介護職の転職・入職時期はいつが最適?良いタイミングを理解しよう

介護職の転職を考えるときに、気になることが転職する時期や入職する時期です。そこで今回は、介護職の転職しやすい時期や入職のタイミングはいつが良いのか、詳しく解説します。
介護職に就いている人が転職を考えるタイミングとは
介護職で転職・入職時期を考える前に、まずは、介護職に就いている人がどんな時に転職を考えるのかを見ていきましょう。
公益財団法人介護労働安定センターが発表した2018年度「介護労働の現状について」によると、介護の仕事を辞めた理由の2位は「結婚・妊娠・出産・育児のため」となっています。介護の現場では、土日祝日関係なく24時間体制で介護を行う施設や事業所が多くあります。特に入所施設では、早出・日勤・遅出・夜勤のようなシフト制が組まれることが多いでしょう。日中の介護支援を行う通所サービスでも、夜勤はないものの土日祝日は勤務というところがほとんどです。
また、介護の現場は女性が多く活躍する職場でもあることから、「家庭と仕事のバランスがとれなくなった」と、結婚や妊娠・出産、育児を機に介護職から離れる人や転職する人も後を絶ちません。このように、介護職に就いている人は、ライフスタイルの変化を理由に離職するケースが多いことがわかります。
さらに、資格取得を機に転職を考える人も少なくありません。介護職の人が取得する資格には、介護福祉士やケアマネジャーがあります。特に、ケアマネジャーの資格を取得した人は、居宅介護支援事業所や施設ケアマネジャーとして転職する例が多いでしょう。また、介護の現場での経験を重ねるうちに医療職に興味を持ち、看護師やリハビリ職の資格取得を目指し離職する人もいます。
介護人材の不足から年間通じて転職可能
では、転職する時期として、いつが最適なのでしょうか。介護業界は、介護人材の不足のため、年間通じて求人が多く出ている状態です。日本の高齢化は今後も進むことから、介護を必要とする人もますます増えていきます。
厚生労働省の介護従事者処遇状況調査によると、2020年には26万人、2025年には55万人の介護人材が不足すると言われています。また、公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」によると、介護サービスに従事する従業員の不足感は、5年連続上昇しています。つまり、介護職での転職は、時期を選ばず転職できると言えます。
それでは、次に転職するタイミングを見ていきましょう。
不安な方は4月に介護施設へ転職するのは避ける
介護職も4月は新卒者の入職時期でもあるため、介護職経験者の場合は入職後すぐに職員から「これくらいはすぐにできるだろう」と期待される可能性があります。また、新卒者と比べられることも多く、「経験者なのにこれくらいもできないのか」と厳しい対応をされることになるかもしれません。
施設が変わり、以前の介護の方法を知っているからこそストレスを感じる人もいるでしょう。職場ごとに介護へのかかわり方や考え方、介護方法など全く異なるということも少なくありません。そのため、介護職経験者なら4月以外の月に転職するほうが職場に馴染みやすくなるかもしれません。
仕事に馴染めることを優先するなら1月転職
それでは、介護職での転職で、スムーズに仕事に馴染めるのはいつのタイミングが良いのでしょうか。介護職への転職は、受け容れ側に余裕のある時期が比較的おすすめできます。
1月に入職すると、施設側は「新人採用時期ではないので指導者に余裕がある」、転職者は「慣れた頃に新年度を迎えられる」の2つ理由から余裕をもって仕事にも職場環境にも慣れていくことができます。それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
■指導者に余裕がある
1月は、新年度の終盤でもあるため、4月に入職した職員がある程度育っている時期となります。そのため、指導する職員にも余裕があると考えられます。
また、4月入職に比べると同時期に入職する人も少ないことから、指導者も新たに入職した職員一人ひとりに丁寧な指導を行うことができる可能性が高くなります。何かと不安の多い入職初期には、丁寧に指導してもらえると安心して仕事に取り組めることから、1月入職は転職者にとって良い時期といえるでしょう。
■慣れた頃に新年度を迎えられる
一般的に、転職者が仕事に慣れるまでには3ヵ月かかると言われています。特に、介護職経験者の場合には、基本的な介護の知識や技術を持っているため、3ヵ月もすればある程度働ける状態になっていることも少なくありません。
1月に入職すると、仕事に慣れた頃に新年度を迎えることができます。新卒採用を行なっている法人の場合、年度の始まりである4月には新入職員も増えることもあり、どのような施設や事業所でもあわただしくなる傾向があります。新入職員の少ない時期に基本的な仕事を覚えておけば、忙しくなる時期も余裕をもって仕事に取り組むことができる可能性が高いでしょう。
夏は入職時期にオススメ
夏は、4月入職の新入職員も少しずつ仕事に慣れてくる時期でもあります。4月入職に比べると、指導者にも余裕があります。また、職場全体のあわただしさは落ち着いていることが多いでしょう。
しかし、新人指導は1年を目処に計画している施設・事業所も多く、1月入職ほど指導者に余裕があるとは言い難い状況です。退職者には、ボーナス支給後に退職する方がいることから、夏の場合は、退職する人が出た後の9月よりは8月に入職しておいた方が先輩職員からの指導も受けやすい環境にあると言えるでしょう。
早めに情報収拾や準備をしておこう
介護業界は、年間通じて多くの求人がありますが、より多くの情報にふれることで、自分にあった求人に出会えます。早めに準備を進めることで、自分にとって良い条件の求人が出た際に、迅速に行動できることから、情報収拾や転職の準備は早めに進めていきましょう。
コラム:介護職の転職時期、ベストなのはいつ?施設側の視点で答えます!
執筆者

ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役 株式会社ゆりかご 代表取締役 茨城県訪問介護協議会 副会長 茨城県難病連絡協議会 委員 水戸在宅ケアネットワーク 世話人 介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員
■施設側から見た、転職にベストな時期とは?
事業所により、様々な背景があると思いますので、一概には言いづらい点がございます。回答者は小規模~中規模事業所の立場としてお答えいたします。
4月、6月~7月、2月がベスト!
介護人材不足は、多くの事業所の共通課題として挙がっていると思います。
人材が不足しているところは一日でも早く、転職を希望している皆さまと出会いたいと思っているので、いつでも良いと考えます。その上であえて挙げるとすると4月、6月~7月、2月が良いでしょう。
4月に転職すべき理由
4月は新卒者採用や異動などで、多くの事業所の体制が変化する時期です。
受け入れる職員も「これから一緒に働いてもらえるように一生懸命育てるぞ!」という気概を持って、新人教育担当者なども対応してくれます。新年度教育計画等に基づいてカリキュラムを実施すると思いますので、非常に受け入れしやすいためです。
6月は、職員が環境の変化に慣れはじめる時期
6月は、4月に入職したかたの教育対応や異動などによる職場変化に、職員たちが慣れはじめるときです。
慣れないうちは、アクシデントやインシデントを起こさないように、細心の注意を払いながら業務を遂行しています。そのタイミングで入職者を受け入れるとなると、職員の負担感が強くなることが予想されます。
また、6月に新人を受け入れた場合、4月に入職した人とは指導内容のタイムラグが発生するため、こちらも職員の負担感につながることが考えられます。
そういう意味では、6月はちょっと落ち着いた時期なので、受け入れやすいかもしれません。
管理者の立場でも、6~7月の受け入れは良い判断材料に
また、管理者の立場にある職員は、介護職員の給与を少しでも高くするために介護職員処遇改善加算の算定をしている事業所が多いと思いますが、その報告時期が6月~7月くらいです。
報告書類作成時には、改めて前年度の処遇改善内容を見直す機会となりますが、そのタイミングでの入職は、来年度の方針を考えたりする上で、とても良い判断材料になるでしょう。
介護職経験がある場合、2月の入職も歓迎される
2月は、年末年始休暇などの取得などで職員が手薄になりやすい時期が落ち着きます。
3月に入職した場合、年度末や決算(これは会社によりますが)時期なども重なると、慌ただしくなりがちです。
ただ、2月を検討される方は、ある程度職務経験がある方が望ましいと考えます。
新年度の体制に向けての即戦力として期待できる人材として受け入れる時期でもありますので、全くの未経験の方であれば、2月ではなく4月の方が、受け入れやすい傾向があると考えます。
以上が理由ではありますが、冒頭に述べた通り、一日でも早くみなさまと出会いたいというのが多くの事業所の本音だと思います。あまり気になさらずに、ご自身のタイミングを一番大切にして臨むことをおすすめいたします。
ささえるラボ編集部です。
福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします!
「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。