第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(介護過程)

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第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【介護過程】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


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第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(介護過程)

問題1

介護福祉職が、初回の面談で情報を収集するときの留意点として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.用意した項目を次から次に質問する。
2.目的を意識しながら話を聴く。
3.ほかの利用者が同席する状況で質問する。
4.最初に経済状態に関する質問をする。
5.家族の要望を中心に話を聴く。

解答

2.目的を意識しながら話を聴く。

解説

1.(×)用意した項目を次から次に質問する姿勢は、取り調べや事情聴取のような雰囲気をつくりやすくなり、利用者との信頼関係を築きづらくなります。
2.(○)「利用者のニーズを明確化する」という目的を意識しながら話を聴くとよいでしょう。
3.(×)プライバシー配慮の観点から、他の利用者が同席する状況は避けるべきです。
4.(×)経済状態に関する質問はセンシティブであるため、最初の質問としては適当ではありません。
5.(×)家族の要望も必要な情報ではありますが、まずは利用者本人の要望を中心とすべきです。

問題2

事例研究を行うときに、遵守すべき倫理的配慮として、適切なものを1つ選びなさい。

1.研究内容を説明して、事例対象者の同意を得る。
2.個人が特定できるように、氏名を記載する。
3.得られたデータは、研究終了後すぐに破棄する。
4.論文の一部であれば、引用元を明示せずに利用できる。
5.研究成果を得るために、事実を拡大解釈する。

解答

1.研究内容を説明して、事例対象者の同意を得る。

解説

1.(○)事例研究では利用者に関する情報を取り扱うことになるため、その研究内容を説明して同意を得ることは、当然に必要な倫理的配慮です。
2.(×)氏名は記号化するなど、個人が特定できないような配慮が必要です。
3.(×)得られたデータは研究の裏付けとなる重要な資料であるため、適切な保存処置を施した上で、一定期間管理する必要があります。
4.(×)論文の一部であれば引用元の明示は不要とのルールはありません。
5.(×)事実を拡大解釈して得られた研究成果は信用に値しません。

問題3

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Aさん(75歳、女性)は、一人暮らしで、身体機能に問題はない。70歳まで地域の子どもたちに大正琴を教えていた。認知症(dementia)の進行が疑われて、心配した友人が地域包括支援センターに相談した結果、Aさんは介護老人福祉施設に入所することになった。入所時のAさんの要介護度は3であった。
入所後、短期目標を、「施設に慣れ、安心して生活する(3か月)」と設定し、計画は順調に進んでいた。Aさんは施設の大正琴クラブに自ら進んで参加し、演奏したり、ほかの利用者に大正琴を笑顔で教えたりしていた。ある日、クラブの終了後に、Aさんは部屋に戻らずに、エレベーターの前で立ち止まっていた。介護職員が声をかけると、Aさんが、「あの子たちが待っているの」と強い口調で言った。

大正琴クラブが終わった後のAさんの行動を解釈するために必要な情報と して、最も優先すべきものを1つ選びなさい。

1.介護職員の声かけのタイミング
2.Aさんが演奏した時間
3.「あの子たちが待っているの」という発言
4.クラブに参加した利用者の人数
5.居室とエレベーターの位置関係

解答

3.「あの子たちが待っているの」という発言

解説

1.(×)介護職員が声かけする以前からAさんはエレベーターの前で立ち止まっていたため、声かけのタイミングを考慮する必要はないと考えられます。
2.(×)Aさんが演奏した時間については設問中に記載がなく、最も優先すべき情報とは考えられません。
3.(○)「あの子たちが待っているの」という発言は、Aさんの状態や行動の理由を探るために最も必要な情報だといえます。記憶障害や見当識障害のため、施設外へ出ようとしていた可能性が推測されます。
4.(×)クラブに参加した利用者の人数については設問中に記載がなく、最も優先すべき情報とは考えられません。
5.(×)居室とエレベーターの位置関係については設問中に記載がなく、最も優先すべき情報とは考えられません。

問題4

次の事例を読んで答えなさい。

〔事 例〕
Aさん(75歳、女性)は、一人暮らしで、身体機能に問題はない。70歳まで地域の子どもたちに大正琴を教えていた。認知症(dementia)の進行が疑われて、心配した友人が地域包括支援センターに相談した結果、Aさんは介護老人福祉施設に入所することになった。入所時のAさんの要介護度は3であった。
入所後、短期目標を、「施設に慣れ、安心して生活する(3か月)」と設定し、計画は順調に進んでいた。Aさんは施設の大正琴クラブに自ら進んで参加し、演奏したり、ほかの利用者に大正琴を笑顔で教えたりしていた。ある日、クラブの終了後に、Aさんは部屋に戻らずに、エレベーターの前で立ち止まっていた。介護職員が声をかけると、Aさんが、「あの子たちが待っているの」と強い口調で言った。

Aさんの状況から支援を見直すことになった。
次の記述のうち、新たな支援の方向性として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.介護職員との関係を改善する。
2.身体機能を改善する。
3.演奏できる自信を取り戻す。
4.エレベーターの前に座れる環境を整える。
5.大正琴を教える役割をもつ。

解答

5.大正琴を教える役割をもつ。

解説

1.(×)介護職員との関係性が悪くなっているわけではありません。
2.(×)Aさんはもともと身体機能に問題はなく、入所後に悪化したとの記載もありません。
3.(×)Aさんは大正琴を他人に教えるほどの技量であり、自信をなくしたとの記載もありません。
4.(×)なぜ、エレベーターの前で立ち止まっていたのか、その根本を理解して支援する必要があります。
5.(○)認知症による記憶障害や見当識障害のため、Aさんには現在の状況を把握できなくなる瞬間が生まれてきたと考えられます。その中で生きがいのある生活を支援するため、大正琴を教える役割を担ってもらうことが適切です。

問題5

介護過程の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.生活状況が変化しても、介護計画で設定した日に評価する。
2.サービス担当者会議で評価する。
3.相談支援専門員が中心になって評価する。
4.利用者の満足度を踏まえて評価する。
5.介護計画の実施中に評価基準を設定する。

解答

4.利用者の満足度を踏まえて評価する。

解説

1.(×)評価は、原則として介護計画で設定した日に行いますが、利用者の生活状況が変化したときにも適宜行います。
2.(×)サービス担当者会議は、ケアプランの新規作成や変更の後、関連するサービス担当者が集まって内容を検討するものであり、介護過程の評価をする場ではありません。
3.(×)介護福祉職が中心になって評価します。
4.(○)介護計画が真に利用者のためになっていれば、その満足度は高まると考えられるため、利用者の満足度は評価においても重要な要素となります。
5.(×)評価基準は、介護計画の立案時から設定しておきます。

問題6

次の記述のうち、介護老人保健施設で多職種連携によるチームアプローチ(team approach)を実践するとき、介護福祉職が担う役割として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.利用者の生活状況の変化に関する情報を提供する。
2.総合的な支援の方向性を決める。
3.サービス担当者会議を開催する。
4.必要な検査を指示する。
5.ほかの職種が担う貢献度を評価する。

解答

1.利用者の生活状況の変化に関する情報を提供する。

解説

1.(○)介護福祉職は、利用者の生活に密着して関わる立ち位置にあり、利用者の生活状況の変化を多職種チームに提供する役割が求められます。
2.(×)総合的な支援の方向性は、介護支援専門員(ケアマネジャー)の調整の下、多職種カンファレンスなどで決定されます。
3.(×)サービス担当者会議は、ケアプランの新規作成や変更の後、介護支援専門員の召集を受けて関連するサービス担当者が集まり、ケアプランの内容を検討する会議体です。
4.(×)検査の指示は、医師の役割です。
5.(×)多職種連携によるチームアプローチにおいて、介護福祉職が担う役割ではありません。

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