本日のお悩み
利用者さんのペースに合わせて食事介助していると、介助が遅いことをいつも怒られます。
でも現実人も足りず余裕がないのも事実です。
利用者さんのことと、仕事を回していくことと、どっちを優先させたらいいですか?
主語の置き換えは組織崩壊のサイン
茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもみじ館施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員
危ないです。
質問者さんの勤務先のご利用者が心配です。
なぜ心配かというと、質問者さんが冷静に物事を捉えられない状況に陥っているからです。
わざわざ、解説することもなく、利用者さんと仕事を回すことの二択でどちらが重要かと言ったら利用者さんに決まっています。
こんなことは介護業界以外の方だってわかりますよ。
もちろん質問者さんだって入職前からわかっていたことだと思います。
■これは組織マネジメントの問題です
さて、解決策です。
これは、質問者さんの問題ではありません。
組織マネジメント(管理)の問題です。
質問の食事介助の文言から推測すると、質問者さんは、施設サービスで働いていらっしゃるのでしょう。
おそらく、他にも数名の同僚がおり、その上にはマネジメントの役割を持つ方がいらっしゃると思います。
また、「注意を受ける」との文面から質問者さんは、まだ経験が浅い職員という立場ではないでしょうか。
その質問者さんに、利用者か仕事かの優先順位がわからなくなるように陥らせてしまったのは、まぎれもなく組織風土であり、利用者さんをないがしろにした仕事優先文化の施設と推測できます。
さらに想像すると管理者的立場の方は、現場にほぼいないのではないでしょうか?
■人員不足が現場で引き起こす問題
人員不足は、利用者のペースよりも仕事を回すこと優先にする「主語の置き換え」を生じさせる危険性が高まります。
これを防ぐためには、組織の目的共有、規律が必要になりますが、この役割は組織のリーダーやマネジメント職が担わなければなりません。
*この場合の目的とは「介護の仕事は利用者さん第一、そして個別ケアの原則」、つまり何のために働いているのか?ということ、そして規律とはルールで、その目的達成であったり職業倫理を逸脱しないように正すことです。
■管理者へ相談し、状況が変わらなければ転職を
以上を踏まえると質問者さんには、この事実を管理者へ相談することをオススメします。
もちろん、直属の上司を飛び越えてはできないと思われるかもしれませんが、そんな事言っている場合ではないですね。
おそらく直属の上司に相談したとしても同じく麻痺しているので「何言ってるの?」と一蹴されてしまうのが関の山と考えます。
もし、直談判で上司が動かず、状況が変わらないのであれば退職や別介護事業所への転職もやむを得ないと思います。
また、残されたご利用者さんの事を考えたら市町村の管轄部署へ相談に行くのも必要になるかもしれませんね。
■人員不足をできない理由にしてはいけない
「人員不足」これは、介護業界の大きな課題ですが、これを「できない理由」にしてはいけないと私は考えます。
なぜなら、諦め⇒思考停止⇒そして主語の置き換え(利用者目線⇒職員目線)というあってはならない負のスパイラルに陥るからです。
もちろん、みなさんが一生懸命介護現場に立たれていることは重々承知です。
だからこそ、初心忘れず、前を向いて現場に向き合って欲しいのです。
実はこれ、どんな職業でも同じですから。
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)