マイナビ福祉・介護のシゴト
看取りが辛くて辞めたい…私は介護職に向いていないの?

看取りが辛くて辞めたい…私は介護職に向いていないの?

【 回答者:古畑 佑奈 】誰よりもつらさがわかるのはむしろ介護職の強み


本日のお悩み

看取りがどうしてもつらいのですが、私は介護職に向いていないのでしょうか…

誰よりもつらさがわかるのはむしろ介護職の強み

つらい気持ちがとてもよくわかって、思わず質問を読んで深くうなづいてしまいました。
じつは、私も特養で働き始めた1年目のころ、同様のことで悩んでいました。
自分のメンタルが持たないから辞めようかな、と考えていました。

質問者さんは、今仕事をはじめてどのくらいでしょうか?
あくまでも私の経験なので、余計に苦しい思いをさせてしまったら申し訳ないのですが、なぜ私が今まで仕事を続けられているかを少しお話したいと思います。

専門家・古畑さんの辛かった看取り経験

介護の仕事をするまで、人の「死」に向き合って考えたことがなかった私は、ただただ「悲しい」「さびしい」という思いだけ抱えて、看取りを別れ=苦しいだと思っていました。

穏やかに過ごしていた方の最期を穏やかな形で送ることができができず、泣いて仕事ができなくなった私を、当時の上司は厳しくあたたかい言葉で叱りました。

そして、「○○さんに教わったことを次に生かすことが仕事だ」と言われ、考えました。
それからもさまざまな本を読んだり、人と話したり、看取りケアを経験し「死」は単に別れやおわりではないのかもしれない、と思うようになりました。

「死」と向き合うのは介護の仕事だけではないはず

質問者さんは、人が死んだらどうなると思いますか?
ある人は「土に還る」といい、ある人は「星になる」といい、ある人は「無になる」と答えるかもしれません。

人それぞれに死生観をもっていて、そこに正解はありません。
人はみな平等に最期を迎えるにもかかわらず、私は「死」がどういうものなのかを学んだり、考えたりする機会がほとんどないまま大人になってしまいました。
もしかしたら、質問者さんもそうなのかもしれません。

介護の現場は、つねに死と向き合いながら、です。
でも考えてみると、私たちの生活は、みな同じはず。
生きることには必ずリスクを伴います。

つまり、介護の仕事を避けたとしても、いつかは「死」と向き合わなければならないときが、必ず訪れるのです。

ご家族にとっての大きな支えに

とはいえ、やっぱりつらいし悲しいし、慣れないです。
その気持ちは、むしろ持ち続けたほうがいいと思っています。

家族や親しい人は、看取りにより大きな感情の波を持つと思います。
そのとき、その感情の波を理解してくれる介護職がそばにいてくれることが、とても大きな支えになるのではないか、と思うのです。

「グリーフケア」を学んでみても良いかもしれません

質問者さんのつらい気持ちは、どこからくるものでしょうか。
そこに向き合い、「死」がどういうものなのかを一度自分の言葉にしてみるのもいいかもしれません。

また、もしかしたら、同じ職場にも同様につらい思いをしている人もいるかも。
グリーフケアといったことをチームで学んでみると、少し客観的に自分の心の動きをみることができるかもしれません。

辛い気持ちを理解できることは大きな「強み」です

質問者さんが、つらい気持ちを理解し共感できることは、大きな「強み」だと思います。
自分の心を無理に変えようとはせず、向き合い考える時間を大切にしてみてください。

なるべく、考えたことを心の許せる職場の人と話せると楽になるかもしれません。
つらいときにはつらい、と発信するのも大切なので、また困ったらいつでもご相談いただければと思います。

「介護職員」の求人を見る
専門家への質問はこちらから!

この記事のライター

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

関連する投稿


介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

自立支援介護とは、介護が必要になった高齢者が、可能な限り自分の力で生活できるように支援する介護のことです。高齢化が進む日本において、デイサービスなどを提供する介護施設でも近年、自立支援介護は注目されています。この記事では、自立支援介護の4つの基本ケアや実際の取り組みについて専門家が解説します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

年末年始は、クリスマス会や忘年会などさまざまなイベントが行われる時期です。介護施設でもこれらのようなイベントを実施すると、利用者さんたちの活力を高めたり、親睦を深めたりする良い機会になります。この記事では、年末年始のイベントを企画するにあたって準備したいこと、当日取り入れられるレクリエーションなどを紹介します。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームなどの介護施設では、夫婦での入居が認められています。長年連れ添った家族と同じ施設に入れることは安心感がある反面、施設に入居をしているにもかかわらず、老老介護になってしまうというリスクもあります。この記事では、夫婦で入居している方に介護職員ができるサポート方法を専門家が解説します!【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


第128話 利用者さんへの声かけ/ほっこり介護マンガ

第128話 利用者さんへの声かけ/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


【2024年最新版】介護職の離職率が過去最低に!|離職率が下がった背景や今後の展望について解説

【2024年最新版】介護職の離職率が過去最低に!|離職率が下がった背景や今後の展望について解説

令和5年度介護労働実態調査によると、介護職の離職率が過去最低の13.1%となりました。この背景には、何があるのでしょうか。考えられる要因と、今後の展望について社労士の山本先生に解説していただきます!【執筆者/専門家:山本 武尊】


マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【こころとからだのしくみ】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【医療的ケア】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【総合問題】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

自立支援介護とは、介護が必要になった高齢者が、可能な限り自分の力で生活できるように支援する介護のことです。高齢化が進む日本において、デイサービスなどを提供する介護施設でも近年、自立支援介護は注目されています。この記事では、自立支援介護の4つの基本ケアや実際の取り組みについて専門家が解説します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

年末年始は、クリスマス会や忘年会などさまざまなイベントが行われる時期です。介護施設でもこれらのようなイベントを実施すると、利用者さんたちの活力を高めたり、親睦を深めたりする良い機会になります。この記事では、年末年始のイベントを企画するにあたって準備したいこと、当日取り入れられるレクリエーションなどを紹介します。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】