本日のお悩み
リモート面会を私の施設でも取り入れたいのですが、設備面、通信環境などいろいろとハードルがあり、難しいと言われました。いい案があれば提案したいと思っています。良い例をご存じないでしょうか?入居者さんにご家族の顔を見せてあげたいです。
こんな時こそアナログ回帰も
「入居者さんにご家族の顔を見せてあげたい」との気持ち。素晴らしいですね。
当施設(特養)では、6月15日から対面での面会を再開いたしました。しかし、原則、予約制、15分程度、お一人まで、指定させていただくお部屋(3密にならない環境)での面会、などのルールを設けさせていただいています。また、玄関での体温測定の際、微熱がみられた方や直接お会いになるのが心配な方に関しては、施設の玄関から居室をリモートで繋いでお顔を合わせられるよう取り組みを始めました。リモート面会ではipadを活用し、Google Meetというビデオ会議ツールを通して対応しています。
私たちは上記の対応をしていますが、LINEのビデオ通話を利用している施設さんもあると聞きます。リモート面会に私も抵抗がありましたが、アメリカで生活しているお孫さんと面会ができたなど、リモート面会ならではの利点も見えてきて、コロナが終息した後も継続して利用できる体制づくりは必要だと考えています。
さて、ご質問の件ですが、上司の方から、設備面、通信環境などいろいろとハードルがあり難しいと言われたとのこと。
このリモート面会、まず、WiFi環境が絶対です。ビデオ通話となると、スマホでYouTubeなどの動画を見すぎてしまうと通信制限が起きてしまうのと同じ原理が発生します。つまり、大きなデータ通信が可能なWiFi環境が必要となります。質問者さんの施設は、文面から察するとWiFi環境が十分に整備されていないのではないでしょうか。すると、リモート面会は現実的に難しいかもしれませんね。今後、この状況を鑑み、令和2年度の補正予算にて、施設におけるWiFi環境整備の助成金が盛り込まれていますが、実際、交付申請などの環境が整うのは時間がかかるかもしれません。
そんな時は、発想の転換です。質問者さんがリモート面会を取り入れたい趣旨は、「入居者さんにご家族の顔を見せてあげたい」との気持ちですよね。とすれば、電子機器を活用したリモートにこだわり過ぎず、手紙や写真の郵送を通してお顔を見せられる取り組みに着手されてはいかがでしょうか?このデジタル時代、アナログの良さも見直されています。例えば、レコードや時計、そして、手帳はやっぱり手書き派なんて人も多いのではないでしょうか?手紙は、メールと違い、文字を書きます。文字には個性があり、丁寧に書こうという想いや感情も読み取れますよね。
質問者さんもご家族もお忙しいとは思いますが、こんな時だからこそあえてアナログでのコミュニケーションに取り組んでみると思いがけない良さに気がつけるかもしれません。なにせこのデジタルコミュニケーション時代、ほんの数年前からはじまった話で、それまでの約2000年、人はずっと手紙でやりとりをしていたんですから・・・。
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)