介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~
■監修者
障がい者の方との協働は、インクルージョン(一体性)と無理のない継続性を大切に
茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員
■「D&I」とは何か、知っていますか?
「ダイバーシティ」とはなんでしょう?
ヒント:お台場ではありません。なんてギャグはもう通用しませんよね。
ダイバーシティ=多様性という意味というのはほとんどの方が知る世の中になったかと思います。
しかし、「D&I」はどうでしょう?
ダイバーシティ&インクルージョンの略ですね。インクルージョンとは「包括」「包含」「一体性」という意味です。
つまり、多様な人たちがいるだけでなく、一体になること=多様な人が一体となり同じ目的に向かっている組織状態が大きな成果を生むとされています。
4コマ漫画の中では知的障がいのある横山さんが、得意のモップがけを一生懸命されている様子が描かれています。知的障がいのある方は複雑な作業が苦手ですが、一方で、シンプルな作業を一生懸命取り組むことは得意だったりします(個人差はあります)。
■専門家・伊藤さんの施設で働く多様な人たち~成功例~
知的障がいのあるAさん:掃除業務
まずAさんは、漫画と同じように知的障がいがありながら掃除業務を担当してくれてます。その一生懸命さから、ご利用者にも大人気。「がんばってるね」とご利用者がAさんに声をかける様子は施設を明るくします。
知的障がいのあるBさん:植木の剪定
次に、Bさんです。Bさんは、知的障がいがありますが、植木の剪定は抜群の仕事をします。Bさんは、掃除は苦手です。廊下や窓など拭く行為は、対象が平面のため特徴がなく、捉えにくいようです。どこまで拭いているかわからなくなってしまうんですね。しかし、立体的な植木は、捉えやすいようでいつも形よく剪定してくれます。
中庭の環境整備を大切にしていた私の施設にとっては、つねに木々を美しく保ってくれる大切な人材。男性の利用者さんには庭好きな方も多く、「いい腕してるね」なんて言われると照れている姿をよく見かけています。
コミュニケーション障がいのあるCさん:入浴の誘導・洗濯物の管理
Cさんはコミュニケーション障がいがあり、会話ができません。しかし、言われていることはわかりますので、入浴の誘導や洗濯物の管理をしてくれています。
ある日、インフルエンザにCさんがかかったことがありました。現場は大混乱です。毎日当たり前のように行なってくれていた業務がいかに助かっていたか・・・身に沁みてわかったと誰もが思いました。Cさんが現場に復帰してからは言葉は返ってはきませんが、Cさんへの感謝の言葉が飛び交うようになりました。
■失敗例もご紹介
知的障がいのあるDさん:食器の洗い物
Dさんは、23歳の知的障がいの女性でした。行政と連携し、指導員がつきながらステップを踏んで働くことができるよう取り組むことになりました。Dさんは、一見障がいがあるようには見えません。そのため、先入観で「このくらいのことはできるだろう」と思われがちでした。複雑な作業は難しいことがわかっていたので食器の洗い物ならできるのではとキッチンで作業してもらうことにしました。
しかし、現場は忙しいです。次々に洗い物が届くと作業が間に合わなくなり、パニックに陥ってしまったんです。結果、指導員が洗い物をするという意味不明な状況となり、作業量を減らすなど改善も試みましたが、結果来なくなってしまいました。
ダウン症のEさん:洗濯物のボランティア
また、Eさんは20歳のダウン症の方でした。親御さんの強い希望で、洗濯物のボランティアからスタートしましたが、常に誰かがついて指示をださないと作業ができず、当時の人員配置では対応することができずお断りしたケースです。
■「一体感」を生むことができるか?がポイント
障がい者の方と一緒に働く「良かった事例」と「上手くいかなかった事例」をお伝えしました。
ポイントは「一体感」を生むことができるか?だと思います。
一体感とはお互いが認め合っている状態です。
まず、障がい者の方の持っている力を認めることは前提ですが、時に難しい場合もあります。施設の組織風土と合う合わないは時にあって当たり前ですよ。
受入事業所側が無理をすることは、かえって一体感を崩す要因となります。そうなっては結果うまくいきません。
そしてもう一つ大事なことは、チャレンジし続けることです。
上手くいかなかった、うちの事業所はもう受け入れない。ではなく、必ず組織に合う方が現れると思いますし、受け入れながら一緒に、win-winで仕事をする方法がブラッシュアップされていくと思います。
なんか嫌々受け入れらている感は障がい者の方に伝わります。
障がい者の方との協働なんて大それた話でなく、いろんな方が一緒に働いて当たり前の職場(一体性のある職場)を目指したいですね。
今回のお話し
いつも一生懸命働くパート職員の横山さんには、知的障害が。
横山さんが掃除した廊下は、いつもピッカピカ!
でも気が付くと夕方に…なんてことも。
誰かが声をかけるまで頑張り続けてしまう
横山さんは、施設の皆から愛されています。
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次回もお楽しみに♪
ささえるラボ編集部です。
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