第35回介護福祉士国家試験 対策問題(コミュニケーション技術)
■問題
次の事例を読んで答えなさい。
〔事 例〕
Jさん(75歳、男性)は先天性の全盲である。これまで自宅で自立した生活をしてきたが、最近、心身機能の衰えを感じて、有料老人ホームに入居した。
施設での生活にまだ慣れていないので、移動は介護福祉職に誘導してもらっている。
ある日、介護福祉職がJさんを自室まで誘導したときに、「いつも手伝ってもらってすみません。なかなか場所を覚えられなくて。私はここでやっていけるでしょうか」と話してきた。
Jさんの不安な気持ちを軽くするための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.いきなり声をかけると驚くので、肩にふれてから挨拶をする。
2.誘導時の声かけは歩行の妨げになるので、最小限にする。
3.角を曲がるときには、「こちらに」と方向を伝える。
4.トイレや食堂などを、一緒に歩きながら確認する。
5.食堂の座席は、Jさんの好きなところに座るように伝える。
解答と解説
■解答
4.トイレや食堂などを、一緒に歩きながら確認する。
■解説
1.(×)全盲のJさんにいきなり触れると驚かせてしまうため、声をかけてから肩に触れるようにします。
2.(×)Jさんにとって安全に移動するための重要な情報となることから、誘導時には適切な情報量の声かけが必要です。
3.(×)「こちらに」「あちらに」などのあいまいな表現は不適切であり、「右」「左」「何時何分の方向」などの具体的な指示を行います。
4.(○)Jさんはこれまで自宅で自立した生活を送っていたことから、周囲の新しい環境を把握できれば不安は大きく軽減されると考えられます。トイレや食堂など施設の間取りを一緒に歩きながら確認し、位置関係を分かりやすく伝えることが適切です。
5.(×)周囲の状況が把握できていない状態では、好きなところを選ぶこともできません。また、一般的に、視覚障害者の場合は、いつも同じ座席を使用するほうが安心できると考えられます。
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