介護職員が妊娠した際の報告や働き方など、知っておきたいこと
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この記事では、介護職の方が妊娠した際に知っておきたいことや注意したほうがよいことを紹介します!
介護職が妊娠をしたらするべきこと3つ
まず、妊娠したかも?と思ったらやるべきことは以下の3つです。
2.妊娠が確定したら職場に報告と相談をする
3.妊娠・出産に関する制度を確認する
■1.産婦人科を受診する
しかし、妊娠検査薬の結果はあくまで目安であり、使い方を間違えた場合には正確な判定ができないこともあります。また、妊娠の経過が問題なく進んでいる状態なのか、子宮外妊娠や胞状奇胎など妊娠を継続できない状況なのかの判断ができません。妊娠検査薬で陽性が出たからと言って自己判断せず、必ず産婦人科を受診して確定診断をしてもらいましょう。
では、妊娠に気付いてどれくらいのタイミングで産婦人科を受診したらよいのでしょうか。受診のタイミングは、生理予定日から2週間以降、前回の生理開始日から6週間後を目安にしてください。妊娠検査薬で陽性が出ている場合でも、1週間ほど時間をおいてから受診すると確定診断がしやすくなります。
なぜなら、エコーで妊娠が確認できるのが4週目後半から5週目以降だからです。それ以前だとエコーで判断できず再受診になる可能性もあります。病院に何度も通う労力や受診料を考えると、確実に診断できる可能性の高い状況で受診するのがよいでしょう。
妊娠後の仕事のことを考え、受診時には介護職であることを伝えておくと安心です。妊娠が確定したときには、妊娠中に気を付けることを具体的に聞きやすく、産婦人科医もアドバイスがしやすくなります。また、職場に妊娠報告をする際にも、医者からのアドバイスが具体的であれば仕事上で気を付けるべきことについて説明しやすくなるでしょう。
■2.妊娠が確定したら職場に報告と相談をする
報告と相談の手順ですが、最初の報告は直属の上司に口頭で行いましょう。もし、診断書の提出を求められたら、産婦人科で診断書を発行してもらいます。また、「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」を活用する手もあります。母健連絡カードは働く女性が事業主に提出する全国統一型式のカードで、妊婦や出産後の女性が仕事を続けるうえで気を付けるべき内容について、医師の指導として症状と取るべき対応策を適切に記したものです。ぜひ活用しましょう。
ー同僚や利用者さんへの報告は要相談
そして、施設を利用もしくは入居している利用者さんへの報告は、改めて行う必要はないでしょう。同僚や先輩が上手に配慮している様子や、おなかが目立ってきたタイミングなどで気付かれることが多く、こちらから言わなくても利用者さんに直接聞かれる場合もあります。利用者さんへの報告は、聞かれたら答えるという対応で問題ありません。もし改めて報告する必要があるときには、上司とよく相談し、報告時期と内容を検討したうえで行いましょう。
■3.妊娠・出産に関する制度を確認する
ここからは妊娠・出産の期間に活用できる制度を紹介します。主な制度は以下の4つです。
・出産育児一時金(家族出産一時金)
・出産手当金
・育児休業給付金
■産休、育休制度
産休は、原則産前6週間(多胎の場合8週間)、産後8週間取得が可能です。また、育休については原則1歳未満までとされていますが、保育所への入所ができなかった場合などは2歳まで取得が可能です。また、令和4年には法改正が行われ「産後パパ育休(出生時育児休業)」や育児休業の分割制度なども登場しています。※
出典:厚生労働省 育児休業制度特設サイト
■出産育児一時金(家族出産一時金)
子ども1人につき50万円であるため、双子の場合は2倍の金額が支払われる仕組みです。
出典:厚生労働省 出産育児一時金の支給額・支払方法について
■出産手当金
産休の期間(産前6週間と産後8週間)の範囲内で標準報酬日額相当額の2/3の金額が1日あたり支払われます。標準報酬日額相当額とは、支給開始日以前の継続した12か月間で各月の標準報酬月額を平均した額をさらに30日間で割ったものです。
30万円÷30日=1万円(標準報酬日額相当額)
1万円×2/3=約6667円(1日あたりの出産手当金)
出典:厚生労働省 働く女性の健康応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート
■育児休業給付金
・子どもが1歳(最長2歳)になるまでに育児休業を取得している
・育児休業期間は給与の支払いがない
上記を満たした場合、休業前賃金の67%相当額の支払いが行われます。ただし、181日目以降からは50%相当額となるので注意しましょう。
また、2022年10月からは、この給付金と別枠で「出生児育児休業給付金(産後パパ育休)」も設けられているため制度などをよく確認しましょう。
出典:厚生労働省 働く女性の健康応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート
介護職の妊娠で多い4つの悩み

ここからは、特に多い4つの悩みとその解決策を紹介します。
■1.妊娠期間中に避けた方がよい仕事は?
また、妊娠により精神的に不安定になった場合は、要介護者の症状によっては上手く対応できないケースもでてきます。その際は我慢をせず、上司や同僚に相談して対応を組織全体で検討してもらうようにしましょう。実際にどのような業務から外れるのが適切であるかは、上司とよく相談して決定しましょう。
万が一、妊娠報告後も仕事内容を変更してもらえずに困っているときには、産婦人科医に相談して母健連絡カードや診断書を作成してもらい、事業所に提出してください。母健連絡カードが提出された事業所は、カードの記載内容に応じた適切な措置を講じなくてはいけません。診断書も同様の効果があります。
■2.夜勤を続けても大丈夫?
また、要介護者の安全と快適性を確保するためにも、妊娠中の夜勤は担当しないのが適切でしょう。複数体制を導入している事業所で、自分自身がしばらくは夜勤を続けたいと思っている場合は、産婦人科医に了解を得たうえで、上司といつまで続けるかを決めてください。夜勤を続ける場合も、自分の体力や経験値を過信せず周りに配慮をしてもらうことを忘れてはいけません。しっかりと健康管理に努め、少しでも異変を感じたら夜勤から外してもらうことを考えましょう。
■3.つわりがひどく、休みが続いている
つわりがひどくて休みが続くときには、休職も視野に入れましょう。つわりでの休職は法律で認められている正当な権利です。ゆっくり休んで体調を整えてから仕事復帰をしたほうが、同僚や要介護者も安心できるでしょう。 実際に休職するときには、上司にその旨を連絡します。診断書の提出は体調がよくなってからでも大丈夫ですが、早めの提出を求められたときには、郵送や家族に持って行ってもらいましょう。
4日以上連続で休んだ場合は、傷病手当金の対象となる場合があります。傷病手当金を申請する場合は、医師に診断してもらう必要があります。つわりがひどいときには必ず産婦人科を受診し、妊娠つわりの診断を受けておきましょう。傷病手当金では、出産手当金と同様に、「標準報酬日額相当額の2/3」の金額を日額で受け取ることができます。
■4.マタハラを受けて困っている
もし、妊娠を理由に嫌がらせを受けている場合には、1人で抱え込んではいけません。信頼できる上司や身近な人に相談しましょう。マタハラ(マタニティハラスメント)を受けて周りに相談したけれど解決しないときや、どこに相談していいかわからないときには、各都道府県の労働局の雇用環境・均等部(室)や、はたらく女性の全国ホットラインなどの専用相談窓口に相談してみる方法もあります。事業主は、妊娠を理由にしたハラスメントへの対策を講じることが義務として課せられています。マタハラを受けても、1人で悩まないことが、後輩の働く環境改善にも重要な意味を持ちます。
介護職の妊娠中の働き方
■妊娠中でも対応可能な業務には積極的に取り組む
例えば、書類の作成やレクリエーションの企画、清掃、食事介助などです。とはいえ、つわりの程度や日によって体調も異なると思うので、繰り返しにはなりますが、無理のない範囲で可能な限り率先して取り組むようにしましょう。
■体調を最優先にする
■周囲への感謝と気遣いを忘れずに
介護職が妊娠中に注意すべきこと
■介護職が妊娠初期の注意点
この時期にできる業務としては、着脱介助・排泄介助・おむつ交換・掃除・洗濯・介護記録の作成などがあげられます。
一方で、見た目には変化がないものの、転倒リスクのある仕事や、つわりが重い場合は食事介助や排泄介助などは避けたほうがよいでしょう。
■介護職が妊娠中期の注意点
基本的にできる業務は初期と変わりませんが、つわりが落ち着いてきていれば、食事介助や排泄介助などに入ることができるようになるでしょう。また、体調がよい場合レクリエーションの企画・進行なども可能です。
■介護職が妊娠後期の注意点
この時期も初期や中期と同じ業務の進行ができますが、立ち作業の多いものや、しゃがむ必要がある業務はお腹への負担になりやすいので、できる限り避けるようにしましょう。レクリエーションの企画や書類関連の業務など椅子に座って行えるものがおすすめです。
出産後の働き方も妊娠中から考えておこう

もちろん、出産後の体調や状況によってこれらは変化することもあると思います。それでも意向を伝えておくことはスムーズな復職に繋がるため必ず行いましょう。
ここからは出産後の主な働き方の選択肢を紹介していきます。
■同じ職場で同じ働き方をする
また、復帰時の盲点となるのが、自分自身の健康管理です。「体力に自信があるからすぐに復帰しよう」と考えている人でも、なかなか体調が戻らないというケースは少なくありません。小さな子どもは体調を崩しやすく、働きながら夜中看病することや、夜泣きがひどく睡眠時間をあまりとれないまま仕事に行くということも考えられます。出産前と同じように働く場合には、自分の体調もよく考慮したうえで、復帰時期を検討することが大切です。復帰後の生活については、同じ経験をしている先輩や同僚などに話を聞いておくと、イメージしやすいでしょう。
■働く時間を短くする(短時間勤務制度の活用)
時短やパートを選択すると、必然的に収入も減少します。子どもや自分の体調を考えて働く時間を短くした結果、生活が苦しくなってしまうことも考えられます。働く時間を短くするときには、経済的な状況についてもよく検討しておきましょう。
短時間勤務制度では、3歳未満の子どもがいる場合、1日の勤務時間を短縮することができます。企業や事業所によっては小学生未満、小学校卒業までなど短時間勤務制度を長く活用できるようにしている場合もあります。そのほか、所定外労働の制限(残業の免除)や子の看護休暇などもあるので、自身の働き方にあわせて制度を活用していきましょう。※
出典:厚生労働省 育児休業制度特設サイト
■産休を取らずに退職する
また、体調によっては休みが続くことや、想定より早く辞めざるを得ないこともあります。上司とよく相談のうえ、引継ぎは早い段階から進めておくようにしましょう。
最後に:妊娠中は無理をせず周囲の協力を得ることも大切
妊娠中はストレスも感じやすくなっています。母体のストレスは子どもの成長にも繋がると言われているため、ストレスを抱え込みすぎず、周囲を頼りながら妊婦生活を送っていきましょう。
■マンガでまとめ♪|介護職の妊娠中の働き方


マンガ監修:望月太敦(公益社団法人東京都介護福祉士会 副会長)
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