■本日のお悩み
5年やった介護職を辞めたのですが、介護職に戻るか違う職種にするかを悩んでいます。
とくにほかにやりたいことがあるわけではなく、介護のテキストやYouTubeの動画を見るとどこか没頭している感覚はあるので、介護の仕事に戻りたい気持ちがあるんだろうとは思っています。
ですが、前の職場では人間関係がうまくいかず逃げるようにやめてしまい、迷惑をかけてしまいました。
同じ繰り返しにならないかと心配になってしまいます。こんな私が介護の現場に戻ってもいいのでしょうか?
「自己覚知」の確認と「働きたい環境」の確認をしてみましょう。
■執筆者/専門家
・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表 ・アモールファティスクール⻑ 介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員 介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤ 理論と経験に基づく「優しく丁寧に美しい介護」を理念に実践的な介護技術研修/コミュニケーション研修及び介護離職防止の為一般企業様向けに「介護セミナー」を実施しています。
■一番の課題は離職の原因となった「職場内での人間関係」にどのように向き合うのかという点ではないでしょうか
ご相談いただきありがとうございます。
ご相談者さんは、5年間同じ介護現場で従事されていらっしゃったのですね。
そして、退職されても介護のテキストを読んだりYouTubeの動画を見たりされているというのは、ご自分でもお気づきのように、介護の仕事については非常に今も関心が高く、離れている今でさえ、向上心をお持ちなのだとお見受けします。素晴らしいですね。
仕事が嫌で退職された場合、関心を持つどころか、介護に嫌気がさして遠ざかってしまう方も少なくありません。相談者さんは介護の仕事自体は好きで、やり甲斐やご自身の適性に関してもよく理解されているのではないかと思われます。
ただ、離職した理由となったトラブルが繰り返されてしまうのではないかと、ご不安を感じて復職するのを躊躇われているのだと思います。
介護の業務がご自分に適しているかどうかのすり合わせも大切かと思いますが、一番の課題は離職の原因となった「職場内での人間関係」にどのように向き合うのかの見直しなのではと考えます。
人間関係を良好にするには、まずは「自分を知ること」
譲れるもの、譲れないものがそれぞれあって、理解したり理解できなかったりして、心が満足したり疲弊したりします。
介護職では、新卒からずっと同じ現場で従事されている方は他の企業に比べると少なく、在宅系であっても施設系であっても、以前は全く違う職種だった方が多いのではないでしょうか。
つまり、それぞれの前職の価値観を身に纏って介護業界に入って来られる方が多いということです。
これは介護職員の離職率の高さの一因になっているとも考えられます。
他者を知る前に「自分は何者なのか?」を問い整理することで、まずは「自分を知ること」からはじめてみてください。
介護の研修等で「自己覚知」のワークなどをされたご経験があるかもしれませんが、折角なので、ここで現在の自己覚知と向き合ってみることをおすすめします。
■自己覚知を利用することで、復帰するかしないかを考えてみましょう
人はどのような方であっても、生きている間に受けた様々な影響から今現在の自分を形成しています。そのため、極端な話、一年前の自分と今の自分も違えば、昨日の自分と今日の自分も違うのです。
ご相談者さんは「人間関係に悩み介護現場から離れたけれど、介護の仕事に関しては向上心を持っている」これが事実です。
人間関係が職員間なのか、ご利用者なのか、ご家族なのかは分かりませんが、「自分は介護の仕事は好きだけれど、介護職に戻るのが不安」と感じてしまう原因を整理してみましょう。
原因を整理することで、ご相談者さんが、介護職として復職するためには何が一番必要か、自ずとわかってくるのではないでしょうか。
介護の仕事としての業務が嫌い、苦手、やりたくないというならば、おすすめはしません。
ですが、ご相談者さんのような介護の仕事には関心があるというような方には一刻も早く介護現場に戻ってきていただきたいと切に願います。
そこで一番お伝えしたいのは、自分にとっての良い労働環境はどのような環境の施設なのか?どのような現場なのか?を自分自身で確認していただきたいということです。
■次に、介護現場で働く自分にとっての譲れない条件の優先順位をつけてみましょう
前述の通り、自分にとって良い労働環境を具体的にしたあとは優先順位をつけることで、選択がしやすくなります。
働くのは自分で他者ではないので、自分がどのような施設で、どのような環境のもとで働きたいのかを言語化することで、漠然としたイメージをより明確にでき、自分に合うかどうかを擦り合わせることがうまくできるようになるでしょう。その際に優先順位も大切な軸となります。
今回の離職原因となったトラブルを回避するためには、「離職率」の低い職場を選ぶようにするといいかもしれません。この離職率については、事前に調べてから応募するのが必須です。事前にわからなければ、面談時に確認してください。
離職率が高いのは「何かしらのトラブルを改善ができない職場」と判断できる可能性がありますし、自分が入職しても同じケースになる確率が高いとも考えられるでしょう。 また、人間関係や仕事の進め方という意味では、大きな施設が良いのか、小さくアットホームな環境が良いのかなども、得られるメリットが異なりますので、考えてみてください。
どの施設も、喉から手が出るほどご相談者さんのような経験者の方が欲しいのは間違いないと思います。介護現場は沢山あるのですから、自信を持ってくださいね。
■さいごに 人間関係の悩みは介護業界だけではありません
そういう意味では、ご相談者さんだけが、このような状況になったわけではありませんので、自信を失わずにいて欲しいと思います。
ご相談者さんが「逃げるように辞めてしまった」「迷惑をかけてしまった」というお言葉から、とても責任感があって優しい方だとお見受けします。
そのようなご相談者さんだからこそ、介護従事者として是非、ご自分の力を発揮できる環境の現場に巡り合えるまでしっかりご自身に合う職場を探して、納得できる現場で新たなスタートをして欲しいと思います。
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・(有)⽻吹デザイン事務所介護事業部アモールファティ代表
・アモールファティスクール⻑
介護福祉⼠/介護⽀援専⾨員/介護技術指導員/⽇本語教員/社会科教員
介護職員実務者教員/社会福祉主事任⽤
理論と経験に基づく「優しく丁寧に美しい介護」を理念に実践的な介護技術研修/コミュニケーション研修及び介護離職防止の為一般企業様向けに「介護セミナー」を実施しています。