退職交渉を上手く切り抜けるには?法律や就業規則を確認しよう
新たな職場でのチャレンジを控えている中、在籍している事業所への退職交渉は、精神的にも大きな負担ですよね。
そんな負担を少しでも軽くできるようにお伝えいたします。
退職のための基礎知識はこの記事をチェック!
【退職準備】円満退職するために 内定をもらう前から準備しよう | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/25退職には一定のルールがあります。円満退職に向けて、これまでお世話になった職場に感謝の気持ちを示しながら、誠意をもって進めていきましょう。転職後も元同僚との人間関係を良好に維持しておくことは自分の将来に役立ちます。(コラム:大庭欣二)
まずは退職についての関係法令を確認しよう
退職について定めている法律は、民法627条です。
また、それぞれの事業所の実情を踏まえた退職については、法人ごとの就業規則に定められています。
先に記述しておきますが、『民法』と『就業規則』では、『民法』の方が優先されます。
民法627条(e-Govポータルに遷移します)
■民法における退職
無期雇用(正職員など)の場合
無期雇用(期間の定めのない労働契約。有期雇用契約のように期間満了による契約の終了や契約の更新はなく、原則、就業規則等で定められている定年まで働き続ける雇用形態。例:正規雇用職員)についての退職の定義
① いつでも労働契約解除の申し入れができる
② 契約解除は申し入れをした日から2週間に終了する
このような定義があります。
つまり、簡単に言えば、正職員は2週間前に事業所の管理監督者(施設長等)に退職の申し入れを行えば、退職できるという事です。
有期雇用(パート、アルバイトなど)の場合
有期雇用(期間の定めのある労働契約。例:パート、アルバイト、契約社員、派遣社員等)
① 基本的には契約期間内は契約を解除することはできない。
② やむを得ない事情がある場合は契約を解除できる。
③ 労働基準法附則137条 契約日から1年経過後は、いつでも自由に退職できる。
■就業規則における退職
誰かが退職するということは、そこで働く既存の従業員や事業所にとって、ポジティブな話題ではないのは明白です。
不安が不安を呼び、次の退職者が出てしまうという負の連鎖にも発展しかねません。
そこで事業所は、就業規則という法人独自のルールを定めて、退職者が出たとしても、その代わりの人材を集めるための求人採用に関わる猶予期間や入職者への育成、代わりの職員への引継ぎの期間を定めておく必要があります。
そんな猶予期間として定められているのが、就業規則に定められた退職の申し出期間という事です。
退職交渉を上手に切り抜けるためのコツ
■就業規則に基づいた期間の前に申し出るのがベスト
会社にとって一番の困るのは、職員に急に辞められることです。
民法に定める通り、皆が2週間で退職したらその事業所はどうなるでしょうか?
特に私たち介護職は、『人』にサービスを提供する仕事です。
一番困ってしまうのは、言うまでもなく安定的なサービス提供を受けられなくなる可能性がある利用者さんや入居者さんですね。
従業員にとっても不安や不満の種にしかなりません。
このようなことを防ぐため、余裕を持った退職の申し出をしていただきたいと思います。
転職先が決まっている場合は、先方の事業所にもその旨を伝えたうえで、新たな入職日を決めましょう。
そのためにも、就業規則にある、退職の申し出期間は確認されておきましょう。
■事業所のことも考慮して退職を伝えましょう
また、退職の申し出をした場合、事業所との関係が悪化してしまう場合も少なくありません。
ですが、その多くは、それ以前に事業所側との関係が崩れてしまっている場合が多いように感じています。
そうでなければ、やむを得ない事情がない限り退職という選択肢には結びつかないですからね。労使関係のある者同士の日頃の関係構築が、いかに双方にとってとて重要なのかということが露呈する瞬間でもあるような気がします。
ご自身の事だけではなく、事業所の事も考えたうえで、事業所にも準備をする期間として就業規則に定めた期間に退職の申し出をされると、退職交渉が円滑に進むかと思います。
上司の引き留めにあってやめられない…どのように説得すればいい?
■毅然とした態度で丁寧に断るのが鉄則
上司の方も、「あわよくば退職自体を撤回してくれるんじゃないか…」と、淡い期待を持って引き留めているのかもしれません。
ただし、その期待を持たせてしまったのは、退職予定者さんご自身かもしれませんよ!?
退職予定者の『仲間に迷惑はかけたくない』というやさしさに甘えているだけかもしれませんし、毅然とした態度で、丁寧にお断りする。ここがポイントです。
■退職は労働者の権利。周囲に配慮した退職を!
退職は労働者の権利です。
事業所側が退職を撤回したり、強制的に働かせようとする働きかけをしてきた場合、違法となる可能性があります。
退職はお願いではなく、退職者の事業所に対しての『NO!』という権利を行使する意思表示となりますので、覚えておいてくださいね。
ただし、私も求人採用担当をしていますが、人材が不足している中、本当に一人の採用者に出会うまで大変な労力と時間を要します。。。
義務と権利、責任の中で双方が納得する形での退職を考えていきましょう!
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・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士