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要介護1と2の保険外しとは?なぜ事業者は反対している?基本から分かりやすく解説

要介護1と2の保険外しとは?なぜ事業者は反対している?基本から分かりやすく解説

「要介護1.2の保険外し」が話題になった発端から、その理由、事業者側が反対する背景について、基本的なことから詳しく解説していきます。


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要介護1と2の保険外しとは?なぜ事業者は反対している?基本から分かりやすく解説

2022年秋ごろから話題になっている「要介護1.2の保険外し」
2024年の改定では見送られることとなりましたが、そもそもこれにはどのような背景があるのでしょうか?

「要介護1.2の保険外し」が話題になった発端から、その理由、事業者側が反対する背景について、基本的なことから詳しく解説していきます。

要介護1と2の保険外し論争とは?

執筆者

伊藤 浩一

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/14

茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員

厚生労働省は、令和4年12月19日、要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護を市町村が運営する「総合事業」へ移管する方針について、2024年度の介護報酬改正では実施しないとしました。
いわゆるこれが「要介護1.2の保険外し論争」の結果です。

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論争の背景には介護給付費の増大という問題が

誰と誰が論争をしていたのか?
それは厚生労働省と介護事業者となりますが、厚生労働省に強く働きかけていたのは財務省に他なりません。

介護給付費増大による財務省の働きかけが論争の発端

財務省はなぜ強く働きかけているのか?
それは介護給付費の増大です。

介護保険制度は、創設から22年が経過し、介護サービス利用者は約3.5倍となりました。
これに伴い、介護給付費の総額も3.6兆円(2000年)から13.3兆円(2022年)となり、約3.7倍となりました。
介護給付費は、全体の50%のうち、国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%負担します。財務省は、この国の負担分を少しでも抑えたい、ではどうするか?

見捨てるのではなく「総合事業に移管」する

「要介護1.2の方を市町村が運営する「総合事業」へ移管」を提案したということになります。
なので、「要介護1.2の保険外し」といわれると「見捨てる」みたいなイメージですが、実際は総合事業に移管することを言っているというのはしっかり抑えてくださいね。

「総合事業」とは?

そもそも総合事業(正式名称「介護予防・日常生活支援総合事業」平成29年4月から) とは、市町村が中心となり、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者等の方に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すものです(厚生労働省HPより引用)。

たしかに、地域によって実情は異なりますので、それぞれの市町村が実情に合わせた支援を行う方が効率的でかつ住民等の多様な主体参画を促すことは、人件費等のコスト削減にもつながるので一石二鳥のような感じがします。

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事業者側が「要介護1.2の保険外し」に反対するのはなぜ?

ではなぜ、事業者は反対するのでしょうか?

実際、私は茨城県ひたちなか市で総合事業に手をあげた経緯があります。
それは、公民館を会場として地域のシニアの皆さんに体操教室の講師やカルチャー教師の講師をボランティアでお願いし、要支援者等に3時間の通所型サービスを提供する事業でした。この事業は地域の皆様のご協力もあってお陰様で現在も継続しています。

日本全国で見ると総合事業は進んでいない

私はとても意義がある事業と思い一歩踏み出したのですが、日本全体でみると実情は進んでいません。
2020年4月に厚労省が公表した調査研究事業結果によると、2019年6月末時点で「従前相当以外の多様なサービスを実施している市町村は、訪問型で1051市町村(61.1%)、通所型で1193市町村(69.4%)だそうです。

総合事業は労力の割に事業としての収益性が低い

総合事業はその名前のとおり様々な地域資源を組み合わせることに意味がある事業です。
ですが、行政、地域住民との連携は、非常に労力と時間がかかります。その割にマネタイズを考えると事業としては、現通所介護事業と比べ、脆弱なんです。そのため、事業者が一歩踏み込めずにいるのが実情でしょう。

仕組み作りができておらず時期尚早だった

結果、まだまだ仕組みができていない総合事業で要介護度1(137万人)・要介護2(113万人)の方を支える(2021年厚生労働省データ)のは無理と判断されたと考えます。

つまり、要介護1.2の保険外し論争は、金VS仕組み(理想)の論争で、まだ仕組みができてないよね=時期尚早と見送られたということです。

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まとめ:反対意見を出すだけでなく、自ら行政に提案できる3年間に

この論争、2024年は見送りとなりましたが、2027年に検討を持ち越しと書いてありました。
金の論理はよく分かりますが、仕組みづくりにもっと力を入れないと平行線は続くでしょう。

意義を見出し、先進的に取り組んでいる市町村の事例を広く広報する、行政に専門のコーディネーターを設置して推進するなどの案はどうでしょうか?

私は「介護=社会と高齢者をつなぎ続ける仕事」と定義しています。
そのうえでは、総合事業の理念は本当に理想的だと思います。
文句を言うことは簡単です。お金もわかりますが、事業者が一歩踏み出しやすい仕組みを自分なりにも行政に提案していく、そんな3年間(2024年〜2027年)にしたいですね。

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この記事のライター

茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)

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