本日のお悩み
訪問介護で働き始め、数回給与をいただきました。
でも、雇用契約書に記載されている時給で計算した金額と、実際の給料に1万円近く差があります。
上司には加算の関係で計算より安くなるかもしれないとは聞いていましたが、ここまで差があるとは思っていなかったので正直ショックです。
実は給与明細もまだもらえていないのでもらい次第確認をとりますが、訪問介護ではこの様な給与問題のケースはよくある事でしょうか?
雇用契約書の時給は交通費込みの時給で、実際の給与を時給で割ると400円も安くなるので、このまま続けるか悩んでいます。
相談者:あー さん
処遇改善加算と給与の関係はなかなか複雑です
「上司には加算の関係で」とあるので、介護職員処遇改善加算のことかと思いますが、この制度はなかなか理解しにくい制度でもあります。
■介護職員処遇改善加算とは
介護職員処遇改善加算は、介護職員の賃金改善に充てることを目的としているため、「事業者は介護職員一人当たりに一律に支給しなければならない」といったように思う人もいるかと思います。
しかし、実際はそうではありません。
介護職員処遇改善加算による賃金改善の方法は、ベースアップ、定期昇給、手当、賞与、一時金等があります。
賃金が改善されるのであれば、どれを選択するかは事業者にゆだねられており、労働者との関係ではその選択で取り扱いが異なってきます。
■加算の金額が変わっても、基本給は簡単に変えられません
例えば、仮にベースアップ、定期昇給で賃金改善を行った場合
この処遇改善加算による賃金改善分も含めて、労働者との関係では基本給になりますので、処遇改善加算の交付金額が減ったからといって、その賃金額を減額することは容易にはできません。
「雇用契約書に記載されている時給」が処遇改善加算による賃金改善も含めて金額が雇用契約書に記載されていたのでしたら、処遇改善加算の交付金額が減ったからといって、あなたの時給額を減額することは基本的にできません。
■加算分が賞与で支給される場合は、金額の増減があることも
これに対して、賞与・一時金等は一般的に労働者への支給額を変更することも可能となっています。
賞与・一時金等で賃金改善を行った場合は、支給額が減ることもあると思いますし、そのような企業も多数あるかと思います。
■給与明細は必ずもらい、専門家に相談を!
給与明細ももらえていないとのことですが、所得税法で、給与を支払う者は給与の支払を受ける者に支払明細書を交付しなくてはならないと定められていますので(所得税法231条)、しっかりともらった上で内容を確認してください。
このように、処遇改善加算の取り扱いは難しいので、弁護士・社労士等の専門家に相談するのが良いかと思います。
伊達総合法律事務所 代表弁護士