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利用者さんから嫌われる介護職員の特徴とは?よくある介護拒否とその対処法を解説

利用者さんから嫌われる介護職員の特徴とは?よくある介護拒否とその対処法を解説

[2024年11月更新]利用者さんに嫌われる介護職員の特徴とは?利用者さんに嫌われることは、介護拒否やハラスメントなどさまざまなトラブルの要因となります。嫌われる職員にならないために、好かれている職員の特徴や介護拒否に対する対処方法を専門家が解説します!【執筆者/専門家:後藤 晴紀 古畑 佑奈】


目次

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本日の悩み:利用者から嫌われる辛さと向き合い方について

利用者さんのことで悩んでいます。
ある利用者さんに初対面のときから嫌われています。
「あんたの顔、嫌い!」などと悪口を直接言われます。
一方で、たまに「ありがとうね」と優しい眼差しで話してくださることもあります…。

認知症の利用者さんのため気分に波があるのです。しかし、認知症のせいだけでおさめてしまうのは、私自身に非がある場合、誤った方向に正当化してしまっていることになります。

夜間は1名体制で介護を行うことがほとんどなので、叩かれたりきつい言葉を言われても、対応しないといけません。叩かれたりするのはまだ平気なのですが、介護自体を拒否されるのが辛いです。

また、他のスタッフには暴言や介護拒否などがなく、いつも笑顔で話しています。 拒否されるときは大きな声を出されるので、その場にいる他の利用者さんや職員さんなどみんなが見ています。 他のスタッフはそれを見て「もう~そんなこと言わないの」と言って対応を代わってくれますが、そのときはとても辛いです。

ただ単に自分自身のプライドが高いだけなのでしょうか。解決方法があれば教えてください。

利用者さんから嫌われる介護職員の特徴とは?

執筆者/専門家

後藤 晴紀

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/9

・けあぷろかれっじ 代表 ・NPO法人JINZEM 監事 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士 『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。

介護現場で仕事をしていると、「○○さんにはしてほしくない」とか、「○○さんがいい」なんて、利用者さんから良くも悪くも指名を受ける職員さんがいらっしゃいますね。

私の施設でも、実際に利用者さんからそのような声が聞こえてきたことがあります。
利用者さんからお話を伺ったり、職員本人から理由を聞いたり、普段の働いている姿を見ていると、利用者さんから「好き嫌い」を決められてしまう職員の特徴が見えてきます。

今回は、利用者さんから嫌われてしまう職員、好かれる職員の特徴をお届けします。

まとめ:利用者さんから嫌われる介護職員の特徴3つ

まずは、嫌われてしまう職員さんの特徴を確認したあと、解決策として好かれる職員さんの特徴を確認していきましょう。

嫌われてしまう職員さんの特徴は、以下の通りです。

1.無表情(怖い印象を受ける)
2.早歩きで話を聞いてくれない(忙しそうで声をかけづらいなと利用者さんが感じる)
3.言葉がきつい(そもそも接遇としてダメ)

■1.無表情(怖い印象を受ける)

話すときの表情は、相手の印象を決める重要なポイントです。

たとえば、「こんにちは」と挨拶をした際に、同じ挨拶でも笑顔か、無表情かで、それ以降の話しかけやすさが変わってきます。困ったときに頼りやすいのは笑顔の職員さんですよね。

もちろん、状況に応じて表情を使い分ける必要はありますが、利用者さんが話しかけやすいと思ってもらえるように意識することは大切でしょう。

■2.早歩きで話を聞いてくれない(忙しそうで声をかけづらいなと利用者さんが感じる)

お店に行ったときや、ご自身が上長に話しかけるときをイメージしてみてください。常に忙しそうな様子を出している店員さんや上長には、聞きたいことや相談したいことがあっても声をかけづらいですよね。

利用者さんも同じ気持ちです。介護現場は忙しい時間が多く、利用者さんの対応とその他の業務との両立に悩まれる職員さんも多いと思います。しかし、利用者さんが話しかけづらいと感じ、心を閉ざしてしまっては元も子もありません。

忙しいなかでも、ながら作業はやめる(利用者さんと話しながら別の業務を進行するなど)、常に笑顔でいることだけは心がけるなどを意識的に行うようにしましょう。

■3.言葉がきつい(そもそも接遇としてダメ)

そもそも接遇としてふさわしくないのですが、言葉がきつい職員さんは、利用者さんにとっても声がかけづらく、心を開くことができない相手となってしまいます。

特に、施設に入ることや認知症の診断を受けたことで自尊心を失っていたり、不安感を感じていたりする利用者さんにとって、そのような対応は、より心の傷を深めてしまいます。言葉のきつさだけでなく、声質(声の高さや抑揚)なども意識するようにしましょう。

まずは自分の行動を振り返ってみましょう

上記の項目に1つでも当てはまる方は黄色信号です。
そして3に関しては赤信号です。

職員本人も気づいていない場合があるので、周囲の方が伝えて気づくようにサポートしあったり、ご自身の言動を今一度振り返ってみたりし、利用者さんだけに原因を押し付けることのないようにしましょう。

「自分は大丈夫」その思い込みも黄色信号です。

なぜ、この特徴のある介護職員は嫌われてしまうのか?

ではなぜこのような職員は嫌われてしまうのでしょうか?

まずは「接遇」という面から見て、問題ありです。忙しい・人手が少ない・次の業務がある…
だからこそ丁寧に接するんです。利用者さんはあなたの一挙手一投足をよく見ています。

もっとわかりやすくイメージできるようにお伝えします。ご自身のパートナーや友人、家族がいつもこのような態度をとっていたら、あなたはどう感じますか?それを想像したときに起こる感情が、利用者さんの気持ちなんだと思います。

自分のことを客観視してみる姿勢が持てるとよいですね。

利用者さんから好かれる介護職員の特徴とは?

まとめ:利用者さんから好かれる介護職員の特徴4つ

次に、利用者さんに好かれる職員さんの特徴を見てみましょう。

1.笑顔でハキハキ対応する
2.利用者さんの話をよく聞く(傾聴力)
3.利用者さんから言われたことに迅速に対応する
4.職員さん側から利用者さんに興味をもつ

■1.笑顔でハキハキ対応する

嫌われる職員さんの特徴でも先述しましたが、話すときに笑顔でハキハキと対応してくれる職員さんは、好感度が高いです。
困ったときにも助けてくれそうという安心感や信頼を抱くため、利用者さんにとって身近で頼れる職員さんになれるでしょう。

■2.利用者さんの話をよく聞く(傾聴力)

利用者さんの話をしっかり聞く傾聴力も大切です。
ただ、聞くだけではなく、オープンクエスチョンやクローズドクエスチョンを用いて、相手の伝えたいことや、潜在的に持っているニーズ・願望を引き出せるような会話ができると、より効果的でしょう。

認知症の方は、現実では起こり得ないことや、事実と反するお話しをされる場合もありますが、その場合も内容を肯定する必要はありませんが、受け止める姿勢(需要)は持つよう心がけましょう。

■3.利用者さんから言われたことに迅速に対応する

利用者さんへの対応力も大切です。
利用者さんから何かを依頼された際に、実行が遅い、約束不履行があるとなると利用者さんからの信頼度は下がっていきます。

忙しいなかでも、利用者さんからの依頼にはできる限り迅速に対応しましょう。どうしても対応が難しい場合は、他のスタッフに相談をしたり、利用者さんにその旨を伝えて約束の時間を決めたりするなどの工夫をしましょう。

■4.職員さん側から利用者さんに興味をもつ

利用者さんから話しかけてもらうことや、何かをお願いされることだけを受け身で待っていては、関係性は深まりません。

職員さん側からも、「体調はいかがですか?」のように、利用者さんに質問を投げかけるとよいでしょう。ただし、あまりに一方的な質問になってしまうと逆効果ですので、利用者さんの様子を気に掛ける質問や、利用者さんの好きなことに関連する質問などを選びましょう。

利用者さんから評判の良い職員さんを観察してみたら…

「あの子はいつも元気。こっちまで明るい気持ちになっちゃう。」
「いつもよく声をかけてくれて、名前はわからないけど、いい子ですよね。」
私の施設でも、利用者さんからいつもそう言ってもらえる職員がいます。

実際にその職員の現場での様子を見てみると、動きや流れは、他の職員と大きく違いはありません。 ではなぜ、利用者さんからの信頼が厚いのでしょうか?

普段の何気ない関わり方から、このスタッフが好きと言われる理由が見えてきました。

ー利用者さんから好かれる職員の、実際の対応

利用者さんの入浴の準備を行っていた際に、他の利用者さんからコールがあった際の対応を紹介します。

職員:『今○○さんから呼ばれたので、一度行ってきますね!!終わったらまた戻ってくるので、どちらのシャツにするか選んで待っていただけますか!』
とその場を離れると、コールを押された方の居室へ行き、
職員:『お待たせしました!遅くなってごめんなさい!どうされました??』
と笑顔で対応していました。その方の対応を済ませて、元の利用者さんの居室に戻ると、
職員『お待たせしました!途中で抜けてしまってごめんなさい!どちらのシャツに決めましたか??』
利用者:『こっちにするよ。』
職員:『やっぱり、○○さんのお気に入りですからね!』
利用者:『よくわかったね』
職員:『もちろん』
利用者:『あんたにゃかなわんね』
職員:『ありがとうございます!また来ますね!』
と笑顔で談笑を交えながら、またいつもの対応に戻っていきました。

ー「接遇」を理解した対応をしているか?

当たり前のことのように思えるかもしれませんが、私はこれを「接遇」を理解した模範的な対応だと感じます。

衣類準備という目的を達成するだけではなく、その対応の中には「笑顔」「説明と同意」「謝罪」「感謝」これらの想いを言葉と態度という形で相手に届けられている
からこそ、このスタッフはご利用者さんから厚い信頼を得ているのです。

普段の業務ではどうしても慌ただしくなってしまうこともありますが、この「意識」があるかないかで、利用者さんとの大切な時間が少し晴れやかになるのだと感じています。

また、利用者さんへ一方的に話をするのではなく、相槌を打ち、質問をしながら利用者さんの話を伺う姿勢が、利用者さんにとって大切な時間になっているのだと思います。

ースキマ時間に、自分から声掛けを!

忙しくてそんな時間はない!と言いたくなるかもしれませんが、業務の合間の5分、入浴時間、廊下でのすれ違いのお声掛け等、実は短時間でも利用者さんと関われる時間はあるのです。

この時間を見つけられるか見つけられないかが、大きな差になってきます。

利用者さんから声をかけていただくのを待つのではなく、まずは「こちらから声をかける」 まずはここから始めてみてください!

専門家・後藤さんの経験:先輩からのアドバイス

ここからは少し余談になりますが、私がまだ新人だったころ、夜勤中に先輩からこんなことを教えられました。

「夜勤中に利用者さんが不眠になってしまうのは、職員の理由もあるんだよ。特に嫌いな職員が夜勤だと、不安で眠れなくなるんじゃないかな。夜は特に丁寧に対応しなきゃダメだよ。」

今でこそ、睡眠障害や、環境の変化など多くの要因で夜眠れないということはわかっていますし、大晦日等、一晩ぐらいなら無理に眠る必要もないと思っています。しかし、この言葉は今でも私の教訓として覚えています。

この先輩の言葉から少しずつ、普段からの関係性、夜勤時の対応など、その場面で最適な対応を考えるようになりました。 その中心にあったのは、「どうしたら利用者さんの不安を軽くできるのか?」という思考です。 不安の軽減ということを軸に、時には1時間以上もお話を聞いたり、ご本人が眠りにつくまで背中をさすり、静かな声で「大丈夫ですよ、側にいますから大丈夫です。」と声をかけ続けたりしていました。

その対応を申し送り、同じ対応が他のスタッフもできるようになっていくと、夜はしっかり眠れるようになることが増えていくんです。

ー自分なりに、利用者さんの気持ちになって考えてみましょう

利用者さんの気持ちをどうやって想像するか?
不安をどのように軽減できるのか?
それをチームにどのように伝えていくのか?

自分なりに考えていけば、それぞれの方法が見つけられると思います。
利用者さんとしっかりと向き合い、答えを探していきましょう!!

ー認知症でも、情動や感情の機能は保たれていることを忘れずに

最後に、認知症により海馬(記憶)の機能が低下しても、扁桃体(情動や感情)の機能は保たれているばかりか、より過敏になっていると言われています。

その感情を不快なものにするのか、快なものにするのかは、一人ひとりの介護職員の力次第です。 名前はわからなくても、顔を見て「この人好き、この人嫌い」というのは、ばっちり判断されています。不眠の方がいらっしゃるという夜勤のくだりは、実はここが関係しているんじゃないかと今でも思っています。

ご質問ありがとうございました!!

利用者さんとの円滑な関係構築がもたらすメリット

ここまでは、後藤先生に「利用者さんから嫌われてしまう職員さんと好かれる職員さん」の特徴の違いを解説してきました。

もちろん多くの方は、好かれるに越したことはないとご理解いただけたと思いますが、利用者さんとの関係性はあくまで仕事と割り切っちゃえばいいと考えている方も、少なからずいらっしゃるのではないかと思います。

ここからは、利用者さんと円滑な関係構築をおこなうメリットについて解説します。

1.利用者さんが協力的になり、業務がスムーズになる

利用者さんと良好な関係を築くというのは、利用者さんも職員さんも信頼しあえている状態です。入浴介助や排泄介助をはじめとする、センシティブなケアが介護には伴います。

その際に、職員さんが信頼できない相手となると、利用者さんも介護を拒否するなど非協力的な態度をとります。介護の拒否が続くと、利用者さんにとって生活の質の低下に繋がってしまいます。

利用者さんも職員さんも、気持ちがよい介護を行うためには、信頼関係を作ることが大切です。

2.ストレスが軽減する

利用者さんとの関係が円滑に進むことで、暴言や暴力といったハラスメントや、ご家族からのクレームの件数も減るでしょう。

利用者さんも、職員さんもストレスなく介護をおこなえる環境は、よりよいサービスの提供に繋がります。

利用者さんとの関係性は、割り切ってもあきらめない。2つの方法を試してみてはどうでしょうか。

ここまでで、嫌われやすい介護職員の特徴や、良い関係性を築くメリットについて解説してきました。 後半では、実際の介護現場にも携わる古畑先生に、関係性構築に向けたポイントを解説いただきます。

執筆者/専門家

古畑 佑奈

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員 特別養護ホーム生活相談員、訪問介護事業、地域包括支援センターにて介護支援専門員の経験あり。 現在は、デイサービス管理者として勤務。 地域でのネットワーク活動では事務局として「死について語る会」や「3大宗教シンポジウム」など幅広いテーマの勉強会やイベントを企画・運営の経験がある。 すきな食べ物はラーメン。

ご質問を拝見し、「利用者さんに嫌われてしまった」という自身の気持ちとうまく向き合おうとしている質問者さんは、とても強い方だなと感じました。

「ぐさっ」と胸に刺さる言葉を、利用者さんから直接言われると、とても辛いですよね…。
私自身も経験がありますが、その瞬間、ショックで頭がガーンと殴られた感覚を受けました。
普段、いろんな感情をぐっとこらえながらお仕事されているのだと思います。
本当にお疲れさまです。(温かい飲み物を差し入れしたい気持ちです)

ご自身を責める必要はないので、安心してください。
辛い気持ちにどう対処していくか、少し考えてみましょう。

利用者さんに対して、苦手意識が伝わってしまっているのかも?

まず、大前提としてお伝えしておきたいのですが、認知症の方であってもなくても、信頼関係の構築にはコミュニケーションが欠かせません。

認知症の方とのコミュニケーションにはいくつかコツがありますが、もうすでにご存じのことも多いかと思います。 「どうしたらその利用者さんとコミュニケーションが上手くとれるのか」について初対面から悩んでいらっしゃるとのことなので、その方への苦手意識が、相手に伝わってしまっていることもあるかもしれません。(ちなみに私は、新人時代に恐る恐る介助をしていたら「あなたは頼りない、不安だ」と言われたことがあります。無意識でも、感情が伝わるんだと感じた出来事でした。)

どんな人間関係もそうですが、相手を変えることはできないので、自分が変わるしかありません。
そのためには、大きく分けて2つの方法があると思います。

■解決策1:自分の行動・言動を変えてみる

1つ目は、自分の「行動」「言動」を意識して変えてみることです。

その方と、上手くコミュニケーションをとっているなあと感じる人の行動や言動を、真似してみるのがよいかと思います。特に、認知症の方の場合は、「快」「不快」を意識した働きかけが大切です。その方が、生活の中でどんなときに「快」と感じるのかを観察して、コミュニケーションの際に取り入れてみてください。

それから、勇気のいることかもしれませんが、客観的な意見を聞くのもありかと思います。 信頼できる先輩や上司に相談して、その方とのコミュニケーションの取り方についてアドバイスをもらうと、なにか糸口が見つかるかもしれません。

ただ、人間関係には相性というものが必ず付きものです。 質問者さんだけでなく、どんな人でも、相性が合わない人というのはいます。

■解決策2:割り切って、自分の気持ちを変えてみる

そこで2つ目は、自分の「気持ち」を変えることです。

こちらが変わっても上手くいかない場合は、「仕方がない」と割り切る気持ちも時に必要かと思います。ただ、その方との関係性の構築を、諦めることは避けてほしいと思います。
なぜなら、その方の気持ちも、常に変わりうるものだからです。

質問者さんが変わることで、相手にも変化が現れるかもしれません。
相手が変わることを期待はしないほうがよいですが、可能性は捨てず、向き合ってほしいなと思います。

■これを乗り越えたらレベルアップ!ゲーム感覚で

最後になりますが、自分自身の感情と相手の感情の両方に向き合うことは、思っている以上にパワーを必要とします。 理屈や、理想と現実にギャップがあるのも介護の仕事の醍醐味です。

私はどうしても辛いときは、「これをクリアしたらレベルアップした自分になるはず!」というゲーム感覚で乗り切っています。繰り返しになりますが、ご自身を責めずに。

相手が「快」と感じる行動や言動を追究してみましょう。 自身の気持ちと向き合う姿勢のある質問者さんなら、私は介護をお願いしたい!と思います。応援しています!

介護拒否のとらえ方を変える!信頼関係を築くかかわり方

人間関係の構築について、ここまで解説してきました。
最後に、介護拒否に対する対処方法を解説します!

「拒否」は利用者さんの防御反応

「介護拒否」は介護職であれば誰もが一度は経験することではないでしょうか。
対応する職員が誰であっても介入が難しい場合もあれば、特定の職員とのかかわりが難しいこともあります。

いずれにせよ、「拒否」という反応は「防御」であると考えられます。つまり、対象者の方が不快に感じることから自分を守る反応です。

ケアは、まず信頼関係を築くことからはじまります。
私たちはどうしても、食事や入浴、排泄等のケアを「すること」に意識が向いてしまい、それができないときにその場しのぎの声かけをしてしまいがちです。

しかし、それで本人が嫌がっているのに強制をしてしまうと、相手に嫌な感情が残ってしまい、その後のケアにも影響し「拒否」と言われる状態になってしまいます。

命にかかわる状況であれば別ですが、そうでない場合はまず信頼関係を築くことを大切にしましょう。

ユマニチュードという技法を知っていますか?

ケアの方法として、ユマニチュードという技法はご存知でしょうか?

ユマニチュードとは、フランス語で「人間らしさ」を意味し、ケアを受ける人の尊厳を尊重し、寄り添ったケアを行う方法です。

警戒心や不安感を抱く、利用者さんに対して、このユマニチュードを活用することは、精神的な安心感や攻撃性の軽減などの効果を期待することができるでしょう。
ここからは、ユマニチュードをおこなう手順を解説します。

■手順1:出会いの準備(存在を認識してもらう)

まずは、相手に自分の存在を認識してもらうことが大切です。
入室をする際は丁寧にノックをしてから入室しましょう。入室後も、認知機能の低下などがある場合、認識するまでに時間がかかります。焦らず、ゆっくり話しかけるようにしましょう。

ここでは、自分の近くにいても危険なことはしない人だと認識してもらうことが大切です。

■手順2:ケアの同意を得るための準備

利用者さんが認識してくださったら、ケアの同意を得るために正面から近づき、話しかけましょう。この際に、難聴などがある方に対しては、声をかける方向を工夫しましょう。

声かけの際は、相手に安心感を持ってもらうことが大切です。利用者さんが好きなものに関する話など、ポジティブなものから声かけをはじめ、少しずつケアの同意を得るようにしましょう。

■手順3:知覚の連結

ケア中は、不安感を抱かせないためにも「見る」「話す」「触れる」のうち2つを常におこないます。
五感から安心感を与えることで、その後のケアもスムーズに進みます。

■手順4:感情の固定

ケアが終わったら、「楽しかったですね」「お話しできてよかったです!」など一緒に過ごした時間を振り返るようにしましょう。

この際に、ポジティブな話をするとケアに対する感情が、ポジティブな記憶となります。

■手順5:再開の約束

最後に、「明日は○時に来ます」などと次回来る日程を伝え、2回目以降のケアもおこないやすくしましょう。利用者さんにメモをとっていただいたりすると、覚えてもらえる可能性も高まります。

よくある介護拒否と、その対処法3例

とはいえ、具体的なケアの場面においては、信頼関係をじっくりと築く余裕がなく、その場で臨機応変に対応が求められることも多いかと思います。
よくあるシーンと対処法について、例を挙げます。

1.排泄ケアの拒否

おむつを使用されている方で、交換しようとすると手や足が出て必死に抵抗する、という方の場合、恐怖心や羞恥心で職員のことを「敵」と感じているかもしれません。

【対処法】

1.相手の視界に入り目線を合わせ、目をきちんと合わせる。
2.いきなりケアの話をせず、まずは会話をする。
3.「下着を交換しますね」「温かいタオルで拭きますね」など、先にこれから何をするかを伝え、相手の反応を待つ。
4.下から支えるように、広い面積で触れる。手足をつかまない。
5.事前に物品準備を整え、排泄ケアに入る時間を最小限にする。

2.口腔ケアの拒否

口腔内を触られることに抵抗を感じる人も多いと思います。
無理にケアをすると、利用者の方も職員も怪我をしてしまいかねないため注意が必要です。

【対処法】

1.口腔内に残渣物が少なくなるよう食後にお茶などを飲んでいただく。
2.食後が難しい場合は、タイミングを変えて声をかけてみる。
3.歯ブラシが難しい場合はうがいのみなど、臨機応変に対応する。
4.口腔内のトラブル(入れ歯が合わない痛み、歯周病等)により痛みや違和感を感じている可能性もあるため、歯科医師に診てもらう。

3.入浴ケアの拒否

入浴が嫌と感じる理由も様々です。億劫だったり、寒いのが嫌だったり、元々入浴が嫌いだったり…。
入浴には身体の清潔を保つ以外にも血行を良くして身体を温めたり、リラックスしたりといった効果があるため、可能であれば入っていただきたいですよね。

【対処法】

1.脱衣所を暖房、浴室はシャワーの蒸気を利用し温める、湯温を調整するなど、浴室の環境をその方に適した状況に整える。
2.散歩や体操など、少し身体を動かした流れで「汗を流しましょう」「着替えをしましょう」と声をかける。
3.面会や外出、写真撮影などの人前に出る予定をつくる。
4.どうしても難しいときは無理に入らず、清拭や足浴・手浴といった部分浴、ドライシャンプーを使用する。

最後に:人間関係を構築し、お互いにとって気持ちがよい介護をおこないましょう

いかがだったでしょうか。人間関係構築のポイントや、介護拒否に対する対応方法を確認することはもちろん大切です。

しかし、人間同士のコミュニケーションであるため、状況に応じた臨機応変な対応も必要です。相手のことを第一に考えて行動することで想いもきっと伝わるでしょう。

マンガでまとめ♪

マンガ監修:望月太敦(公益社団法人東京都介護福祉士会 副会長)

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社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

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