本日のお悩み
普通の仕事をしている人より安い給料で、外に出て働かないといけないことに納得できません。国は手当を出すべきではないでしょうか?
仕事中は利用者さんにうつさないように注意する、家ではもしかしたら自分が感染しているんじゃないかとか、こどもにうつしたらどうしよう…など、疲れます。
介護の仕事をしている人にとっては不要不急の外出、とか在宅勤務だとか、夢のような話ですよね。
「介護は給料安い」という幻想から抜け出しましょう!
回答者
質問ありがとうございます。
質問者さんは、新型コロナウイルスにより社会全体が戦々恐々としている中、もし自分が感染したらと考えると不安でいてもたってもいられないのだとお察しします。実は、私も不安でいっぱいです。特別養護老人ホームを運営していますので、もし自施設で職員やご利用者に感染者が確認されたら、もし自分がなってしまったら・・など、考えれば考えるほど不安になってしまいます。
しかし、一度周りをみてみましょう。
「私たちは不安でいっぱいですが、継続的に仕事はあるんです。」
何が言いたいかというと、このコロナショックにより「仕事がしたいけどなくなってしまった」「自粛要請があるが、生活できないから仕事を少しでも継続しなければならない」「コロナウイルスが終息してもお客さんが帰ってくるかどうかわからない」という方が続々と出てくる状態となってしまいました。国は大型の経済支援を考えていますが、ここまでの規模になると全ての人のニーズにマッチすることは難しい状態と言えます。
つまり、来月のお給料さえ確約できないという方がたくさんいる社会になってしまったのです。
そんな中、質問者さん!介護職は安い給料なんて言えますか?
私たちの介護業界はコロナショックの中でも高齢者の数が増加していくことは変わりません。その為、今本当に辛い思いをされている飲食業、旅行業、宿泊業などの皆様のように急に仕事(収入)がなくなることはなく、安定していると言えるでしょう。逆にこのような世の中だからこそ、ご家族が失業するなどして生活が一変してしまった高齢者がいるご家庭やその地域を支える使命があるのです。
老人福祉法「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」基本方針第3条にこのような条文があります。
「特別養護老人ホームは、入所者に対し、健全な環境の下で、社会福祉事業に関する熱意及び能力を有する職員による適切な処遇を行うように努めなければならない。」
特別養護老人ホームの条文でありますが、特に「社会福祉事業に関する熱意を有する職員」という文言、私は介護サービス全般に当てはまると思います。
「介護の仕事は3Kで給料が安い」という社会的イメージは、コロナショック前の景気が上向きだった社会に植え付けられてしまいました。コロナショック後、社会は誰もが予想もしなかった社会に大きく変化しそうです。これを機に、私たちは、本来の目的である高齢者や障がい者の皆様の想いに寄り添った支援を「熱意」を持って行い、介護のイメージを「社会に貢献できて、やりがいもあり、給料が安定している仕事」に変えていきませんか。すでに、安定を求めて、他業界から介護業界に転職を希望する人は増えてきています。
こんな時だからこそ「プラス思考」でコロナショックを乗り切っていきたいですね。
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)