マイナビ福祉・介護のシゴト
【専門家が回答】介護職はなぜサービス業と言われるの?違和感を解消します!

【専門家が回答】介護職はなぜサービス業と言われるの?違和感を解消します!

【回答者:後藤 晴紀】ホテルや飲食店みたいな「サービス業」と言われる仕事よりも介護の方が圧倒的に辛いんじゃじないかと思ってしまいます。


本日のお悩み

介護はサービス業とよく言われているけど、なんか違和感があります。
多分そういう気持ちで働けたらいいんだろうなと思うけど、ホテルや飲食店みたいな「サービス業」と言われる仕事よりも介護の方が圧倒的に辛いんじゃじないかと思ってしまいます。

福祉・介護は究極のサービス業!!

ご相談ありがとうございます。
多岐にわたる業務や人の命を扱うお仕事という事をよく理解されているからこそ、介護サービスを他のサービス業と同じに位置付けられることに違和感を感じているのですね。

実は私も以前はその違和感を感じていました。
ですが、サービス業の構造を理解すると、今は違和感なく理解できるかもしれません。

サービス業の中にもいろいろな分類がある

まず、サービス業という概念には、「人の欲求を解消する」という意味が含まれます。
そこに関連した仕事であれば、全てサービス業に入るという事です。

質問者さんがおっしゃっているホテルや飲食は『サービス業の中の接客業』にあたります。
例えば、サービス業の中には、接客を主体にせず情報を提供するサービス業や、通信サービス業等もありますよね。
そういった意味で、私たちの仕事はサービス業の中の『接客業』あるいは『介護福祉業』等に分類されるかと思います。

サービス業という枠組みの中で、モノではなく、人に対する接遇=『おもてなし』ですから、『接客業』ですよね。
介護福祉業界は他のサービス業と重なる部分もたくさんありますし、人を支え、人生を生ききることへのサポートもするのですから、『接客業』だけではなく、やはり『介護福祉業』が私はしっくりきます。

利用者さんの人生そのものに介入する仕事

私はこの仕事を言語化し、自分の言葉で家族や友人、仲間たちに伝えるようにしています。
もしかしたら、質問者様はご自身のお仕事を『言語化』しにくいとも感じていらっしゃるのかもしれませんね。

私はこの職業を全てのサービス業を超えた『究極のサービス業』と位置づけ、そこに誇りとプライドを持っています。
お看取りや慣れ親しんだご利用者との別れを経験したスタッフの多くは、その経験を辛いと感じるでしょう。
私はその辛さこそ、『今を生ききる』目の前のご利用者へのご支援の糧となると考えています。

人生の総仕上げに、その身をゆだねてくださり、その人の生活の継続をサポートし、その人生が閉じる瞬間まで生ききっていただくことに携われるサービス業は、他にはありません。
だからこそ、事業所の介護サービスの質や出会う介護職によって、その人生が良くも悪くも左右されてしまうことを私たちは理解しなくてはいけません。

覚悟と責任をもって専門職(プロ)としての知識と技術を携え、おもてなしのサービス提供をする必要があると考えています。
そうすると、人生そのものに介入する『介護福祉サービス』は究極のサービス業といえると感じませんか?

日々の仕事は地味だけど、一瞬を大切に

日々の生活をサポートすることは、決して派手ではなく、地味で大変な仕事です。
しかし、現場で働いている介護福祉業界の仲間やその他の多くのサービス業でも、地味で大変な日々に誇りとプライドを持ちながら、一瞬一瞬を大切に働いているのだと思います。

究極のサービス業に就く者として、介護福祉サービスの枠にとらわれず、サービスを超えるクリエイティブな瞬間を創造し、この介護福祉業界の価値を広く一般社会に伝えていきたいですね!

質問者様もぜひ、ご自身のお仕事を言語化してみてください。

「介護職員」の求人を探す
専門家への質問はこちらから!
マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東】
【北陸・東海・甲信越】
【関西】
【中四国・九州・沖縄】

この記事のライター

・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士

関連するキーワード


サービス業 介護職のお悩み

関連する投稿


サービス担当者会議の進行のコツは?スムーズな進行のためにすべきこと

サービス担当者会議の進行のコツは?スムーズな進行のためにすべきこと

サービス担当者会議で、話の長い人がいる、話が脱線してしまう等 進行に悩むケアマネさんからのお悩みに専門家が回答します!スムーズな進行のためにすべきことを確認してみましょう。【解説者/専門家:脇 健仁】


【介護職の転職】仕事に慣れなくて辛いときはウィルビーイングを意識しよう

【介護職の転職】仕事に慣れなくて辛いときはウィルビーイングを意識しよう

介護福祉業界で働く方は優しい方が多いゆえ、我慢をし続けたり、相手の幸せのために自己犠牲をしたりする方も多いのではないでしょうか。対象者の「幸せ」はもちろんですが、ご自身の「幸せ」についてもしっかりと向き合い「ウェルビーイング」な働き方を意識しましょう。【執筆者:大庭 欣二】


希望しない自立支援。「やりたくない人」への接し方とは?専門家が解説

希望しない自立支援。「やりたくない人」への接し方とは?専門家が解説

自立支援をしても拒否する利用者さんへの接し方とは?心が近づく共通点を探すために、まずは介護士とご利用者の価値観のすり合わせを行うようにしましょう。【執筆者:羽吹さゆり/介護福祉⼠、介護⽀援専⾨員、介護技術指導員、⽇本語教員、社会科教員、介護職員実務者教員、社会福祉主事任⽤】


介護職員 平均月給6,000円相当引き上げへ、専門家の見解は?

介護職員 平均月給6,000円相当引き上げへ、専門家の見解は?

2024年2月から介護職員に対し、1人あたり平均月給6,000円の賃上げを実施するというニュースを皆さんも耳にしたかと思います。 今回の施策に対して、なぜこのような施策を実施することになったのかという施策の背景と、施策に対する見解を伊藤先生にお伺いしました。


仕事を教えてもらえない…先輩によってやり方が違う…こんな時どうする?

仕事を教えてもらえない…先輩によってやり方が違う…こんな時どうする?

転職してはじめて介護職になりましたが、なかなか忙しいとのことで、介護技術を教えてもらえません…。研修もなく、先輩によってやりかたが違う部分もあり何が正解なのか、これでいいのか不安です…。などよくあるお悩みの対処方法を専門家が解説します。【執筆者:専門家/大庭 欣二・羽吹 さゆり・後藤 晴紀】


最新の投稿


第108話 盛り付けで/ほっこり介護マンガ

第108話 盛り付けで/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

介護事業者の倒産数が過去最多となったというニュース。超高齢社会の日本においてなぜ、倒産数が増えてしまったのでしょうか。 今後、事業所が生き残るために必要なことを専門家が解説します。 【解説者:後藤 晴紀/介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・潜水士】


第107話 おやつ/ほっこり介護マンガ

第107話 おやつ/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


精神保健福祉士(PSW)とは?仕事内容や資格の取得方法、勤務先について解説

精神保健福祉士(PSW)とは?仕事内容や資格の取得方法、勤務先について解説

精神障害者の支援に特化した専門職である精神保健福祉士。メンタルの不調を抱える人が増えるなかで、ニーズが高まるといわれています。仕事内容や資格の取得方法、勤務先など、精神保健福祉士に関する基礎知識を解説します。【ささえるラボ編集部】


認知症の方がコロナに。介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを解説

認知症の方がコロナに。介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを解説

介護のお悩み:介護施設にコロナが蔓延し、認知症の利用者さんにも感染。他の利用者にも感染が拡大してしまいました。どうすればいいでしょうか? 介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを専門家が解説します。【執筆者:羽吹 さゆり】


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】