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介護職は、男性は採用されづらい?男性介護職に期待されることは?未経験の49歳男性でも採用してもらえますか?

介護職は、男性は採用されづらい?男性介護職に期待されることは?未経験の49歳男性でも採用してもらえますか?

男性介護職だからこそ力が発揮される2つのこととは?介護業界にダイバーシティ&インクルージョンはあるのか?【回答者:伊藤 浩一】


本日のお悩み

49歳男性です。私は長い間別の仕事で働いてきましたが、母の介護に伴いやむをえず
退職しました。
昨年末に無事看取ることができ、これからの人生を考えたときに介護の仕事をしたいと
思っています。

ただ、介護職は男性は採用されない(されにくい)ということを目にし、不安に思っています。
やはり、おむつやお風呂の手伝いなどがあるからでしょうか?
男性で、40代や50代で、しかも未経験でも採用していただけるところはあるでしょうか?

いまさら大きな施設で働くのは自信がなく、第一希望は訪問介護でヘルパーをやってみたいと
考えております。
ヘルパーは資格が必要とのことで、取得に向けて学校に通うつもりでおります。
ぜひ、専門家の方にアドバイスをいただきたいです。

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男性介護職だからこそ力が発揮される2つのこと

伊藤 浩一のページ

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/14

茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員

世界的に見て男性社会であると批判を受ける日本の中で、介護現場は女性が活躍している社会ですよね。

実は、私が介護職で入職した2001年、その特別養護老人ホームでは男性介護職員の第1号が私でした。設立20年の歴史ある施設でしたので女性が支える組織にぽつんと入ることはさぞかし大変だったろうと想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろさまざまな場面で頼っていただき、やりがいを感じていました。どんな点で力が発揮できたかをお伝えします。

1.男性入居者の介護

施設での入居者の男女比は「7割女性、3割男性」、肌感覚ですがこの辺がスタンダードではないかと思います。これは、そもそも平均寿命が女性の方が長いという根拠に基づきますよね。

しかし、この3割の男性が女性介護職員からはたいへんな場合があります。それは、体の大きさです。
体が大きい=体重が重いということになりますので体力的にも介助が大変な場合があります。そんな時は、率先して助けに入りました。また、入居者からのセクシャルハラスメントの問題が生じる時があります(過去の記事)。この際は、男性として同性介護を行うことができることも力が発揮できた点でした。

2.女性入居者の介護

女性に対する介護で男性の力が発揮できる面もたくさんあります。
例えば、食事やレクリエーションなど、お声をかける際、女性の介護職ではうまくいかないが男性の介護職員の方がうまくいく場合があります。年下の女性に対しては姿勢や態度などに厳しいが、男性には優しい方は意外と多いように感じます。いくつになっても異性を意識するというのはありますよね。

どんな社会でもバランスが大切

日本で200万部、全世界600万部の大ベストセラーとなった「話を聞かない男、地図が読めない女」という本があります。この本では男性と女性の違いを脳科学から論じています。
男性の脳は、空間認知能力・論理的思考が得意なのが特徴で、それ以外にも地位や権力の獲得、目標の達成を目指す傾向があるそうです。
そして、女性の脳の特徴は、言語能力や共感能力が優れており、コミュケーションや人間関係が得意なんだそうです。

このような特徴は一概に全ての方には当たらないということが前提ですが、狩猟時代まで遡り人間の進化を考察すると、男性は狩猟をするために筋肉の発達や空間認識能力が発達し、女性は木の実や果実を採ったり育児をするために手先が器用になりコミュニケーション能力が高くなったという説が有効なんだとか。

LGBTQの職員も、利用者さんも、仲間です

確かに、言われてみればそんな感じがするなと思いますが、要するにバランスが大切という話ではないでしょうか?
どんな社会でも男性ばかりでもうまくいかなし、女性ばかりでもうまくいかない。
なので一緒に働き始めればその役割が自然と明確になりバランスが図れていくのだと思います。

ご質問にそって男女の枠組みだけで記述してきましたが、現代社会、LGBTQの方達も協働する仲間であって、ご利用者にもいらっしゃいますよ。

性で分断せず、調和を図れる介護職に

もしかしたら「男性はこうあるべき、女性はこうあるべき」にこだわりすぎている男性が多いのが日本の現状かもしれません。多様性を受容していくことが必要ですね。

安心して介護職として働いてください。
その際、多様性を認め、性で分断せず調和を図れる、介護職を共に目指していきましょう。

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介護業界にダイバーシティ&インクルージョンはあるのか?

49歳で介護業界への転職をお考えとのこと。「大歓迎です!」と私が書いたとしても
質問者さんの不安は取り除けないでしょう。

ご質問から質問者さんが抱えている不安は「性別」「年齢」「経験」の3点のようですね。
それでは一つ一つ見ていきましょう。

1.性別についての不安

実は私が20年前、介護職として特別養護老人ホームに就職した際、私が初の男性介護職員でした。
当時はお年寄りに「男がする仕事じゃない」なんて拒否されたりもしましたが、時代も変わり、
今や介護職員の男女比は、男性3割:女性7割くらいまできたのではないでしょうか。

現在の日本は、女性の社会進出が課題となり、企業の役員の男女比や国会議員の男女比が
日本の場合、世界的に見て女性の割合が少ないと非難を浴びています。
つまり、バランスが求められているわけですね。

女性の社会進出に対して、男性の家庭進出も叫ばれています。
介護の仕事も男女比のバランス化が進んでいますので、性別は気にしないで大丈夫です。

2.年齢についての不安

質問者さんも「人生100年時代」という言葉を耳にしたことがあると思います。
2019年の日本の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳といずれも過去最高となりました。
また、継続雇用制度は65歳まで延長となり、今年の4月から70歳までの雇用継続も義務化と
なりました。

つまり、働く期間は伸びている訳です。先日、マクドナルドのクルーの最高年齢が新聞記事に
掲載されていました。
なんと92歳ですって。

また、今話題の渋沢栄一の言葉に「40、50は洟垂れ小僧、60、70は働き盛り、90になって迎えが来たら百まで待てと追い返せ」とあるようです。
すると、49歳は、洟垂れ小僧、まだまだこれからですね。私もです笑。

3.経験についての不安

これは、良く質問がきます。
介護は未経験こそ力が発揮できる仕事ですよ。

詳しくはこちらを御覧ください。

介護職に向いている人の5つの特徴と、異業種からの転職事例【無資格・未経験でも大丈夫!はじめての介護職③】 | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/188

はじめて介護の仕事に挑戦する皆様に向けて、介護職に向いている人の特徴や異業種からの転職事例を教えていただきました。特別養護老人ホームで施設長も務める伊藤浩一さんが、これまでの経験をもとに優しく解説しています。

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介護業界にダイバーシティ&インクルージョンはあるのか?

質問者さんは「ダイバーシティ」という言葉をご存知ですか?
お台場と勘違いされる方がよくおりますが「diver city=多様性」という言葉です。

今、日本は人口減少社会となっています。
つまり生産人口減少を受け、男女、LGBTQ、高齢者から若者、外国人、障がい者等、多様な人材が協働する状況を作っていくことが必要となった訳です。
しかし、このダイバーシティは、「ダイバーシティ&インクルージョン」と続きます。

多様な人材がいるだけでなく、互いに認め合い活躍している状況(インクルージョン=包括)を
つくることが重要なのです。
実はこれ、日本だけでなく、世界的には当たり前の概念となっています。

では、日本の介護業界は、この「ダイバーシティ&インクルージョン」、どれくらい浸透している
でしょうか?
浸透度としてはまだ、発展途上かもしれません。

最後に

質問者さん、是非介護業界でお待ちしています!
一緒に、介護業界のダイバーシティ&インクルージョンを推進しましょう!

そして、お母様のお看取りを経験された質問者さんの力は、必ず介護の現場で花咲くと考えます。

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この記事のライター

茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)

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