本日のお悩み
汚部屋寸前の家に訪問しています。
掃除はサービス外なのでむやみに行うわけにもいかず、管理者にも相談しましたが
「もっとひどい家もあるから」ということで我慢しています。
床が濡れていたりすることもあり、その方の家に行った後は毎回靴下を捨てているくらいです。
私が潔癖すぎるのでしょうか?
ご利用者の意向や情報を集め、客観的な意見として上司にご相談を!
ご質問ありがとうございます!
衛生的にもとても環境が悪いご自宅のご様子ですね。
毎回靴下を捨てているとのことで、家屋の汚れの程度が想像できます。
■3つのケース、それぞれの解決方法
質問の内容ですが、少しでも解決できるように回答させていただきます。
訪問介護のサービスの趣旨は、ご本人に対して出来ない行為をサポートする事にありますよね。
清掃が行えていないのであれば、清掃を実施することもサービスの一環として位置づけられているかと思います。
ただし、ご利用者が使用する範囲に限定されていますので、それ以外の場所は難しいかと思います。
ここで問題となっている可能性があるのが、以下の3点です。
① 利用者の生活空間であるのにも関わらず、ケアプランにサービス内容として位置づけられていない
こちらの場合、介護支援専門員がその生活状況や環境について知らなかったり、気づいていない
場合が考えられます。
必ずご本人宅に訪問しているはずですので、考えにくいとは思いますが、コロナの影響もあり
玄関口でのやり取りだけだとすると状況把握は困難です。
この場合は事業所から介護支援専門員に連絡し、家屋状況や生活状況と共に、劣悪な環境と
なっている旨をサービス担当者会議の際に伝え、改善策を検討していくといった方法が考えられます。
② 状況は把握しているが、ご利用者の使用空間とは認められずにサービスに位置づけられない
このような場合も考えられますね。
やはり介護支援専門員に現在の家屋状況と、衛生的な改善が必要な旨を伝えましょう。
保険外サービスなども視野に入れて、サービス担当者会議等で家屋環境の改善を皆さんで
検討していくのも良いでしょう。
単に『汚いか、綺麗か?』の議論は個人の価値観で変わっても来ますが、ご利用者の方には、
その方に合った衛生的な環境で過ごして頂きたいですからね!
③ 上記の内容では解決できない
ご利用者さんの状態がつかみきれないので的外れかもしれませんが、ご利用者さんと丁寧に
コミュニケーションを取り、少しずつ掃除や片付けが出来るようにサポートする事は
可能でしょうか?
保険内、保険外のサービスを利用するにも、ご本人の意向が重要になってくるかと思います。
ご本人が『特に汚れていない』といった認識ですと、サービスも入りにくい状況になって
しまいます。
まずはご本人の「清潔な環境で過ごしたい」という想いを引き出し、ご本人の困り事として、
解決できればと思います。
ご本人が改善したいと思っているのに、その課題に対して対策を講じないのはまた別の問題に
なってきますからね。
■訪問介護の歯がゆさ解消には、地域の資源を有効活用
訪問介護の場合は、やれること、やってはいけないことが厳密に決められており、
決められたサービス内容を提供するのにも限られた時間内でいっぱいいっぱいかと思います。
歯がゆい気持ちですよね。
質問者さんや事業所だけで抱え込まずに、地域で活用できる資源を見つけてみてくださいね。
もしかすると、そのサービスをケアマネさんにも提案できるかもしれません!
■自分と他の利用者さんを守るために
利用者さんの自宅といえど、不衛生な状態ではアレルギー源がたくさんある状態かと思います。
その後に他の利用者さん宅を訪問することもあるかもしれませんので、質問者さんご自身を
守る事や、アレルギー源を外に持ち出さない為の標準予防対策は徹底して実施してくださいね。
利用者さんにその人らしく生活していただく事が目的であり、清掃をすることが目的では
ありませんが、最低限その人らしく生活できる環境は必須です。
汚れていたり、体力が衰えていることで、その方の動線が変わっている可能性もあります。
ご利用者さんとのコミュニケーションの中での聞き取りも大切になってくると思います。
■ご利用者の声として相談を
最後に、上司の方の『もっとひどい家もあるから』という一言、確かにもっとひどいご家庭も
あるかと思います。
しかし論点はそこではなく、ご利用者にとって住みやすく過ごしやすい環境か?という事と、
ご利用者は綺麗な環境で過ごしたいと思っているのか?という事が肝心です。
ご利用者の意向や情報を集めたうえで、ご利用者の声として相談をしてみるのが良いと思いますよ。
ご利用者さんも訪問介護スタッフも笑顔で過ごせる空間になると良いですね!!
・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士