます。
父も気が弱くなっており、精一杯のようで、父のことも心配です。
認知症の家族との関わり方、また介護をしている方への関わり方も併せてアドバイスをお願いいたします。
■執筆者
茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員
まずは状況を分析してみましょう。
おばあ様の認知症、懸命に介護をしているお父様、とても心配ですよね。
私は、おばあ様、お父様を心配されている質問者さんも心配です。
さて、まず情報が少ない中ですが、それぞれの状況をもう少し分析(推測)してみましょう。
■おばあ様:認知症で怒りっぽくなった
そのため、不安や焦りを感じ怒りっぽくなっている可能性が高いです。
■お父様:認知症のおばあ様の介護で、ご本人と言い合いになっている
また、これは一生懸命だからこそ「なぜこんなに対応しているのにうまくいかないんだ」という苛立ちもあるでしょう。
認知症の家族との関わり方でまず大切なこと、それは冷静に状況を分析することです。
みなさんは、ついつい身内に対し、感情的になってしまうことはないでしょうか?
私はあります(笑)
いまだに親から小言を受けると「なんだよ」とカチンとくることがあります。
あとで冷静になれば、子供のためを思って言ってくれたんだろうとなりますが…。
となれば、なぜおばあ様が怒りっぽいのかを冷静に捉えることが重要となります。
原因が考えられるのであれば、医療機関を利用することによって症状の軽減が図られるかもしれません。
また、周囲の状況を理解することが難しいことに対しては、情報量の少ない場所で穏やかに過ごしていただくなど環境面でのアプローチも効果的かもしれませんね。
介護をしている人への関わり方のポイント
介護をしている人に関わる際に大切にしていただきたいことは、傾聴です。
皆さんはSOLER(ソーラー)理論をご存じでしょうか?
これは傾聴基本動作の頭文字を表した考え方です。
S=Squarely(スクウェアリィ) :心をまっすぐ向ける
O=Open(オープン):開いた姿勢(受容)
L=Lean(リーン) :前のめりになる(相手に興味を持つ)
E=Eye Contact(アイコンタクト):視線を合わせる(見下さず・適度に視線を外す)
R=Relaxed(リラックス):緊張をほぐす
また介護をしている人への対応で必ずと言って良いほど、介護福祉士国家試験に出題される禁止事項とは「アドバイスすること」です。
頑張っている方にはアドバイスよりその頑張りを認める・受け止めることが大切になります。
まとめ:これからの時代を生きるヒントに。
専門的な視点からと捉えれば、なるほどと思っていただいたかもしれません。
しかし、今回お伝えさせていただいたのは人と接する時の基本姿勢ともいえるでしょう。
これから5人に1人が認知症になる時代と言われています。
認知症を特別視するのではなく、共に生きる新しい時代のヒントとなれば幸いです。
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茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)