本日のお悩み
無資格・未経験、何もわからない状態で今月からデイサービス(派遣なので2ヶ月間だけ)で働き出した45歳です。
自分が介護に向いてるか、続けられるのか悩んでいます。もともと短気な性格でしたが、だいぶ落ち着きました。でも、まだ少し残ってます。
今日レクリエーションがあったのですが、言ってもわかってくださらない方がいて、言葉遣いなど良くなかったのかもしれません。その時は焦りとイライラしてました。先輩に言われたのが、私達は幼稚園の先生ではないのだから、利用者様に対して敬意を払った対応してと言われました。
頭ではわかってるつもりなのですが、言動に出てしまったのではないかと思います。それ以外にもわからない事が多く悩んでます。どうすればちゃんとした対応が出来るようになるのでしょうか?
相談者:あおい78 さん
イライラする気持ちの根っこには、自分が大切にしているものが隠れています
未経験の中、デイサービスでの勤務をしはじめられたばかりとのこと。
新しい環境に飛び込まれて、頑張ろうとされている中でのご質問、ありがとうございます。
慣れない職場や一緒に働く職員さん、また利用者さんとの出会いの中、ご自分の内面を見つめ直されようとされていること、とても素晴らしいことと思います。
■焦りやイライラの元になるものは
ご自身で「短気な性格でしたが落ち着いてきた」と受け止めていらっしゃいますが、きっと、ご自身の中で「こうしなければいけない」「こうすべきよね」と言った正義感や譲れないもの、大切にしているものが、ご質問者様は多いのではないでしょうか?
というのも、文中にあったレクリエーションの場面では、きっと大勢の方へ対応をされていたと思います。その中で、周りの利用者様はスムーズに動かれていたのに、ある方はそのようにしてくださらなかった。あくまで想像ですが「どうして同じようにしてくれないの?他の皆さんを待たせているのに、困ったな。早く同じように動いて欲しい!」・・・そんな感情になられたかもしれません。
時間が決まっており、たくさんの利用者さんの中での対応となると、焦りが生まれること、私も「完璧にまとまって、みんな笑顔でいて欲しい」と思うタイプなので、とてもよく分かります。
今あげた例はご質問者様の感情とは違うかもしれませんが、「焦りやイライラ」する感情が起こる時は、ご自身が「こうしなければいけない」と思っていることから、現状がそれた時ではないでしょうか?単純にその利用者様が憎いから、見下しているから口調がキツくなったわけではないと思います。
■根っこの感情を見てみましょう
怒りやイライラすると言った気持ちは、一瞬で湧き上がってくるように感じると思いますが、実はその気持ちのまず初めには、こう言った「こうしなければならない」と思っている「自分が大切にしていること」が隠れています。
ちゃんと時間内に終わらせたい(先輩ができているのに自分はできない落胆)とか
みんなでやると決まっている事なのだからちゃんとやりたい(のに出来ない悲しさ)など
これは一次感情といいますが、ご自分の根っこにある気持ちを感じると、こんな悲しみや寂しさ、分かって欲しいなどの気持ちが出てきます。
ですので、ご質問者様もこの時の気持ちを思い出してみてください。今感じているお悩みを解決する一歩目が「この時に感じていた感情を、客観的に見てみる」ことになります。
完璧にしたいという気持ち、期待をしていること、良かれと思ってやってるのにしてくれないなど「憤りを感じていたからイライラした気持ちが出てきたんだ」と見つけてあげて、それをそのまま認めてください。思ったこと・感じたことに、良いも悪いもないのです。
■解決方法 ①6秒待ってみる
自分の気持ちを受け止めた後、次にその先の「どう対応したら良いか」という部分へのご提案なのですが、「イラッとした時に6秒待つ」ことをまず試して頂きたいです。
怒りのピークは6秒と言われているので、深呼吸を一度したり、制服のポケットを触るなど、一呼吸おくための方法を自分なりに準備しておくのはとても有効です。その6秒を惜しんでも、そのまま感情を出して人間関係が悪くなるよりは、全然良いですよね。
■解決方法 ②否定しない
そして、その上で、介護の現場という状況を踏まえてお伝えしたいのですが、ご利用者様の多くが認知症を持っていたり、耳が遠い・言葉を話す神経が上手く機能できなくなってしまった等、コミュニケーションが上手く出来にくくなっている方が多くいらっしゃいます。
特に認知症の方は否定したり、怒ったりするような感情をぶつけてしまうと、その嫌な感情だけはずっと忘れずに残ってしまう、ということがあります。
自分がしてしまったことは忘れてしまうのに、嫌な気持ちだけがずっと残り、認知症の周辺症状が余計に悪化してしまうのです。そんな状態では、気持ちよく生活はできない上に、介護を拒否されてしまうようなことにつながるのです。
なので、ご質問者様の仕事をもっと嬉しく楽しいものにする近道は、怒ったり責めたりするような表現をしないことになります。
人は誰でも、「褒められると嬉しい」「認めてもらいたい」そんな気持ちがあります。そこを満たしてくれる相手には、信頼を持ち、相手を困らせるような態度は取らずに、もっと褒めてもらおうという感情になります。認知症の方であっても、家族や友達であっても同じですね。
褒めるのは難しくとも、「否定するような言葉は言わない」これだけでも、相手を敬う言動につながるのかと思います。
■最後に
ぜひ、スムーズでお互いが気持ち良い関係が築けるように、毎日のケアの中で
①イラッとしたら6秒待つ(そして落ち着いたらなんでイラッとしたか根っこの感情を探る)
②否定しない
これだけはトライしてみて下さい。
知らない業界の中での毎日、大変かと思いますが、応援しています!
社会福祉士、介護福祉士、認定排泄ケア専門員、排泄機能指導士