本日のお悩み
主任になってから日々の業務に追われ、常に板挟みで人間関係にも疲れてしまいました。本当の役割がなんなのかもよく分からなくなってしまっています。
この業務に向いている人はどんな人ですか?私には適性がないのかもしれません。
相談できる人もおらず、息がつまりそうです。
介護主任に必要な3つの能力とは?常に板挟みという悩みを解決する2つの視点も紹介します
マンガ監修:望月太敦(公益社団法人東京都介護福祉士会 副会長)
介護主任とは?必要な資格、能力についてまとめました
ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役 株式会社ゆりかご 代表取締役 茨城県訪問介護協議会 副会長 茨城県難病連絡協議会 委員 水戸在宅ケアネットワーク 世話人 介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員
■そもそも「主任」とは?介護主任の仕事内容は?
主任そのものは、「主として任務(仕事)にあたること」です.
職場の仕事については、一通りのことができるようになり、また、その仕事内容について、新しい職員に教育や指導を行うことで、仕事を円滑に行うことができる要となる存在と考えます。
一般の介護職員との違いとは
よって、仕事内容としては、現場における業務全体や想定される出来事などについて、自分で考え行動すること、自分以外の職員に対して、自分の持っている知識と技術を活用して育成することです。
主任ではない介護職との大きな違いは、現場での業務では基本的に分からないことがないという点と、自分以外の職員を教えるという点になります。
ただし、こちらはあくまで一般的な「主任」という言葉から考えたものですから、介護保険上で位置付けられている職域ではないので、事業所によって、主任のとらえ方が違うこともあります。実際は、みなさまの職場における主任の「職域」をご確認ください。
■介護主任になるのに必要な資格や条件は?
職場のキャリアパス制度を確認しましょう
先述のとおり、介護保険法に位置付けられている職種とは違いますので、この資格がないとなれないというものではありません。
ただし、みなさまの職場においては、主任になるために必要な資格などは存在するかもしれません。介護職員処遇改善加算を取得している事業所ではキャリアパス制度とそれに連動した給与体系などを整備している事業所が多いと思いますので、そのキャリアパスの条件に合った資格が必要になることがあります。ぜひご確認いただければと思います。
介護福祉士は必須資格と言える
その上で、介護主任として働く上で私があった方が良いと思う資格は、介護福祉士です。
ご承知の通り、介護福祉士は国家資格で、介護における技術と知識が問われます。
現場の業務、フローなどは経験則で対応できることも多いかと思いますが、昨今は科学的根拠に基づいた介護をいかに実践できるかが問われています。
経験則の裏付けとして、科学的根拠をきちんと理解した上で実践が成り立っている状態だと、自分以外の職員へ「なぜ」この業務が必要なのかをきちんと説明できるようになります。
そして理由や根拠が明確であれば、イレギュラーな出来事でも、応用が利くようになります。
よって、その科学的根拠をしっかりと理解する上でも、介護福祉士の資格取得のための勉強は非常に有益なものとなります。
コーチング関連の資格や勉強もおすすめ
また、コーチングの資格や勉強は、他者への指導方法という点で非常に役立つと思います。
時には主任として他の職員の悩みを聞くこともあるかと思います。そんなときに、「この人に話せてよかった。」と思えるような主任だと、職場の雰囲気もモチベーションもとても良いのではないかと思います。相手への伝え方を学ぶということは、技術や知識の指導以外の場面でも役に立つでしょう。
■介護主任に必要な3つの能力とは
以上のことから、私が考える主任に必要な能力は、以下の三つと考えます。
①現場の業務の「なぜ」を理解して実践できる
②職場の他職員に「わかりやすく」教えることができる
③職場の他職員の悩みを「すっきり」できるように支えることができる
この三つはとても難しいことだと思います。
実際、指導する相手が年上だったり、自分より経験年数が多い方だったり、そもそもモチベーションが低い人や問題意識が低い人などいろんな方がいます。
しかし、介護は「チームケア」です。施設でも在宅でもひとりではケアはできません。チームとなる自分の職場の雰囲気を作ったり、ときにはリーダーシップを発揮したりと、チームを作ることができる力を養うことが大切だと考えます。
ただ、これは主任に限ったことではありません。介護職はどの立場であっても、チーム作りのために自分ができるベストを尽くすのです。主任として一番大切な能力は、広い視野とみんなの気持ちを受け止める広い心を持つことだと考えます。
みんなで良いチームを作って、目の前にいる利用者の最善を一緒に考えていきましょう!
「組織」と「個人」2つの視点から考える
日々のお仕事お疲れさまです。
こちらの質問、同じ役職を担っている方であれば共感しない方はいないのではないでしょうか。
主任という立場は、現場職員をまとめるリーダーとして、また一方では管理職からの指示や意向に沿ってチームに働きかけることを求められ、「常に板挟みである」というのが役割であると言っても過言ではない日々を過ごされていることと思います。
なんで、私ばかり……という思いを感じる場面も多いのではないでしょうか。
まずは、そんな質問者さんに心からのエールをお送りします。
■介護主任に向いているのはこんな人
さて、ご質問にお答えすると、私の考えるこの業務に向いている人というのは「組織と個人のバランスを取りながら考え続けられる人」ではないかと思います。
板挟みとなっている、組織と個人、2つの側面それぞれについて考えてみましょう。
少し具体的にお話ししますね。
■1.会社という「組織」から考えた場合
一口に会社で働くといっても、組織の在り方は様々です。
従業員はその会社で働く上で、それぞれの組織の理念に沿って働くことが求められます。
会社から求められている役割、質問者さんにとっては主任という役割が、その組織でどのように求められているのか。
同じ役職であっても、組織や個人の特性によって求められる働きというのは異なります。
組織から、自分に期待される役割を知るために
リーダーと言っても、求めるリーダー像というのは人それぞれ、時代や環境によっても様々ですし、正解はありません。
だからこそ、質問者さんがその役割を与えられているということは、組織から求められている、期待されている役割があるはずです。
少し俯瞰的に自分のことを捉えてみるのもよいですし、上司に直接聞いてみることで、自分のスタンスが見えてくるかもしれません。
■2.個人的な仕事や働き方に対して考えた場合
時には、個人の考えやチームの考えが会社の方針とかみ合わないこともあります。
そんなときにまさに板挟みになるのだと思います。
管理職、経営層に聞こえていない現場の声をまとめ、伝える役割として、個人的にはここに質問者さんの「信念」が求められると考えています。
なぜなら、ただ現場と管理者、経営層の間に立つというだけではなく、「なぜそうするのか」「なぜそう思うのか」をきちんと自分の言葉で伝えられることが役割だと思うからです。
■バランスを取ろうとしているから、悩む
組織と個人の視点、どちらかに偏ってしまえば、考える必要がないのできっと楽です。
でも、求められる役割はそうじゃない。
質問者さんは、役割をまっとうするためにバランスを取ろうと考えているからこそ、今悩んでいるのだと思います。
それこそがもうすでに役割を果たそうとしていることだと、私は思います。
■オンラインでも、相談できる人をみつけてみて
とはいえ、相談できる人がいないというのはしんどいです。
共感でき、気軽に愚痴が言える相手がいるだけでも気持ちが違うかなと思います。
最近は、SNSコミュニティやオンラインサロンなどオンラインの活動も活発ですので、会社以外のコミュニティを探すのもよいのではないでしょうか。ガス抜きだけでなく、実用的なことを学ぶ機会につながることもあります。
質問者さんが、どうかその役割に使命を感じることができ、悩みながらも仕事が楽しいと思えることを願っています!
社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員