第35回介護福祉士国家試験 対策問題(コミュニケーション技術)
■問題
次の事例を読んで答えなさい。
〔事 例〕
Kさん(83歳、女性、要介護3)は、10年前の脳出血(cerebral hemorrhage)による後遺症で高次脳機能障害(higher brain dysfunction)がある。感情のコントロールが難しく、興奮すると大声をあげて怒りだす。現在は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用しながら、自宅で長男(60歳)と二人暮らしをしている。
長男は、会社を3年前に早期退職し、Kさんの介護に専念してきた。顔色が悪く、介護による疲労を訴えているが、「介護を続けて、母を自宅で看取りたい」と強く希望している。別居している長女は、長男の様子を心配して、「母親の施設入所の手続きを進めたい」という意向を示している。
長男に対する訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.長男自身の意向を変える必要はないと励ます。
2.Kさん本人の意向が不明なため、長男の希望は通らないと伝える。
3.これまでの介護をねぎらい、自宅での看取りを希望する理由を尋ねる。
4.自宅での生活を継続するのは限界だと説明する。
5.長女の言うように、施設入所の手続きを進めることが正しいと伝える。
解答と解説
■解答
3.これまでの介護をねぎらい、自宅での看取りを希望する理由を尋ねる。
■解説
1.(×)長男は母親の介護に長期間専念した結果、疲弊している様子が見受けられます。現段階では冷静な判断ができない可能性も高いことから、安易に励ましたり意向を後押したりするのは適切な対応とはいえません。
2.(×)本人の意向が確かめられない状況であれば、家族であり主介護者である長男が意向の確認に関与する必要があります。「長男の希望は通らない」という根拠のない発言は不適切です。
3.(○)まずはこれまでの介護の負担をねぎらい、その上で自宅での看取りを希望する理由を傾聴することは、長男の気持ちに寄り添い、今後の方針を一緒に考えていくために適切な対応です。
4.(×)訪問介護員の主観的な意見だけを伝えており、不適切な対応です。自宅で看取るために生活を継続することは不可能ではなく、方策や工夫を提案することも可能であると考えられます。
5.(×)一方的に長女の意見を正しいと伝えており、長男の意見は全否定してしまっています。
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