介護職の給料、相場はどのくらい?手取りや年収、夜勤手当の平均を調べてみました!
介護職の需要が高まる中、賃上げなどで給与についても注目されることが多くなってきました。
そこで厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」データをもとに、さまざまな視点から介護職の給与についてまとめます。
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省が発行するPDFに遷移します)
■介護職全体の平均月収・年収(額面・手取り)
1ヶ月の平均給与(額面) | 1ヶ月の平均給与(手取り) | 平均年収(額面) | 平均年収(手取り) | |
---|---|---|---|---|
全事業所 | ¥315,640 | ¥252,512 | ¥3,787,680 | ¥3,030,144 |
処遇改善加算のみ 取得事業所 |
¥316,610 | ¥253,288 | ¥3,799,320 | ¥3,039,456 |
特定処遇改善を 取得している事業所 |
¥323,190 | ¥258,552 | ¥3,878,280 | ¥3,102,624 |
※1ヶ月の平均給与は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)
※「手取り」は月収または年収の8割として算出
処遇改善加算、特定処遇改善加算を取得している事業所ほど、給与が高い傾向にありました。
処遇改善加算、特定処遇改善加算とは、働く環境をよくした施設において、職員の給与をアップさせる制度のことです。
これは、介護職の人手不足などを解消するために、厚生労働省がおこなっている施策の一つで、長く働くことができる職場を探す際に「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」を取得しているかどうかが一つの目安になります。
「額面」と「手取り」の違いとは?
「額面」とは、法人からみなさんに払われる、全てのお金のことを指します。
基本給に加えて残業代や夜勤手当、資格手当、その他の手当てなど、全てを含んだ金額です。
「手取り」は、「額面」から各種保険料や税金などを引いた金額で、実際に銀行に振り込まれる金額です。
各種保険料や税金は人によってそれぞれ違うため、この記事では額面の金額の8割を手取りとして表しています。
処遇改善・特定処遇改善とは?
働く環境をよくした施設において、職員の給与をアップさせる制度のことです。
詳しくは、以下の記事を読んで確認してみましょう。
介護職の給料アップにつながる「処遇改善手当て」とは?加算の仕組みや目的を理解しよう | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/511介護業界の人手不足を解消するために国が創設した「介護職員処遇改善加算」。要件を満たした事業所には加算金が支給され、「処遇改善加算手当て」として従業員に配分されます。加算の仕組みや目的などの基礎知識を紹介します。
■施設形態別 平均月収・年収(額面)
処遇改善加算のみ取得事業所 | 特定処遇改善を取得している事業所 | |||
---|---|---|---|---|
1ヶ月の平均給与(額面) | 平均年収(額面) | 1ヶ月の平均給与(額面) | 平均年収(額面) | |
特養(介護老人福祉施設) | ¥345,590 | ¥4,147,080 | ¥345,720 | ¥4,148,640 |
老健(介護老人保健施設) | ¥338,390 | ¥4,060,680 | ¥339,390 | ¥4,072,680 |
介護医療院 | ¥307,550 | ¥3,690,600 | ¥312,580 | ¥3,750,960 |
訪問介護 | ¥314,590 | ¥3,775,080 | ¥324,690 | ¥3,896,280 |
デイサービス(通所介護) | ¥278,180 | ¥3,338,160 | ¥288,880 | ¥3,466,560 |
通所リハビリテーション | ¥297,980 | ¥3,575,760 | ¥304,260 | ¥3,651,120 |
有料老人ホーム (特定入居者生活介護) |
¥319,760 | ¥3,837,120 | ¥323,660 | ¥3,883,920 |
小規模多機能型居宅介護 | ¥289,520 | ¥3,474,240 | ¥294,960 | ¥3,539,520 |
グループホーム (認知症対応型共同生活介護) |
¥291,460 | ¥3,497,520 | ¥296,180 | ¥3,554,160 |
※1ヶ月の平均給与は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)
※「手取り」は月収または年収の8割として算出
■施設形態別 平均月収・年収(手取り)
処遇改善加算のみ取得事業所 | 特定処遇改善を取得している事業所 | |||
---|---|---|---|---|
1ヶ月の平均給与(手取り) | 平均年収(手取り) | 1ヶ月の平均給与(手取り) | 平均年収(手取り) | |
特養(介護老人福祉施設) | ¥276,472 | ¥3,317,664 | ¥276,576 | ¥3,318,912 |
老健(介護老人保健施設) | ¥270,712 | ¥3,248,544 | ¥271,512 | ¥3,258,144 |
介護医療院 | ¥246,040 | ¥2,952,480 | ¥250,064 | ¥3,000,768 |
訪問介護 | ¥251,672 | ¥3,020,064 | ¥259,752 | ¥3,117,024 |
デイサービス(通所介護) | ¥222,544 | ¥2,670,528 | ¥231,104 | ¥2,773,248 |
通所リハビリテーション | ¥238,384 | ¥2,860,608 | ¥243,408 | ¥2,920,896 |
有料老人ホーム (特定入居者生活介護) |
¥255,808 | ¥3,069,696 | ¥258,928 | ¥3,107,136 |
小規模多機能型居宅介護 | ¥231,616 | ¥2,779,392 | ¥235,968 | ¥2,831,616 |
グループホーム (認知症対応型共同生活介護) |
¥233,168 | ¥2,798,016 | ¥236,944 | ¥2,843,328 |
※1ヶ月の平均給与は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)
※「手取り」は月収または年収の8割として算出
施設形態別では特別養護老人ホームの給料が高い
次に、施設形態別の月収・年収を比較していきます。
ここでも、処遇改善加算よりも特別処遇改善加算を取得している施設のほうが給与が高く、中でも特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)がいちばん給与が高いことが分かりました。
特別養護老人ホームは比較的介護度の高い高齢者が入居していることや、夜勤もあり手当がつくことから給与が高くなっていることが予想されます。
夜勤手当についてはこの記事の最後に解説いたします。
デイサービスでは、手取り年収で10万円以上もの差が!
また、デイサービス(通所介護)では、処遇改善加算を取得している事業所と、特定処遇改善加算を取得している事業所では、手取りの年収で10万円以上の差があることが分かります。
特定処遇改善を取得している施設で長く働くことで、給与アップを狙えるでしょう。
■資格別 平均月収・年収(額面)
処遇改善加算のみ取得事業所 | 特定処遇改善を取得している事業所 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1ヶ月の平均給与(額面) | 平均年収(額面) | 1ヶ月の平均給与(額面) | 平均年収(額面) | ||
資格なし | - | ¥271,260 | ¥3,255,120 | ¥278,370 | ¥3,340,440 |
何らかの資格あり | - | ¥319,460 | ¥3,833,520 | ¥325,910 | ¥3,910,920 |
初任者研修 | ¥300,510 | ¥3,606,120 | ¥308,960 | ¥3,707,520 | |
実務者研修 | ¥307,330 | ¥3,687,960 | ¥314,170 | ¥3,770,040 | |
介護支援専門員 | ¥362,290 | ¥4,347,480 | ¥373,610 | ¥4,483,320 | |
介護福祉士 | ¥328,720 | ¥3,944,640 | ¥334,510 | ¥4,014,120 | |
社会福祉士 | ¥363,480 | ¥4,361,760 | ¥368,520 | ¥4,422,240 |
※1ヶ月の平均給与は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)
※「手取り」は月収または年収の8割として算出
■資格別 平均月収・年収(手取り)
処遇改善加算のみ取得事業所 | 特定処遇改善を取得している事業所 | ||||
---|---|---|---|---|---|
1ヶ月の平均給与(手取り) | 平均年収(手取り) | 1ヶ月の平均給与(手取り) | 平均年収(手取り) | ||
資格なし | - | ¥217,008 | ¥2,604,096 | ¥222,696 | ¥2,672,352 |
何らかの資格あり | - | ¥255,568 | ¥3,066,816 | ¥260,728 | ¥3,128,736 |
初任者研修 | ¥240,408 | ¥2,884,896 | ¥247,168 | ¥2,966,016 | |
実務者研修 | ¥245,864 | ¥2,950,368 | ¥251,336 | ¥3,016,032 | |
介護支援専門員 | ¥289,832 | ¥3,477,984 | ¥298,888 | ¥3,586,656 | |
介護福祉士 | ¥262,976 | ¥3,155,712 | ¥267,608 | ¥3,211,296 | |
社会福祉士 | ¥290,784 | ¥3,489,408 | ¥294,816 | ¥3,537,792 |
※1ヶ月の平均給与は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)
※「手取り」は月収または年収の8割として算出
初任者研修を取得するだけで年間約30万円もの差が!
介護の資格の入門ともいえる「介護職員初任者研修」を取得していると、無資格と比較して手取りで年間28万円~30万円もの差が生まれていることが分かります。
(「介護職員初任者研修」を取得するだけで、無資格よりも30万円ほどたくさんお金がもらえるということですね!)
施設によっては、資格取得のためにかかる費用を負担してもらえる場合もあります。
資格取得支援制度のある施設で、スキルアップを目指しましょう!
介護支援専門員では、手取り年収で10万円以上の差が!
介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を持っている場合、特定処遇改善加算を取得している事業所の方が10万円以上手取り年収が高いことが分かります。
特定処遇改善を取得している施設で長く働くことで、給与アップを狙えるでしょう。
■施設形態別 夜勤手当の相場(正社員)
正社員 | |||
---|---|---|---|
平均額 | 最高額 | 最低額 | |
特養(介護老人福祉施設) | ¥5,150 | ¥6,800 | ¥2,500 |
老健(介護老人保健施設) | ¥7,203 | ¥12,900 | ¥4,300 |
介護医療院 | ¥6,500 | ¥7,000 | ¥6,000 |
小規模多機能型居宅介護 | ¥5,500 | ¥9,000 | ¥3,500 |
看護小規模多機能 | ¥5,207 | ¥8,400 | ¥3,000 |
グループホーム (認知症対応型共同生活介護) |
¥5,408 | ¥9,000 | ¥4,000 |
ショートステイ | ¥5,725 | ¥10,600 | ¥3,200 |
出典:介護施設夜勤実態調査結果概要(別サイトのPDFに遷移します)
※回答数は正規職員106、非正規職員56のため参考数値としてください。
■施設形態別 夜勤手当の相場(非正規社員)
非正規社員 | |||
---|---|---|---|
平均額 | 最高額 | 最低額 | |
特養(介護老人福祉施設) | ¥6,250 | ¥10,000 | ¥5,000 |
老健(介護老人保健施設) | ¥7,471 | ¥12,900 | ¥4,000 |
介護医療院 | ¥6,000 | ¥6,000 | ¥6,000 |
小規模多機能型居宅介護 | ¥6,619 | ¥15,750 | ¥4,000 |
看護小規模多機能 | ¥4,640 | ¥6,000 | ¥3,200 |
グループホーム (認知症対応型共同生活介護) |
¥5,906 | ¥14,000 | ¥4,000 |
ショートステイ | ¥6,325 | ¥10,600 | ¥3,200 |
出典:介護施設夜勤実態調査結果概要(別サイトのPDFに遷移します)
※回答数は正規職員106、非正規職員56のため参考数値としてください。
夜勤手当については、回答数が少ないため参考値となりますが、施設によって1万円程度の差が発生する場合もあるようです。
転職先を決める前に、求人を見比べて検討してみましょう。
働いても生活が成り立たない…給与に関連したお悩み
介護付き有料老人ホームに勤務しています。
基本給、介護福祉士手当、月に7~8回の夜勤手当、交代勤務手当をもらっていますが、手取り額だけでは生活が成り立たず、娘が少し助けてくれています。
加えて月に数回アルバイトをして何とか生活していましたが、コロナの影響でアルバイト先が休業してしまい、この収入もなくなりました。
事業所では処遇改善手当の届け出に時間がかかっているとのことで、なかなか手当の支給が受けられず、ボーナスの支給も昨年末はありませんでした。私は入職してちょうど1年なので、まだ一度もボーナスをもらっていません。
とにかく経済的に不安で転職を考えていますが、年齢的に体力の衰えも感じてきており、このままアルバイトを掛け持ちしながら頑張ったほうが良いのか迷っています。
夜勤中は、ほぼ一晩中コールが鳴り続けたり、起き上がって危険な人がいたり、という夜が多く、一人での夜勤をこなした後は、ぐったり。こんなでは、どこに行っても務まらないだろうと考えつつも、生活もあり…。
このまま頑張るほうが良いか、転職するか、アドバイスをお願いします。
ズバリ!転職をお勧めします。
茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもみじ館施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員
新型コロナウイルス感染対策に緊迫しながらの介護業務、本当にお疲れ様です。
また、月に7〜8回の夜勤をされているとのこと。私も夜勤経験がありますが、体の負担が大きいですよね。さらに、気配りが必要な入居者の方も多く生活されているご様子。介護福祉士として最大限の活躍をされていること、心から感服いたします。
■働いても十分な収入が得られない原因は、事業所にあり
さてご質問の件
基本給、介護福祉士手当、7〜8回の夜勤手当、交代勤務手当を得ながらダブルワークをし、更に娘さんからの支援が必要とのこと。
このような状況を招いている理由は
①賞与が支払われていない
②処遇改善加算を背景とする処遇改善手当が支給されていない
の二点が原因と考えられます。
つまり、事業者に問題があるのではないでしょうか。
■本来なら年収はいくらもらえる?計算してみました
仮に金額を入れてみましょう。
介護職の全国賃金相場(日経ヘルスケア調べ)は、全国平均 約20万6,115円です。
介護福祉士資格手当を1万円とし、賞与が3ヶ月分であれば、年収は約294万円になりますよね。
(全国平均金額の定義は、定期的に支払われる資格手当等を合算したものとありましたので、資格手当1万円を引いた19万6,000円×15ヶ月で計算)
さらに、夜勤手当が1回9,000円とすると9,000×8回×12ヶ月=86万4,000円
これに正社員で、介護福祉士であることを想定した処遇改善手当額(推定約30万円)を足せば、年収は、410万円となります。
であれば、手取りは25万円くらい残るはずですよね。
文面から、娘さんは働いている状況が伺えますので、仮に相談者さんが一人暮らしでいらっしゃるならばダブルワークをしなくても十分な収入が得られるのではないでしょうか?
■思い切って、条件の良い施設に転職してみては?
結論です。
こんなことを言うのは大変心苦しいですが、相談者さんは
①賞与
②処遇改善手当
が支給されない事業所で働くことで、推定90万円弱の損をしています。
思い切って転職してみてはいかがですか?
全国の介護保険制度における施設・事業所数は、延べ38万6,000ヵ所(平成29年度厚労省まとめ)あります。
私が仮に入れた単価について、読者のみなさんからすると高い!低い!の見解があると思いますが、この数字の有料老人ホームはあると思いますし、もっと条件がいいところもあるでしょう。
また、条件は悪くても働きやすい職場もありますよね。
■あなたを求めている施設はたくさんあるはず!自信を持って!
相談者さんは年齢を気にされていましたが、ベテランの介護福祉士を欲しい事業所はたくさんあると思います。
「なぜ、自分は今の職場で働いているのか?」明確な理由が見出せないならば、雇用条件をしっかりリサーチして、自分を最大限に評価してくれる職場を探してください。
働き先は一つではありませんよ。
「月に8回も夜勤をこなせるベテラン介護福祉士」は、自信を持って売り込めます。
きっと、好条件を提示する職場が見つかります!
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)