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利用者さんからの暴言・暴力で休職|復職をするなら元の職場?それとも転職?

利用者さんからの暴言・暴力で休職|復職をするなら元の職場?それとも転職?

利用者さんからの暴言や暴力が原因で休職。体調が回復し、職場復帰を目指す際に元々働いていた職場に復職をするか、他の事業所や施設に転職をするか悩まれる方も多いのではないでしょうか。このようなお悩みに対し、元の職場に復職をする場合に気をつけたいポイントを専門家が解説します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


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元の職場への復職と、新しい職場への転職どっちがいいの?

本日のお悩み

精神疾患を持つご入居者様からの暴言暴力が原因で現在休職をしています。
休職したこともあり今、身体は元気で普通に生活することができています。そのため復職することを考えていますが現場が忙しいとのことで、休職前に勤めていた事業所の上司やその上の方と面談ができていない状態です。医師からも会社と面談してからでないと復職への道筋は出せないと言われています。

また、暴言暴力を振るってきた利用者さんは今も入所していて、他の職員にも同様のことを行っているようです。 もちろん、元々の職場に思い入れがあり、可能であれば戻りたいと考えていますが、他の施設に転職したほうがよいのでしょうか。専門家の方のご意見を聞かせてください。

復職には職場とのコミュニケーションが必須です!

介護職 上司との相談

執筆者/専門家

古畑 佑奈

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員 特別養護ホーム生活相談員、訪問介護事業、地域包括支援センターにて介護支援専門員の経験あり。 現在は、デイサービス管理者として勤務。 地域でのネットワーク活動では事務局として「死について語る会」や「3大宗教シンポジウム」など幅広いテーマの勉強会やイベントを企画・運営の経験がある。 すきな食べ物はラーメン。

ご質問ありがとうございます。
まずは、体調が回復して何よりです。今回の経験は辛いものだったと思いますが、その経験を活かしてよりよい形でお仕事に戻ることができるとよいですね。

復職か転職かで悩んでいるようですが、ご本人としては元の職場に復職したい気持ちの方が強いのではと読み取りました。
そのため、復職される場合に注意することとして、思いつくことを以下3つ挙げてみます。

元の職場に復職する際、気をつけたい3つのこと

1.職場との密なコミュニケーション
2.心のケア
3.入居者の方(利用者さん)の分析

■1.職場との密なコミュニケーション

現場が忙しいとはいえ、上司や人事の担当の方とお話しをすることは、お医者様の言う通り必須だと思います。

どれくらいの期間お休みされていたか分かりませんが、いきなり以前と同じように復職するのは心身ともにかなり負担が大きいのではないでしょうか。お医者様の意見も踏まえながらどういった段階を踏んで復職をするのか、しっかりと相談しましょう。

質問者さんが不安に思っていることをあらかじめまとめておき、それに対して具体的にどのような対応がとれるかを一緒に考えてもらうと良いでしょう。復職してすぐは不安なことも多いかと思うので、定期的な面談の実施など、安心して仕事に取り組めるようなサポート体制があると安心であると思います。

■2.心のケア

たとえ転職したとしても、また同じようなケースに出会う可能性はあり、今後も介護の現場で働きつづけるには自身の心を健康に保つ努力も不可欠です。
復職後も定期的に医師や臨床心理士へ相談の機会を持ち、心のケアを受けることも必要となってくるでしょう。

お気持ちを想像すると、暴言暴力によってご自身の「自尊感情」が大きく傷つけられていたのではないでしょうか。ひどい言葉を浴びせられたら傷つきますし、心地よく生活してもらいたいと思ってしていることが暴力で返ってきたらショックを受けますよね。

「自尊感情」には、3つの軸があります。
・自己有用感:自身がどれだけ他者や社会に役立っているかを感じること
・自己調整感:自らの望み通りにやりたいという本能のこと
・自己安全感:持続的に安心感を得られること

これらが損なわれると、自分を価値のない人間だと感じたり、自分をコントロールできなくなったり、不安が大きくなって生活に支障が出たりします。

ーどのような状況でも、あなたは「大切な存在」です!

介護の仕事は、目の前に利用者の方がいるため、自身の提供したサービスに対しての反応が得やすく、直接「ありがとう」と言われる機会も多いです。

しかし、それを目的にしてしまうと、相手の拒絶に対して自身の心が傷ついたり、不安を感じたりすることが往々にしてあります。人は社会的な生き物なので、他者の評価を求めてしまいますが、自分の価値は他人から認められなければならないものではなく、自分の中にあるものです。

どんなに暴言を吐かれても、あなたが大切な存在であるのに変わりはないことを胸に留めておいていただければと思います。

■3.入居者の方(利用者さん)の分析

暴言暴力の原因が精神疾患とのことですが、利用者さんの疾患のどのような症状がそうさせてしまっているのかを探ることも、今後かかわっていく上で必要なことでしょう。

その方も、怒りたくて怒っているわけではなく、自身の感情を表現する手段としてそうなってしまう、コントロールの難しさがあるのだと思います。なぜ、そのような行動をとるのか、確実な原因を見つけることは難しい場合もありますが、疾患や症状を理解した上で様々な可能性に想像を巡らせることは、介護の専門性にも繋がります。

また、他のスタッフとも話し合い、対応を検討することで一人で抱え込まないことも大切です。同じように辛い気持ちを抱えながら対応している方もいるかもしれませんので、チームでともに考えて取り組むことを考えていきたいですね。

最後に:復職や転職を成長機会にしましょう!

復職までも、復職されてからも悩みや不安が大きいと思いますが、ご自身の成長につながる貴重な機会でもあるかと思います。

どのような決断をしても、応援しています!

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この記事のライター

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

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