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看取りケアとは?現状と背景、介護職に求められる役割を解説!

看取りケアとは?現状と背景、介護職に求められる役割を解説!

自分らしい最期を迎えたいというニーズの高まりや超高齢化が進む社会状況を背景に、施設での看取りが増え、看取りケアの必要性が高まっています。看取りとは何か?から、現状と背景、介護職の役割など、看取りケアについて知っておきたい基礎知識を紹介します。簡単な研修にも活用いただけます。


看取りケアとは?現状と背景、介護職に求められる役割を解説!

歳をとっても住み慣れた環境で暮らし、自分らしい最期を迎えたいというニーズを受けて、介護施設や自宅といった病院以外の場所での看取りが注目されています。そこで必要性が高まっているのが看取りケアです。

背景には、超高齢化の問題や医療体制の現状があります。日本では、この先ますます高齢化が進んで死亡者数が急増し、死期の近い高齢者を受け入れる病院のベッド数が足りなくなると予想されています。看取り場所の不足を補うために、介護施設における看取り機能を強化することが求められているのです。

今回は、現状と背景、介護職の役割など、看取りケアについて知っておきたい基礎知識を紹介します。

看取りケアとは

公益社団法人「全国老人福祉施設協議会」は、「看取り介護実践フォーラム」(平成25年度)において、看取りとは「近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること」と定義しています。(出典:全国老人福祉施設協議会『看取り介護指針・説明支援ツール(平成27年度介護報酬改定対応版)』)

「看取りケア」は、死期の近づいた人が、人生の最期を自分らしく穏やかに迎えられるよう、苦痛やストレスをできるかぎり少なくして生活の質を高めるための介護のことです。「看取り介護」と呼ばれることもあります。

ターミナルケア、緩和ケアとの違い

まず看取りケアとは、主に自宅や介護施設で、近い将来、人生の最期を迎える人に対して行われる介助や介護を中心としたケアを指します。

一方のターミナルケアは、主に医療現場で、病気などで死期が近くなった人に対して行われる医療を中心としたケアのことで、終末期医療と訳されます。緩和ケアは、主に、がんなどの命を脅かす病気にかかった患者の身体的・精神的な苦痛を和らげるための医療的なアプローチで、終末期にかぎらず、病気の治療と並行して行われます。ターミナルケアは、緩和ケアの一部と考えることができます。

看取りケアの必要性が高まっている背景

戦後間もない1950年代、自宅で最期を迎える人の割合は約8割を占めていました。その後、次第に医療機関での死亡が増え始め、2000年代には約8割に達して、自宅での死亡と形勢を逆転します。日本では長年の間、病院が最も一般的な最期を迎える場所だったのです。しかし近年、社会情勢の変化とともに「人は病院で亡くなるもの」という常識も変わりつつあります。

最大の要因は、超高齢化の影響です。日本では、このままのペースで高齢化が進むと、死亡者数が急増して人口が減少する「多死社会」が到来すると言われています。厚生労働省によると、団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年には、死亡者数は約168万人に上ると見込まれています。(出典:令和2年度『厚生労働白書』)

多死社会は、国の医療財政をさらに圧迫するほか、看取り場所の不足という問題を生むとして懸念されています。死亡数が増える一方、病床数は削減傾向にあるため、死期の近い高齢者を受け入れるベッドが足りなくなると予想されているのです。今後は在宅や介護施設での死亡が増える見込みで、実際に近年は、医療機関以外での死亡が微増傾向にあります。ただ、これからの超高齢化社会ではますます核家族化が進むほか、少子社会においては、介護する家族のいない一人暮らしの高齢者が増えると予想されます。病院に代わり、介護施設での看取りが一般化していくのは自然な流れでしょう。

また、人々の死への意識も大きく変化し始めています。日本では、国民皆保険制度のおかげで、1~3割程度の負担で手術などの高度な治療を受けることができます。そのため、病気の高齢者が重症化して自分で食べることができなくなった場合も、点滴や胃ろう(胃に穴を開けて直接栄養を送り込む装置)による延命治療が行われることが少なくありません。もちろん「医療の力を借りて少しでも長生きしたい」という個人の意志は尊重されるべきですが、最近では尊厳死への関心が高まり、延命治療を望まず、住み慣れた環境で自然に死を迎えたいという人が増える傾向にあります。

こうした社会情勢を背景に、介護施設での看取りの必要性は増大しています。2000年に国は、高齢化による社会保障費の増大や単身高齢世帯の介護問題を解決するため、社会で高齢者を支えていく仕組みとして、介護保険制度を導入しました。さらに2006年には、介護職の負担を考慮して、介護報酬に看取り介護加算を創設。介護施設における看取り機能を強化する方向に動いています。

看取りケアにおける介護職の役割

では、看取りケアでは、実際にどんなことをするのでしょうか。看取りケアにおける介護職の主な役割、具体的なケアの内容を紹介します。

身体面のケア

食事や排泄、入浴といった日常的なケアは、看取りケアの基本です。いずれも要介護者本人の意向を尊重しながら、苦痛やストレスが少なくなるよう、体の状態に合わせて細やかに対応していかなければなりません。

終末期の高齢者は食べる量が減る場合がありますが、無理強いは禁物です。まずは原因を探り、担当の医師や栄養士とも相談しながら無理なく食べられる方法を見つけていくようにしましょう。例えば、食べ物がうまく飲み込めない嚥下障害がある場合、食道に入るはずの食べ物が気管に入ることで「誤嚥性肺炎」が起こりやすくなるので、食べ物にとろみをつけたり、ミキサーにかけたりといった工夫が必要になります。

排泄介助は、プライバシーに配慮しながら、本人の動ける範囲や体の状態に合わせた方法で行います。トイレまでの歩行が難しい場合や夜間で転倒のリスクがある場合などには、適宜ポータブルトイレを利用します。体の状態によっては、本人の希望を確認しながらおむつを使うこともあります。
体調がよく本人が希望する間は、気分をリラックスさせるためにも、できるかぎり入浴を行いましょう。体調の悪化などで入浴が難しくなれば、タオルなどで体をきれいにする清拭や部分浴、洗髪などをして全身の清潔を保ちます。

また、寝たきりになって自分で寝返りが打てなくなると、圧力がかかっている場所の血流が悪くなって褥瘡(床ずれ)ができやすくなります。褥瘡を予防し、長時間同じ姿勢でいる苦痛を緩和するためには、一定の間隔で体位交換する必要があります。

精神面のケア

不安や恐怖といった精神的な苦痛を緩和することも、看取りケアにあたる介護職の重要な役割の一つです。「今日の気分はいかがですか?」「気がかりなことはありませんか?」といったこまめな声かけを心がけ、要介護者の話や悩みに真摯に耳を傾けましょう。要介護者に孤独を感じさせないよう、常にその気持ちに寄り添うことが大切です。

家族へのサポート:グリーフケア

看取りケアの対象は、要介護者本人だけではありません。その家族の不安や苦痛を取り除くケアも不可欠です。家族と会う機会があれば、要介護者の状態を説明するなどして、日頃からしっかりとコミュニケーションを取って信頼関係を構築しておきましょう。

常に要介護者の身近でケアする介護職は、本人の声を聞き取りやすい立場にあり、家族以上にその意向を把握している場合があります。家族の言葉にも耳を傾けつつ、要介護者の意向を適切に家族に伝えて、本人がより良い最期を迎えられるよう力を尽くしましょう。家族の誰かが一人でストレスを抱え込んだり、無理をして体調を崩したりすることがないようサポートし、そのときどきの悩みや課題への解決策をアドバイスすることも必要です。

要介護者が最期を迎えた後、家族は大きな悲しみを抱えることになります。家族が死を受け入れ、悲しみから立ち直るのをサポートするケアを「グリーフケア」と呼びます。看取りケアに当たる介護職には、グリーフケアへの心構えや知識、スキルも求められます。また、質の高い看取りケアを行い、最期を迎えた後に、故人の生前の様子やどんな介護をしたかを遺族に伝えることが、グリーフケアにつながります。介護の段階からすでにグリーフケアは始まっているといえるでしょう。

看取り介護加算とは? 概要と算定要件

前述の通り、将来の「多死社会」の到来に備えて、施設の利用者がその人らしい最期を迎えられるよう支援することを目的に、2006年に介護報酬制度に加えられたのが「看取り介護加算」です。施行以降、数回の改定が加えられています。

看取り介護加算を申請するのも加算を受けるのも介護施設なので、現場で働く介護職には直接の関係はなさそうに思えますが、実は影響は少なくありません。例えば、加算の仕組みができて以降、看取りに対応する施設は増加傾向にあります。介護職が看取りを経験する機会は今後さらに増えていくでしょう。また、このような制度があること自体、看取りケアの推進に力を入れていくという政府の姿勢の表れであり、その影響を受けて介護業界全体の看取りへの意識も高まっています。

看取り介護加算の対象は、特別養護老人ホーム、グループホーム、特定施設入居者生活介護です。報酬を加算する場合には、まず、その利用者が、医師が回復の見込みがないと判断している、介護に関する説明を受けたうえで、本人と家族が同意しているといった基準を満たしている必要があります。
また、施設側には、「看取り介護加算(Ⅰ)」「看取り介護加算(Ⅱ)」という2種類の算定条件が定められています。このうち(Ⅰ)の方はどの施設に共通で求められる条件です。一方の(Ⅱ)は2018年の改定で新設されたもので、医療提供体制を整備し、さらに施設内で実際に利用者を看取った施設をより高く評価するための要件です。

看取り介護加算(Ⅰ)

看取り介護加算は、次の5つの条件を満たした場合に算定されます。

1. 常勤の看護師を1名以上配置し、当該指定介護老人福祉施設の看護職員により、又は病院若しくは診療所若しくは指定訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保していること。
2. 看取りに関する指針を定め、入所の際に、入所者又はその家族等に当該指針の内容を説明し、同意を得ていること。
3. 医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者による協議のうえ、当該指定介護老人福祉施設における看取りの実績等を踏まえ、適宜、看取りに関する指針の見直しを行うこと。
4. 看取りに関する職員研修を行っていること。
5. 看取りを行う際に個室または静養室の利用が可能となるよう配慮すること。

【算定できる単位数】
死亡日以前4日以上30日以下:1日につき144単位
死亡の前日および前々日: 1日につき680単位
死亡日:1日につき1,280単位

看取り介護加算(Ⅱ)

看取り介護加算(Ⅰ)の要件を満たしたうえで、次の1~4の医療提供体制を整備し、さらに施設内で実際に看取った場合に算定されます。ただし、看取り介護加算(Ⅰ)を算定している場合は、算定されません。

1.  入所者に対する緊急時の注意事項や病状等についての情報共有の方法及び曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法や診察を依頼するタイミングなどについて、配置医師と施設の間で、具体的な取り決めがなされていること。
2.  複数名の配置医師を置いていること、若しくは配置医師と協力医療機関の医師が連携し、施設の求めに応じて24時間対応できる体制を確保していること。
3.  上記の内容につき、届出を行っていること。
4.  看護体制加算(Ⅱ)を算定していること。

【算定できる単位数】
死亡日以前4日以上30日以下:1日につき144単位
死亡の前日および前々日: 1日につき780単位
死亡日:1日につき1,580単位

今後ますます必要性が高まる看取りケアへの心構えは必須

これから自宅や施設での看取りを望む高齢者はますます増え、看取りケアの必要性も高まるでしょう。高齢者の最期に寄り添うには高いスキルが求められるうえ、負担も少なくありません。しかしニーズが増えている以上、介護職には、どんな施設で働くにしても看取りケアへの心構えが必須です。普段から情報収集をする、研修や勉強会に参加するなどして、看取りケアに関する知識を養い、スキルを高める努力をしておきましょう。

この記事のライター

ささえるラボ編集部です。
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