マイナビ福祉・介護のシゴト
ひとり親(シングルマザー)にとって介護職は働きやすい仕事?メリットと理由を解説!

ひとり親(シングルマザー)にとって介護職は働きやすい仕事?メリットと理由を解説!

他職種と比べても、シングルマザーの方は多くいらっしゃるように思います。雇用形態や勤務形態が選べる&長く続けると資格を取得できます。【回答者:羽吹 さゆり】


本日のお悩み

私はひとり親(シングルマザー)で、娘が1人います。娘はちいさく、まだまだお金がかかりますが私は手に職を持っているわけではありません。介護職はそういう人も働けますか?また、働きやすいですか?

介護職は、シングルマザーにとって働きやすい仕事なのか?

後藤 晴紀

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/9

・けあぷろかれっじ 代表 ・NPO法人JINZEM 監事 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士

まずは、ひとり親世帯の就労状況を見てみましょう。

厚生労働省『平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』では、ひとり親世帯のうち81.8%の方が就労しているという状況となっています。
介護業界単一での就労状況が出ていないのですが、母子世帯の母の資格別有資格率では、18.6%もの方が、介護福祉士や初任者研修(ヘルパー2級)の資格を保有し、就業していることが分かります。

そして何より、看護師や准看護師(合わせて7.5%)よりも多く、全産業の資格保有者としては一番多くの資格を有して就業しているのが、介護関係の資格という結果となっています。
資格保有者に限定しなければ、より多くのひとり親世帯の方が介護職員として従事しているということが伺えますね。

厚生労働省 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

シングルマザーが働きやすい理由と、介護職で働くメリットまとめ

それではまずはじめに、シングルマザーが働きやすい理由を挙げていきます。

① 無資格未経験から始められる
② 事業者や働いている仲間の理解が得やすい
③ 子どもの成長に合わせて、働き方を選びやすい
④ お昼のお弁当を作る必要がない事業所も多い

次に、シングルマザーが介護職として働くメリットを挙げてみます。

① 正規雇用職員として働ける可能性がある
② 子どもとの時間やライフワークバランスが取りやすい
③ 働きながら国家資格も取得でき、その後のキャリアが形成しやすい

介護職の仕事内容とは? サービスの種類別から必要な資格、給与まで徹底解説! | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/790

少子高齢化でニーズが高まる介護職は、未経験からチャレンジできて安定的に就労できる仕事です。介護業界への転職を考える人のために、仕事内容から介護職の魅力、必要な資格、平均給与額まで、基礎知識を解説します。

「介護職員」の求人を見る

シングルマザーが介護職として働きやすいと言える理由4つ

それでは一つずつ、シングルマザーが働きやすい理由について掘り下げてみたいと思います。

① 無資格未経験から始められる

まずは無資格未経験でも働けるということに尽きると思います。
看護師をはじめとした多くの技術職・専門職は、業務に関係する資格をすでに持っていることが、就労するうえでの最低条件です。
しかし介護に関しては(訪問介護を除く)、無資格未経験からスタートできます。

② 事業者や、働いている仲間の理解が得やすい

平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告の結果からも分かる通り、介護業界では、多くのシングルマザーが活躍しています。施設側も事情を汲み取り、お子さんの体調不良などによる急な休みにも理解を示してくれると思います。先輩方の経験を基に、ご自身の今後のキャリアアップもイメージしやすいのではないでしょうか。

③ 子どもの成長に合わせて、働き方を選びやすい

介護業界には様々な事業種別があります。例えば特別養護老人ホームやデイサービスといった、住まいの場や通いの場としての事業所に分かれているんです。

例えば、特別養護老人ホームで正規雇用職員になろうとする場合、土日も勤務が入ったり、遅番・早番・夜勤があります。この働き方だと、子育てとのバランスを取るのがとても大変ですよね。お子さんとの休日の関わりも、なかなか時間が取れなくなってしまいます。
しかしデイサービスの場合、日勤帯での業務が基本です。また、事業所の定休日が日曜日であったりと、仕事と子育てのバランスが整えやすいのでおすすめかもしれません。

また、お子さんが大きく成長し、少し余裕が出てくれば、夜勤がある特養へ異動や転職をすることも可能です。
特養では夜勤手当があるので、技術的なスキルアップと合わせて収入増も期待できます。

④ お昼のお弁当を作る必要がない事業所も多い

福利厚生の一環として、従業員に対して昼食を低額で提供している事業所も多くあります。
朝早く起きて、お弁当作りをするのって大変ですよね。
できるだけ朝はゆっくりしたいと思うのが当然だと思いますが、小さなお子さんを育てているシングルマザーの方の朝は、まさに多忙を極めるのではないでしょうか。

少しでも朝の時間に余裕を持つことができれば、その分をお子さんとの時間に費やせたり、睡眠の時間を増やせたりすると思います。(これって結構大切なことだと思います)

「無資格可」の
介護職の求人を見る

シングルマザーが介護職として働くメリット3つ

次に、シングルマザーが介護職として働くメリットを掘り下げていきたいと思います。

① 正規雇用職員(正社員)として働ける可能性がある

介護職員初任者研修という資格が取得できていれば、正規雇用職員として雇用してくれる事業所も少なくありません。正社員として働けるということは、収入面から見ても非常に重要なポイントとなるのではないでしょうか。

② 子どもとの時間やライフワークバランスが取りやすい

前述の通り、日曜日に事業所がお休みのデイサービスでは当然従業員も日曜日がお休みです。
お子さんとの時間も取りやすく、場合によっては休日を取りたい日程を月に数日聞いてくれる事業所も多いので、土日の連休も取りやすくなっています。有給休暇と合わせて学校行事などへの出席もしやすい環境にあると思います。

③ 働きながら国家資格も取得でき、その後のキャリアが形成しやすい

これも大きなメリットの一つです。
介護福祉士は、
・養成校を卒業して国家資格の受験資格を取得するルート
・働きながら3年間の実務経験を積み、その間に実務者研修を修了することで介護福祉士国家資格の受験資格が得られるルート
の2つがあります。

実際に多くの方が、働きながら実務経験ルートで介護福祉士を受験し合格していますので、キャリアアップにはもってこいの環境です。
さらに、転居をした際や実家に戻った際にも、資格さえ持っていれば全国どこででも専門職として活躍ができます。
これまでのキャリアも十分に生かして働くことができます。

「無資格可」の
介護職の求人を見る

専門家・後藤さんのおすすめ就職先

いかがでしたか?
最後に一つ、アドバイスです。

私は、シングルマザーの方の就職先として、施設をたくさん運営している社会福祉法人をおすすめします。
なぜなら、施設をたくさん運営している社会福祉法人なら、転職せずにライフスタイルに合わせてスキルアップができるからです。

「施設をたくさん運営している社会福祉法人」がおすすめな理由

私が勤めているのも特養ですが、実際にお子さんが中学校へ上がったタイミングで、デイサービスから夜勤ができる特養に異動した方もいます。夜勤ができるようになり、収入が上がったと喜んでいました。
同じデイサービスで働いているシングルマザーの職員も、うらやましいとおっしゃっていました。

また、昼食の補助に関しても、シングルマザーの職員から「朝自分のお弁当を作らないで済むから昼食が提供されて助かる!!」といった声をよく耳にしていました。
大きな厨房があるからこそ、従業員へ昼食が提供できることはメリットですね。

社会福祉法人は福利厚生も充実していますし、住宅補助がある法人が多く、生活スタイルに合わせ事業所の選択もできると思います。
退職せずに一つの事業所で多様な働き方ができることは、ひとり親世帯に限らず、社会福祉法人の魅力の一つです。

今抱えている不安を解消し、できるだけイメージしやすいように、介護職として働く理由やメリットをお届けしました。
介護業界の事を知らないと、不安や抵抗感があるのは当然です。この記事を参考に、まずは一歩踏み出してみてくださいね!!

「介護職員」の求人を見る

介護の資格取得を目指して働く

他業種と比べてみても、介護現場には小さなお子さんがいるシングルマザーの方が多く在籍しているように思います。それは、介護現場がシングルマザーの方にとって働きやすい環境であるからなのではないかと思います。

シングルマザーが働きやすい理由

私が責任者をしていた時も、本当に多くのシングルマザーの方が従事してくれていました。働きやすい理由として、以下の2点があげられます。

・雇用形態が選べる
・勤務時間(形態)が選べる

雇用形態は正社員、契約社員、派遣社員、時間給アルバイトと、柔軟に働き方を選べます。
勤務形態は、早番・日勤・遅番・夜勤のような不変則勤務もありますが、事業所に申し出れば、お子さんの成長にあわせた働き方に変更することも可能です。

資格の要・不要に注意

ただし、希望する介護の事業者によって資格の有無が問われます。
例えば、訪問介護事業所に訪問介護員として従事する場合には、「介護職員初任者研修修了者」「介護福祉士実務者研修」の資格が必須ですが、訪問介護事業所以外の介護事業者については無資格で働くことができます。

【初任者研修】介護職員初任者研修とは?気になる資格を解説! | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/50

介護の入門資格と言われる、介護職員初任者研修について解説しています。

【実務者研修】介護福祉士実務者研修とは?気になる資格を解説! | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/51

介護福祉士の資格を取るためのステップのひとつである、介護福祉士実務者研修(実務者研修)について解説しています。

無資格で働いている期間が国家資格の介護福祉士の受験資格の要件になるので、働きながら自然に国家資格の取得を目指すこともできるのです。
さらに、介護福祉士として5年勤務した後は介護支援専門員の受験資格を得ることもできます。

継続して介護の仕事をしていると、キャリアアップできるチャンスが介護業界にはたくさんあります。また、介護業界は生活のライフラインとしてあらためて注目されてます。不景気にはめちゃくちゃ安定している業界とも言えますので、安定した生活を送れるところも、シングルマザーの方にはより良いかと思います。自分自身のキャリアアップを目指す方にもおすすめです。
是非、お待ちしております。

関連記事

【介護福祉士】介護福祉士とは?気になる資格を解説! | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/84

現場のリーダーと言われる、介護福祉士について解説しています。

【施設の選び方】施設形態毎のメリットとデメリットを比較しよう | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/19

転職のために介護の求人を見ていると、給料や勤務時間の他に施設形態も異なっていることに気づくと思います。本記事では施設形態別の特徴と、働く上でのメリットとデメリットを解説します。

この記事のライター

・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表
・アモールファティスクール⻑

介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員
介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤

理論と経験に基づく「優しく丁寧に美しい介護」を理念に実践的な介護技術研修/コミュニケーション研修及び介護離職防止の為一般企業様向けに「介護セミナー」を実施しています。

関連する投稿


住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームなどの介護施設では、夫婦での入居が認められています。長年連れ添った家族と同じ施設に入れることは安心感がある反面、施設に入居をしているにもかかわらず、老老介護になってしまうというリスクもあります。この記事では、夫婦で入居している方に介護職員ができるサポート方法を専門家が解説します!【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


【介護業界】実はそれ、労働基準法違反かも?!よくある事例を解説!

【介護業界】実はそれ、労働基準法違反かも?!よくある事例を解説!

「訪問ヘルパーの移動時間は業務外?」「アルバイトに有休はない?」実はそれ、労働基準法違反にあたるかも。この記事では、介護業界でよくある労働基準法違反の事例を専門家が解説します!働く人も事業主も知らなかったということがないようにすることで、働きやすい業界を目指しましょう。[執筆者/社労士:山本 武尊]


【スピードと質どっちが大事なの?】介護現場での仕事の効率と業務内容の質に関するお悩みに答えます!(専門家:後藤晴紀先生 回答)

【スピードと質どっちが大事なの?】介護現場での仕事の効率と業務内容の質に関するお悩みに答えます!(専門家:後藤晴紀先生 回答)

「仕事のできる人」この定義はなかなか難しいと思います。スピード重視で業務の質にはこだわらない環境に身を置く質問者。利用者に丁寧なサービスを提供したい!そんな想いがあり、立ち振る舞いや転職をするか否かなど多くの悩みを抱えています。そんな質問者のお悩みに専門家が回答します!(回答者:後藤 晴紀先生)


【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

介護事業者の倒産数が過去最多となったというニュース。超高齢社会の日本においてなぜ、倒産数が増えてしまったのでしょうか。 今後、事業所が生き残るために必要なことを専門家が解説します。 【解説者:後藤 晴紀/介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・潜水士】


サービス担当者会議の進行のコツは?スムーズな進行のためにすべきこと

サービス担当者会議の進行のコツは?スムーズな進行のためにすべきこと

サービス担当者会議で、話の長い人がいる、話が脱線してしまう等 進行に悩むケアマネさんからのお悩みに専門家が回答します!スムーズな進行のためにすべきことを確認してみましょう。【解説者/専門家:脇 健仁】


マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【こころとからだのしくみ】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【医療的ケア】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【総合問題】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

自立支援介護とは、介護が必要になった高齢者が、可能な限り自分の力で生活できるように支援する介護のことです。高齢化が進む日本において、デイサービスなどを提供する介護施設でも近年、自立支援介護は注目されています。この記事では、自立支援介護の4つの基本ケアや実際の取り組みについて専門家が解説します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

年末年始は、クリスマス会や忘年会などさまざまなイベントが行われる時期です。介護施設でもこれらのようなイベントを実施すると、利用者さんたちの活力を高めたり、親睦を深めたりする良い機会になります。この記事では、年末年始のイベントを企画するにあたって準備したいこと、当日取り入れられるレクリエーションなどを紹介します。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】