元の職場への復職と、新しい職場への転職どっちがいいの?
■本日のお悩み
休職したこともあり今、身体は元気で普通に生活することができています。そのため復職することを考えていますが現場が忙しいとのことで、休職前に勤めていた事業所の上司やその上の方と面談ができていない状態です。医師からも会社と面談してからでないと復職への道筋は出せないと言われています。
また、暴言暴力を振るってきた利用者さんは今も入所していて、他の職員にも同様のことを行っているようです。 もちろん、元々の職場に思い入れがあり、可能であれば戻りたいと考えていますが、他の施設に転職したほうがよいのでしょうか。専門家の方のご意見を聞かせてください。
復職には職場とのコミュニケーションが必須です!
■執筆者/専門家
社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員 特別養護ホーム生活相談員、訪問介護事業、地域包括支援センターにて介護支援専門員の経験あり。 現在は、デイサービス管理者として勤務。 地域でのネットワーク活動では事務局として「死について語る会」や「3大宗教シンポジウム」など幅広いテーマの勉強会やイベントを企画・運営の経験がある。 すきな食べ物はラーメン。
まずは、体調が回復して何よりです。今回の経験は辛いものだったと思いますが、その経験を活かしてよりよい形でお仕事に戻ることができるとよいですね。
復職か転職かで悩んでいるようですが、ご本人としては元の職場に復職したい気持ちの方が強いのではと読み取りました。
そのため、復職される場合に注意することとして、思いつくことを以下3つ挙げてみます。
■元の職場に復職する際、気をつけたい3つのこと
2.心のケア
3.入居者の方(利用者さん)の分析
■1.職場との密なコミュニケーション
どれくらいの期間お休みされていたか分かりませんが、いきなり以前と同じように復職するのは心身ともにかなり負担が大きいのではないでしょうか。お医者様の意見も踏まえながらどういった段階を踏んで復職をするのか、しっかりと相談しましょう。
質問者さんが不安に思っていることをあらかじめまとめておき、それに対して具体的にどのような対応がとれるかを一緒に考えてもらうと良いでしょう。復職してすぐは不安なことも多いかと思うので、定期的な面談の実施など、安心して仕事に取り組めるようなサポート体制があると安心であると思います。
■2.心のケア
復職後も定期的に医師や臨床心理士へ相談の機会を持ち、心のケアを受けることも必要となってくるでしょう。
お気持ちを想像すると、暴言暴力によってご自身の「自尊感情」が大きく傷つけられていたのではないでしょうか。ひどい言葉を浴びせられたら傷つきますし、心地よく生活してもらいたいと思ってしていることが暴力で返ってきたらショックを受けますよね。
「自尊感情」には、3つの軸があります。
・自己調整感:自らの望み通りにやりたいという本能のこと
・自己安全感:持続的に安心感を得られること
これらが損なわれると、自分を価値のない人間だと感じたり、自分をコントロールできなくなったり、不安が大きくなって生活に支障が出たりします。
ーどのような状況でも、あなたは「大切な存在」です!
しかし、それを目的にしてしまうと、相手の拒絶に対して自身の心が傷ついたり、不安を感じたりすることが往々にしてあります。人は社会的な生き物なので、他者の評価を求めてしまいますが、自分の価値は他人から認められなければならないものではなく、自分の中にあるものです。
どんなに暴言を吐かれても、あなたが大切な存在であるのに変わりはないことを胸に留めておいていただければと思います。
■3.入居者の方(利用者さん)の分析
その方も、怒りたくて怒っているわけではなく、自身の感情を表現する手段としてそうなってしまう、コントロールの難しさがあるのだと思います。なぜ、そのような行動をとるのか、確実な原因を見つけることは難しい場合もありますが、疾患や症状を理解した上で様々な可能性に想像を巡らせることは、介護の専門性にも繋がります。
また、他のスタッフとも話し合い、対応を検討することで一人で抱え込まないことも大切です。同じように辛い気持ちを抱えながら対応している方もいるかもしれませんので、チームでともに考えて取り組むことを考えていきたいですね。
最後に:復職や転職を成長機会にしましょう!
どのような決断をしても、応援しています!
■あわせて読みたい記事
認知症による暴力・ハラスメントへの対応方法とは?【 回答者/専門家:伊達 伸一弁護士・ 古畑 佑奈先生】 | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/370(2024年5月更新)「利用者さんからの暴力」介護職に携わる人の多くが直接的に関わったり、目撃したりしたことがあるのではないでしょうか。さらに、利用者さんからのという点で対応方法にもお困りでは…本日は法的な視点で弁護士の伊達先生に、介護職の視点で古畑先生に説明していただきます!【回答者/専門家:伊達 伸一・ 古畑 佑奈】
利用者さんからの暴力、介護職員は我慢するしかない?適切な対応方法とは【執筆者:専門家/後藤 晴紀、伊藤 浩一】 | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/256[2024年5月更新]介護現場での利用者さんからの暴力やハラスメントにはどのように対応する必要があるのでしょうか?2名の専門家の方に対応方法をお伺いしました。【執筆者:専門家/後藤 晴紀、伊藤 浩一】
介護職の転職で失敗しないために!後悔しない転職をするための心得とは | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/34[2024年7月更新] 介護職の転職で失敗する原因は、職場や仕事に対する印象が入職前と入職後で大きく異なっていたことにあります。転職で失敗しないためにも、面接の段階で気になることは全て確認しておくことが大切です。【執筆者:ささえるラボ編集部/専門家 古畑 佑奈】
社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員